8/16 挾間美帆 & 渡辺香津美
〜NEO-SYMPHONIC JAZZ at 芸劇

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Boogie Stupid / Danish Radio Big Band with John Scofield directed by Miho Hazama

Text by Hideo Kanno 神野秀雄
Photo by Naomi Kitano 北野直弓

グラミー賞ノミネートの挾間美帆が”メトロポール・オーケストラ”編成に渡辺香津美を迎えるシンフォニック・ジャズ・コンサート

NEO-SYMPHONIC JAZZ at 芸劇
2020年8月16日(日) 15:00 東京芸術劇場

Conductor 指揮: 挾間美帆
Guitar: 渡辺香津美 (*が演奏曲)
東京フィルハーモニー交響楽団
挾間美帆 m_big band
Sax: 土井徳浩、辻野進輔、吉本章紘、鈴木圭、竹村直哉
Trumpet: 真砂陽地、広瀬未来、川原真彩、石川広行
Trombone: 半田信英、高井天音、高橋真太郎、佐藤敬一朗
Piano: 佐藤浩一 Bass: パット・グリン、Drums: 高橋信之介

Miho Hazama: RUN
Jim Beard (Vince Mendoza arr.): Holiday for Pete & Gladys
Herbie Hancock (Miho Hazama arr.): The Eye of the Harricane
John Scofield (Vince Mendoza arr.): Carlos*
Miho Hazama: Somnambulant*
Kazumi Watanabe (Miho Hazama arr.): Inner Wind*
Kazumi Watanabe (Miho Hazama arr.): Cokumo Island*

挾間美帆/RUN
ジム・ビアード(ヴィンス・メンドーサ編曲)/ホリデイ・フォア・ピート・アンド・グラディス
ハービー・ハンコック(挾間美帆編曲)/ジ・アイ・オブ・ザ・ハリケーン
ジョン・スコフィールド(ヴィンス・メンドーサ編曲)/カルロス *
挾間美帆/ソムナンビュラント *
渡辺香津美(挾間美帆編曲)/インナー・ウィンド *
渡辺香津美(挾間美帆編曲)/コクモ・アイランド *

一般 5,000円 高校生以下 1,000円 (全席指定・税込)
芸劇メンバーズ先行(WEB先着):2020年7月23日(木・祝)10:00~7月24日(金・祝)23:59
一般発売:2020年7月25日(土) 10:00~
東京芸術劇場ボックスオフィス 0570-010-296(休館日を除く10:00~19:00)
窓口営業時間:休館日を除く10:00~19:00
公演詳細とオンライン購入はこちら

『Dancer in Nowhere』がグラミー賞ラージ・アンサンブル部門にノミネートされ、すでに欧米で活躍する中、日本国内での知名度を増したジャズ作編曲家・指揮者の挾間美帆。世界唯一の常設シンフォニック・ジャズ・オーケストラであり75周年を迎えたオランダの名門メトロポール・オーケストラとノースシー・ジャズ・フェスティバル 2019で「共演の夢を叶えた」ら、あまりに評価が高過ぎて、翌年、2020年8月には常任客演指揮者に抜擢されてしまい、2019年10月に主席指揮者に就任したデンマーク・ラジオ・ビッグ・バンド(DRBB)と合わせて多忙を極め、COVID-19下でも、ニューヨーク、東京、ヨーロッパを結んで活躍を続ける。

挾間美帆プロデュースによる「ネオ・シンフォニック・ジャズ」の第二弾は、ゲストに渡辺香津美を迎えて、ギターとシンフォニック・ジャズの響き合いを聴かせる。COVID-19のためクラシックオーケストラの大編成での演奏が困難となり、また指揮者ニコラス・バックの来日が困難となったため、旧プログラム(本記事下にも記載)からの変更を余儀なくされたのは残念でならないが、結果的に、日本では聴くことができないメトロポール・オーケストラの編成での演奏を行い、そのための編曲を聴けるようになったことは、思いがけないプレゼントと言える。ここでもピンチすらチャンスに換えてしまう挾間の底知れぬパワーを見るようだし、藤倉大プロデュースの「ボンクリ・フェス」(9月26日)などユニークな取り組みを続ける東京芸術劇場の懐の深さを感じる。


L: © Hiroyki Seo R: ©Yosuke Komatsu (ODD JOB)

「処女航海」メドレーはラージアンサンブル版から、ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018での東京芸術劇場における吹奏楽版ラ・フォル・ジュルネ・ド・ナント 2019でのビッグバンド版などにも拡張されたびたび演奏されている。TOKYO JAZZ +plus LIVE STREAMING 2020でのm_unit リモートアンサンブル版は遊び心に溢れて緻密に構成された映像も含めて素晴らしく、全プログラムのなかでも評判がとてもよかった。その満を持してのリアル演奏だ。さらに、m_unitの曲では、グラミー賞ノミネートとなった『Dancer in Nowhere』から、ゲストギタリストのリオーネル・ルエケと録音された<Somnambulant>を渡辺香津美とともに。

渡辺香津美は、1953年東京生まれ、ベンチャーズの影響からギターを手にし、17歳で『Infinit』でデビュー。以来、ジャズに留まらないギターの可能性を探求し続け、速いテンポで繰り出されるアドリブと芳醇な旋律、演奏技術を緻密に組み合わせた独自のサウンドを創り出す。現在は「ジャズ回帰プロジェクト」、アコースティック中心のソロ「ギター・ルネッサンス」シリーズなどで活動中だ。洗足学園音楽大学ジャズコース客員教授も務める。

ギターとシンフォニックジャズのコラボレーションとしては、まず、『John Scofield & Metropole Orkest / 54』から<Carlos>。これは2010年、ヴィンス・メンドーサが2010年のグラミー賞最優秀器楽アンサンブル編曲賞を受賞した珠玉のスコアだ。挾間はすでにDRBBでジョン・スコフィールドと共演している。(7月号ではジョン・スコフィールドの最新作『John Scofield / Swallow Tales』(ECM2679)のレビュー、常盤武彦の「ジョン・スコフィールドの思い出」もご参照いただきたい。)

そして、挾間が取り組む渡辺のオリジナルは、1979年に坂本龍一、矢野顕子、清水靖晃、小原礼らと結成した伝説のバンドによる『KYLYN LIVE』から<Inner Wind>、1980年にマイク・マイニエリのプロデュースでニューヨークで録音された『To chi ka』から<Cokumo Island>。後者では日立Lo-DのCMで知られた<Unicorn>が代表曲であるものの、マイケル・ブレッカーがフィーチャーされた<Cokumo Island>を”生涯の思い出の曲”に挙げる日本のジャズファンは多く、マイケルが熱が入り過ぎて止まらなくなりフェードアウトで収録されたサックスソロを残さず最後まで収録した完全盤を望む声が40年を経た今も絶えないほどだ(テープが現存するかご存知の方はお知らせいただきたい)。

あらゆる世代に垂涎のプログラムであり、世界で活躍する挾間の今を目撃する素晴らしい機会と言えるのだが、何せ、大ホール公演にして、プログラム変更からの告知期間、発売期間が1ヵ月弱とあまりに短過ぎる。SNSなどでの情報拡散、関心のある方へのお知らせなどいただければ幸いだ。

Miho Hazama and m_unit: Maiden Voyage Medley

挾間美帆(cond)、土井徳浩(as)、庵原良司(ts)、竹村直哉(bs)、Jonathan Powell(tp)、林育弘(French horn)、金子飛鳥(vn)、沖増菜摘(vn)、吉田篤貴(va)、島津由美(vc)、
香取良彦(vib)、佐藤浩一(p)、Sam Anning(b)、Jake Goldbas(ds)、Lionel Loueke(g)
※楽譜も期間限定で公開されている。

【参考:変更前の旧プログラム】
指揮:ニコラス・バック、挾間美帆
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団 挾間美帆 m_big band

第1部 オーケストラ vs ビッグバンド
プロコフィエフ/バレエ音楽『ロメオとジュリエット』から
モンタギュー家とキャピュレット家/5組の踊り/ティボルトの死/別れの前のロメオとジュリエット/ジュリエットの墓の前のロメオ
第2部 オーケストラ & ビッグバンド
ウィントン・マルサリス/スウィング・シンフォニー

【2019年までのプログラム】
NEO-SYMPHONIC JAZZ at 芸劇 2019:挾間美帆、シャイ・マエストロ、原田慶太楼 指揮 東京フィル
「NEO-SYMPHONIC JAZZ at 芸劇」コンサートレポート by 悠 雅彦
N響JAZZ at 芸劇 2018 〜塩谷哲、ジョン・アクセルロッド、NHK交響楽団
N響JAZZ at 芸劇 2017 〜塩谷哲、ジョン・アクセルロッド、NHK交響楽団

Miho Hazama & m_unit: Somnambulant feat. Lionel Loueke (audio)

John Scofield & Metropole Orkesta directed by Vince Mendoza / Carlos (Audio) “54”

渡辺香津美 Inner Wind (Audio) KYLYN Live

渡辺香津美 Cokumo Island (Audio) To chi ka (1980)
Kazumi Watanabe (g), Michael Brecker (ts), Warren Bernhardt (Keyb, Oberheim)
Tony Levin (b), Peter Erskine (ds), Sammy Figueroa (perc)

To Chi Ka Reunion – Tokyo Jazz 2010

Manhattan Flu Dance
Kazumi Watanabe (g), Mike Manieri (vib), Warren Bernhardt (keyb)
Marcus Miller (b), Omar Hakim (ds)

渡辺香津美 KYLYN ライブ動画

神野秀雄

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。東京JAZZ 2014で、マイク・スターン、ランディ・ブレッカーとの”共演”を果たしたらしい。

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