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ECM新春の新作リリース4作

ECM 2024年の新春新作リリースは以下の4作。ジャズ系3作にニューシリーズ1作だが、どれも聴き逃せない内容の濃い作品が揃った。

『Touch of Time』(ECM2794)
Arve Henriksen: trumpet, electronics
Harmen Fraanje: piano

ノルウェーのトランペッター、アルヴェ・ヘンリクセンとオランダのピアニスト、ハーメン・フラアニェの新作『タッチ・オブ・タイム』からはこのデュオによる静かで叙情的な調べから音楽的親和性が感じ取れる。繊細なメロディとテクスチャがふたりのミュージシャンに共有され、音色の濃淡のニュアンスや音楽的アイデアの詳細な展開に深く同調し合っている。自由な即興演奏でも、入念に練られたテーマでも、ふたりの演奏は優雅につながり、互いのフレーズを拾い上げ、仕上げていく。

『The Blue Land』(ECM2783)
Matthieu Bordenave: saxophones
Florian Weber: piano
Patrice Moret: double bass
James Maddren: drums

フランスのサックス奏者マチュー・ボーデナーヴ、ドイツ人ピアニスト フローリアン・ウェーバー、スイス人ベーシスト パトリス・モレ、イギリスのドラマー ジェームス・マドレンから成るインターナショナルなカルテット。ソウルフルかつエッジィなジョン・コルトレーンの <Compassion>以外は全曲、ボーデナーヴ(テナーとソプラノ)のオリジナルで、チェンバー・ジャズのダイナミクスとポスト・スイングの意匠のギャップをどのように埋めるかが聴きどころ。高度にインタラクティブなリズム・セクションの上でボーデナーヴとフローリアンが予想外のラインを紡ぎ出す。

『Compassion』(ECM2760)
Vijay Iyer: piano
Linda May Han Oh: double bass
Tyshawn Sorey: drummer

トリオによる2021年のECM作品『Uneasy』(ECM2692) に続く2作目(アイヤー自身では8作目のECM作品)。NYタイムス紙によれば、このトリオの特別な資質は、「しなやかな可動域と燦然と輝くような明瞭さで…一種の身悶えするような内的緊張を煽りながら…」演奏、そのバランスに不可欠なのは、ほとんどテレパシーに近い互いを結びつける能力ということになる。この新作でアイヤーは、​​新たな領域を開拓しようとする彼の意欲を継続させながら、その過程で彼の先人たちをも参照している。1曲は、スティーヴィー・ワンダーの<Overjoyed>だが、これは故チック・コリアへの間接的なオマージュとしてアイヤーが選んだもの。もう1曲は、​​彼にとって重要な師であった前衛の賢人ロスコー・ミッチェルの<Nonaah>。他に、物思いにふけるようなタイトル曲から、フックの効いたハイライト <Tempest>や <Ghostrumental >に至るまで、アイヤー自身のメロディアスで魅惑的、かつリズミカルで爽快な曲もある。アイヤーとマンフレート・アイヒャーの共同プロデュース。​​

『Songs of Fate』(ECM2745)
Gidon Kremer: violin
Kamerata Baltica
Vida Miknevičiūtė: soprano

ラトヴィア出身のヴァイオリニスト ギドン・クレーメルの新作『運命の歌』は、彼自身が告白しているように「多くの点で “ユダヤ人らしさ “という概念を中心に展開している。ギドリス・クプレヴィチウスの室内交響曲『ダビデの星』と『カディシュ』、そしてミェチスワフ・ヴァインベルクの『ユダヤの歌』からの抜粋が、この意味合いを強調している。また、クレメラータ・バルティカ室内アンサンブルとソプラノのヴィダ・ミクネヴィチュテとともに、クレーメルはバルトの作曲家ラミンタ・シュルシュニテ、ギエドリウス・クプレヴィチウス、イェーカブス・ヤンチェフスキス、ポーランド系ユダヤ人作曲家ミェチスワフ・ヴァインベルクの作品に取り組んだ。最後を飾るのは、ラミンタ・シュルシュニテの「これもまた過ぎ去るだろう」とイェーカブス・ヤンチェフスキスの「リグナム」の初録音で、若い世代の作曲家の声を前面に押し出してもいる。

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