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9/25 細川周平著「近代日本の音楽百年」全4巻
第1巻『洋楽の衝撃』刊行

本誌にも寄稿して下さっている細川周平国際日本文化研究センター名誉教授が長年に亘って研究を続けてきた近代日本の音楽史、その集大成ともいえる「近代日本の音楽百年」全4巻が岩波書店から刊行される。発売予定は下記のとおり。

第1巻『洋楽の衝撃』(9月25日発売)
第2巻『デモクラシイの音色』(10月26日発売予定)
第3巻『レコード歌謡の誕生』(11月発売予定)
第4巻『ジャズの時代』(12月発売予定)

このシリーズは、黒船来航から終戦までの約100年間、音楽をめぐる事象から日本の近代を俯瞰するかつてなかった大著だ。第一巻序章のタイトルは「トントントンで始まる歴史」、これは薩摩藩士がペリー上陸について書いた報告書にあった「太鼓の打ちようトントントントントトトン大いに面白き打ち様也」という記述からきている。このオノマトペは当時の日本人がどのようにペリーの楽隊が打ち鳴らす音を捉えたのかを表していると言っていい。西洋音楽受容の始まりをペリーの楽隊に置くことはお約束ごとなようだが、ペリー来航という大事にも関わらず、その楽隊を聞いた薩摩藩士の表現描写はどこか楽しげでさえある。第一巻は、軍楽隊に始まり市中音楽隊やジンタ、チンドン屋について記し、また唱歌から軍歌や壮士演歌までを取り上げている。薩摩藩士が報告書に「トントントン…」と書き留めてから約一世紀半を経た今日、大衆音楽側から西洋音楽の受容と通俗化/土着化を著した音楽史が刊行されたことは、音楽研究における画期的な出来事だと言っていい。

【参考リンク】

黒船のトントン太鼓 細川周平
https://tanemaki.iwanami.co.jp/posts/3965#kanto

【関連リンク】

https://jazztokyo.org/author/shuhei/

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