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[FM] 3/6-13 大友良英のジャズ・トゥナイト〜小曽根 真『OZONE 60』
アストル・ピアソラ生誕100周年、「セッション2021」放送終了

Text & photo by Hideo Kanno

JAZZ TONIGHT/ジャズ・トゥナイト
2021年3月6日(土) 23:00~24:59 NHK-FM
聴き逃し再生 3月13日(土) 深夜25:00まで 聴取はこちらから

特集1:アストル・ピアソラとジャズ

大友良英がおくるNHK-FM土曜夜のジャズ番組「ジャズ・トゥナイト」。3月6日(土)の放送では、アルゼンチンのバンドネオン奏者であり作曲家としてモダン・タンゴを牽引したアストル・ピアソラ(1921年3月11日〜1992年7月4日)の生誕100年を記念して、ジャズとの関わりを紐解く。大友良英はピアソラを自らも目指す「ハイブリッド音楽」の極致と考えており、映画・ドラマ音楽制作にも大きな影響を受けている。大友良英スペシャル・ビッグ・バンドで<Annees de Solitude / 孤独の歳月>をレパートリーとし、『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル)に収録している。オリジナルは、ジェリー・マリガンとピアソラのコラボレーションで、記事の末尾に動画をつけた。

Otomo Yoshihide Special Big Band Pit Inn

あわせて、ゲイリー・バートンと・アストル・ピアソラ・クインテットとの動画、小曽根 真ピアノソロの動画もつけたのでご参照いただければ幸いだ。

特集2:小曽根 真を招いて、アルバム『OZONE 60』について訊く

後半では、ジャズとクラシックの枠を超え、世界でボーダーレスな活躍を続ける小曽根 真が出演し、大友良英がその話を訊く。小曽根は、2021年3月25日神戸生まれ、今年60歳を迎え、3月3日に60歳記念の2枚組アルバム『OZONE 60』(Verve)をリリースした。番組では『OZONE 60』からオリジナル曲の他に、小曽根がチック・コリアから影響を受けたという『Lyric Suite for Sextet』(ECM1260, 1983年)も紹介する。『OZONE 60』と全国ソロピアノツアーについてはこちらを、2020年4月〜5月に行われた53夜連続の自宅からのピアノソロ配信「Welcome to Our Living Room」についてはこちらをご覧いただきたい。

なお、番組とは直接関係はないが、大友と小曽根の距離感に触れておく。大友は1959年8月1日東京生まれの福島育ちで、近い世代だが小曽根の2学年上で、いずれも世界を飛び回り、海外で高い評価を受けながら、音楽の交流を強く意識している。大友が東日本大震災・津波と原発事故を機に「フェスティバルFUKUSHIMA!」などの活動を通じて福島の復興に音楽やアートから関わり続け、「アンサンブルズ東京」など様々なプロジェクトのディレクションにも至った(2021年から自身の創作活動に専念する)。小曽根も福島に心を砕き、「テレサ・カレーニョ・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ」相馬公演への参加をはじめ、福島での演奏活動を行い、またブルーノート・ニューヨークでボブ・ジェームスとともに仲間たちを集めベネフィットコンサート「Music for Tommorrow – A Bennefit for Japan」を行うなどしてきた。また大友は阪神・淡路大震災15年特集ドラマ「その街のこども」予告編)の音楽を担当した。

●NHK-FM「セッション 2021」が42年の歴史に幕
1978年に開始され、NHK-FMで放送されてきた「セッション 2021」が42年間の歴史に幕を閉じた。2月27日放送の最終回は2021年3月6日(土)深夜25時まで聴取できる(つまり、聴取率統計を上げられる)。第一線のジャズミュージシャンのライブを公開収録(以前は生放送)し、長く毎週土曜日の放送であったが、現在、「ジャズ・トゥナイト」の時間帯の毎月最終土曜日に放送されてきた。終了後は「ジャズ・トゥナイト」となり、ジャズのトータルでの放送時間は変わらないが、「今」の「即興演奏」、「観客とのやりとり」を記録し全国に放送するというよりジャズの本質に近いサイドが損なわれることへの違和感はある。この件に関しては、ジャズベーシストの中村健吾が「NHK FM セッション2021 の継続を!」の存続を求めるオンラインキャンペーンを起こしており、多くのリスナー、ミュージシャンをはじめ、「ジャズ・トゥナイト」でその時間を引き受けることになる大友もこれに賛同意見を表明している。

「私も賛同しました。この番組が日本の音楽シーンにおよぼしてき影響を考えると、ライブがしにくいこの時期に番組を終わらせるのが公共放送としていい判断であるとは思えません。なんらかの形での存続を望みます。」「実はこの番組が放送されていた時間に、ジャズ・トゥナイトが放送されることになり(月3回だった放送が4回になります)その意味でも番組担当の私としては心苦しくあります。番組を組む編成担当者と面識があるわけではありませんが、なにか手はないのか私なりに探ってみます。」(大友良英Twitterより引用)

●KBS京都ラジオ JAM JAM ラジオ
なお、大友良英は、KBS京都ラジオにレギュラー番組を持ち、より自由な選曲、構成を大友らしいトークとともに楽しむことができる。本放送30分間に収まらなかった内容を含む番組アーカイヴをポッドキャスト版で世界中から聴くことができ貴重な資料となっている(権利関係上、音楽は抜いてある)。

大友良英のJAMJAMラジオ
KBS京都ラジオ 毎週金曜日 24:30〜25:00
ラジオ福島 毎週月曜日 21:30~22:00
熊本放送 毎週火曜日 23:00〜23:30
※Radiko プレミアム会員なら日本全国から聴取可能だ。

映画「永遠のリベルタンゴ」予告編

Astor Piazzolla & Gerry Mulligan – Years of Solitude – Italy 74

Astor Piazzolla Quintet and Gary Burton

Makoto Ozone Plays Piazzolla at The Royal Horse, Osaka on February 10, 2014


小曽根 真 Makoto Ozone “Solo” &”with friends” 2020年6月20〜21日
(このリンクした記事にセットリストと映像も収録)


小曽根真 Makoto Ozone featuring No Name Horses 2020年8月3日〜6日

【参考】 Singapore Symphony Orchestra: Conversation with the Artist – Makoto Ozone
00:55 Bienvenidos Al Mundo (Makoto Ozone)
20:53 Le Tombeau de Couperin (Maurice Ravel)
40:27 Asian Dream (Makoto Ozone)

※「シンガポール交響楽団:アーティストとの対話 小曽根 真」(英語)において、「Welcome to Our Living Room」の解説とともに、昼間のリビングルームからのピアノソロ演奏3曲が収録されているので、その雰囲気を感じていただければ幸いだ。

映画『花束みたいな恋をした』140秒予告編 (大友良英 音楽) 2021年1月29日(金)公開

大友良英スペシャルビッグバンド – LIVE @ FREEDOMMUNE 0<ZERO> ONE THOUSAND 2013

映画『その街のこども 劇場版』予告偏 (大友良英 音楽)

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。Facebookグループ「ECM Fan Group in Japan - Jazz, Classic & Beyond」を主催。ECMファンの情報交換に活用していただければ幸いだ。

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