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[TV] 6/10 都響「チック・コリアに捧ぐ」
ジョセフ・アレッシ、アラン・ギルバート

Text by Hideo Kanno 神野秀雄

都響スペシャル「チック・コリアに捧ぐ」
2023年6月10日(土)15:00~ TOKYO MX2
Tribute to Chick Corea
George Gershwin: Cuban Overture
Chick Corea: Trombone Concerto (2020, Japan Premiere)
-A Stroll
-Waltse for Joe
-Hysteria
-Joe’s Tango
Maurice Ravel: Rapsodie espagnole
Maurice Ravel: Boléro
ガーシュウィン:キューバ序曲
チック・コリア:トロンボーン協奏曲(2020、日本初演)
ラヴェル:スペイン狂詩曲
ラヴェル:ボレロ
Alan Gilbert アラン・ギルバート: 指揮 
Joseph Alessi ジョセフ・アレッシ: トロンボーン (ニューヨーク・フィル首席奏者)
Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra 東京都交響楽団
2022年7月18日 サントリーホールで収録

2021年2月9日に急逝したチック・コリア(「60年の音楽の旅の軌跡」参照)が作曲した「トロンボーン協奏曲」の東京都交響楽団による日本初演。この協奏曲は、ニューヨークフィル首席トロンボーン奏者のジョセフ・アレッシが発案による。2017年秋、ゲイリー・バートン&小曽根真のラスト・デュオ・ツアーで、ニューヨーク・バードランドを訪れた際に、『Chick Corea & Gary Burton / Lyric Suite for Sextet』(ECM1260)より<Brasilia>が演奏され、これを聴いたジョセフが終演後の楽屋に飛び込んできて、「マコト、チックは僕のためにトロンボーン協奏曲なんて書いてくれるだろうか?」。そしてチックは作曲を承諾し、サンパウロ州交響楽団(Osesp)、ニューヨーク・フィルハーモニック、ヘルシンキ交響楽団、カルースト・グルベンキアン財団(ポルトガル)、ナッシュヴィル交響楽団により共同委嘱された。

世界初演(ワールドプレミア)は、ジャンカルロ・ゲレロ指揮、サンパウロ交響楽団(Osesp)による演奏で、2021年8月7日(土)ブラジル・サンパウロからYouTube配信(現在は公開されていない)され、日本から世界から多くのファンが感動を共にした。世界初演についてはこちらを参照されたい。2022年7月の日本初演を経て、2023年5月25日〜27日にマリン・オールソップ指揮のニューヨーク・フィルでの初演が行われた。言うまでもなく、ソリストはジョセフ・アレッシが務めた。

チック自身は観ることが叶わなかった、そして重要な遺作の一つとなる本作品の日本初演の映像をチックを想いながら楽しみたい。

東京都交響楽団 特設ウェブページ (インタビュー、解説など)

ニューヨーク・フィルハーモニック初演でのプログラムノート(PDF)

【ピアニスト・小曽根真氏より公演に寄せてメッセージ】
2017年の秋、Gary Burtonとデュエットで出演したニューヨークのJAZZ CLUB “Birdland” に足を運んでくれたJoe Alessi. その日のセットでは、チックのオリジナル「Brasilia 」という曲を演奏したのだが、その曲を聴いて心から感動したJoe はセット終了の直後に楽屋に飛んできた。開口一番、「マコト、チックは僕のためにトロンボーン協奏曲なんて書いてくれるだろうか?」と聞いた。僕がチックの代弁をする事なんて勿論できないけれど、きっとチックは書くだろうと思ったので「すぐに連絡してみる」とJoe に伝えた。

チックに連絡をし、Joe と直接連絡をとってもらうようにお願いしてから間もなく、Joe から「チックが引き受けてくれたよ!」と連絡をもらった。あの時は本当に嬉しかったが、まさかこのコンチェルトの初演を聞くのがチックがこの世を去ってからになるとは夢にも思わなかった。サンパウロ・シンフォニー(OSESP)がLive配信をしてくれたお陰でこのコンチェルトのワールドプレミアをリアルタイムで聴くことができたのは最高の幸せだった。

世界中のトロンボーン奏者から「神」と呼ばれるJoe Alessi。彼とはNYフィルとのコンサートで知り合い、そして僕のバンドNo Name Horsesにも参加してくれたこと、またJAZZのコンボででも一緒に演奏させてもらった。クラシックのミュージシャンがJAZZのモノマネをするのはよく見るが、彼の奏でるJAZZは本物。そのリズムのキレの良さはJAZZミュージシャンも感動するほど鋭く美しい。そのJoe のためにチックが書き下ろしたコンチェルトが今回「生」で聴ける。それも僕の親友アラン・ギルバートの指揮で。 あちらこちらにチックが顔を出しながら、今までのチックの音楽にはなかった新しい音がたくさん書き込まれている。僕もそうだが、長年のチックのファンにとっても更に新しい世界を感じさせてもらえる作品であることは間違いない。
(※小曽根真氏の出演はありません。東京都交響楽団プレスリリースより引用)
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New York Philharmonic:Joseph Alessi Performs Chick Corea, May 25–27, 2023

Falando de Música: Joe Alessi e Giancarlo Guerrero comentam o Concerto para Trombone de Chick Corea
Osesp – Orquestra Sinfônica do Estado de São Paulo

New York Philharmonic / Chick Corea Artist-in-Residence 2020-21

Brasilia from “Lyric Suite for Sextet” – Chick Corea Piano Solo (2020)

Slide Monsters – Trisense

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。Facebookグループ「ECM Fan Group in Japan - Jazz, Classic & Beyond」を主催。ECMファンの情報交換に活用していただければ幸いだ。

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