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[テレビ](3/27深夜)サウンド・フロム・ニューヨーク ~ パット・メセニー

Text by Tomoyuki Kubo 久保 智之
Cover photo: Nagamitsu Endo

サウンド・フロム・ニューヨーク~パット・メセニー

2020年3月28日 (土)(金曜深夜)  0:30-2:00 NHK BSプレミアム 

2020年3月29日(日) 15:00-16:30 NHK BS8K
2020年3月31日(火) 20:00-21:30 NHK BS8K

2019年9月にニューヨークのライブハウスで収録された「サイド・アイ・ツアー」の模様を収録したライブが、NHKのBSプレミアムで放映される。番組のためだけに行われた独占インタビューも公開される予定だ。

Pat Metheny “Side-Eye” with James Francies & Marcus Gilmore at Sony Hall

Pat Metheny (guitar)
James Francies (keyboards, piano)
Marcus Gilmore (ds)

New York City, NY
Sep, 2019


  • 「サイド・アイ」“Side-Eye”プロジェクトとは

「サイド・アイ」“Side-Eye” とは、Pat Methenyが2019年から新たに始めたプロジェクトだ。近年活躍している若手ミュージシャンの中で、Pat Methenyが特に気になる人たちに焦点を当てながら共に活動をしていく内容のようだ。

  • Side-Eyeプロジェクトの始まり

この“Side-Eye”プロジェクトが始まったのは、2019年1月。
世界初のお披露目は、2019年1月16日〜20日の5日間にブルーノート東京で行われたライブだった。この時は、James Francies (keyboards, Piano) とNate Smith (ds)という布陣であった。

演奏された曲はPat Methenyの過去の有名曲だったのだが、ベースレスのトリオということもあってか、繰り広げられたのはこれまでとはまったく違う新しい世界だった。Nate Smithの生み出す力強いビートの上で、James Franciesが左手で複雑なベースラインを刻み、さらに右手ではまったく独立した形でピアノやオルガンで様々な色合いをつくり出す。その複雑なビートと色合いによるうねりの中でPat Methenyがギターそしてギターシンセを弾きまくるという内容であった。そこでは、これまでのPat Methenyのサウンドとはひと味もふた味も違う世界が繰り広げられた。

Pat Methenyは、この“Side-Eye”プロジェクトについて、結成当初から様々な若手ミュージシャンとの共演を行うと宣言していた。2019年1月の日本ツアーと3-4月のUSツアーは、このJames Francies とNate Smith によるユニットであったが、8月のUSツアーからはドラムスがMarcus Gilmore(Roy Haynesの孫)へと替わり、第2代目のSide-Eyeの活動が始まった。

今回放映されるライブは、その8-9月に行われたJames FranciesとMarcus Gilmoreとのユニットとなる。収録内容についての詳細な案内は出ていないが、NYでのライブとのことなので、ツアー最終日の9月11日〜13日に行われたSONYホールでの様子だと思われる。

Pat Methenyは1954年生まれの66歳となるが、Marcus Gilmoreは1986年生まれの33歳。そしてJames Franciesは1995年生まれのなんと25歳。若い二人のミュージシャンとPat Methenyとのやりとりは、どのようになっているのか… プロジェクトの一番最初であった日本公演の頃から、どのように変化、いや進化してきているのか。今回の放映は本当に楽しみだ。

  • Side-Eyeプロジェクトの今後

このトリオによるSide-Eyeプロジェクトは、2020年のPat Methenyの主要な活動のひとつとなる予定だ。現時点では、2020年5月はヨーロッパツアー、9-11月はUSツアーが予定されている。昨今の世界情勢では、ツアー自体はもしかすると開催が難しくなるのかもしれないが、Pat Methenyは「今後はこのユニットに向けた曲をつくりたい」とも語っていたため、Side-Eyeプロジェクトでの新曲や、ニューアルバムなどにも期待したい。

Pat Methenyはこの2月に「From This Place」をリリースしたばかりである。そのアルバムに関連する現在のカルテットでの活動や、オーケストラとのライブ活動なども今後様々に発展していくことが考えられるが、新たにつくりあげていくサウンドとしては、このSide-Eyeプロジェクトがひとつの要になっていくと思われる。Pat Methenyの最新の活動、そして今後つくられていくであろうサウンドを知る上で、今回の放映は決して見逃すことはできない。

久保智之

久保智之(Tomoyuki Kubo) 東京生まれ 早大卒 patweek (Pat Metheny Fanpage) 主宰  記事執筆実績等:ジャズライフ, ジャズ・ギター・マガジン, ヤング・ギター, ADLIB, ブルーノート・ジャパン(イベント), 慶應義塾大学アート・センター , ライナーノーツ(Pat Metheny)等

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