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#105 『roberto masotti photographs / keith jarrett a portrait』
『ロベルト・マゾッティ写真集/キース・ジャレットの肖像』被写体のキースが2度にわたる脳卒中でリハビリ中であることは周知のとおりだが、撮影者のロベルトも病床で白血病と闘っている。
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#2076 『Yuji Takahashi + Roger Turner / Live at Aoshima Hall』『高橋悠治+ロジャー・ターナー / Live at Aoshima Hall』
達人ふたりの共演は聴き手にとって饗宴であり、どの料理に注目しようとも、並行世界でまた別の料理が供されている。しかも、いたずらに贅沢でもストイックでもない手仕事のプロセスとして。
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#2075 『Ky / CYRCLES』
なるほど、こうして並べて聴いていると「BGMことはじめ」ともいえるサティと麻紀さんの音楽とはおどろくほどの親和性がある。
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#2074 『Suomi Morishita featuring Strings Trio/Ein.』
『森下周央彌 feat. ストリングス・トリオ/アイン』大阪の堺市にある“SPinniNG MiLL”という明治後期の紡績工場。その空気感とそこに宿った独特のリバーヴ感が音楽を決定づけている。
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#2073 『Yuta Omino Trio / Bright October 14th』
『小美濃 悠太トリオ/Bright October 14th』Hanina Podladowska の手によるその美しいアートワークを100%斟酌しており、まさにそれにふさわしい音が三人によって紡ぎ出されている。
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#2072 『Phew, John Duncan, Kondo Tatsuo / Backfire Of Joy』
『フュー、ジョン・ダンカン、近藤達郎 / 歓喜の逆火』40年以上の長きに亘り音楽とアートの最前衛で活動し続ける3人が若き日に繰り広げた逸脱表現は、過去(70年代)から断絶し、新時代(80年代)の前衛音楽の到来を告げる予兆である。その意味で『歓喜の逆火』とは言いえて妙である。
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#2071 『Tamara Lukasheva / Gleichung』
ヨーロッパでは文学の朗読が盛んにおこなわれるが、言葉と音との境界、その現在進行形の侵食関係がよく顕われている。どう表現するかではなく、表現したいことは何なのか。その核がブレないからこその、表現形態の無限の拡がりである。/ There is a long-time tradition of recitation in Europe. This album is an embodiment of boundless relationship between words and music, its ongoing mutual erosive state at the front. What matters is not “how to express”, but “what is expressed”; any variant of forms presupposes the existence of its core.
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#2070 『クリス・ヴィーゼンダンガー+かみむら泰一 / 山の猫は水脈をたどる』
クリス・ヴィーゼンダンガーのピアノ演奏は指先にも思索のフィルターがはりめぐらされており、凡庸からかけ離れていながら乱暴さのまったくない音に驚かされる。ヴァルネラブルであっても隠そうとせず、それによる豊かなグラデーション、共演者や周辺世界との相互浸透を、大きな個の力として確立しているかみむら泰一のサックスとの例外的なデュオ。
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#2069 『Chuck Johnson / The Cinder Grove』
『チャック・ジョンソン / 燃え殻の森』チャック・ジョンソンのペダル・スチール・ギターが描き出すサウンドは、蜃気楼のように浮かび上がる遠い記憶を掴もうとする夢の世界のサウンドトラックである。
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#24 細川周平著『近代日本の音楽百年』全4巻
『近代日本の音楽百年』は音楽史としても側面も持つが、文化受容を多角的に捉えることで日本の近代を音楽面から捉えた本といえる。
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#2068 『Soft Works – Abracadabra in Osaka』』
『ソフト・ワークス/アブラカダブラ・イン・大阪』個人的なハイライトは、ディーン作〈Baker’s Treat〉における、晩年のアート・ペッパーを思わせる、魂を削り取られるような吹奏のサックスソロだ。
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#2067 『モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番・細川俊夫「月夜の蓮」/児玉桃 ・小澤征爾&水戸室内管弦楽団』
そう、ここでその3人(プラス吉田氏)が集い、そこに至る道とその後の活躍の一つの経過点として合焦した、とても素敵なドキュメント
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#2066 『関根みちこ/Colorful Scenery』
彼女のファースト・アルバムを聴いて感じたのは、ジャズ・シンガーの特権である開放性を存分に享受しているということだ。
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#2065 「アストル・ピアソラ 生誕100周年記念」シリーズ
従来のLP、CDを長く聴き馴染んできた人たちがオリジナル・アートワークとリマスタリングの「新バージョン」に心を動かされない訳がない。
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#2064 『Manfred Krug, Uschi Bruning, Klaus Lenz Band – 1971 Live im Deutschen Hygiene-Museum Dresden (2CD)』国内盤:BSMF-7627 『マンフレート・クルーク、ウッシー・ブリューニング、クラウス・レンツ・バンド / 1971 ライブ・イン・ドイツ・ハイジーン・ミュージアム・ドレスデン (2CD)』
1970年ごろの東ドイツに、どれほど米国のジャズ、ロック、ソウルが浸透していたかを伝えるライブ盤2枚組である。
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#2063 『Liudas Mockūnas / In Residency at Bitches Brew』
『リューダス・モツクーナス/イン・レジデンシー・アット・ビッチェズ・ブリュー』リトアニアのサックス奏者リューダス・モツクーナスが2018年末に来日し、Bitches Brew(横浜市)において4日間連続のライヴを行ったときの記録である。迎える音楽家たちは「日本の最強インプロヴァイザー軍団」との宣伝文句に恥じない面々だった。
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#2062 『Liudas Mockūnas / Arvydas Kazlauskas / PURVS』
『リューダス・モクツーナス、アルヴィーダス・カズラウスカス / 湿地』二人の即興サックス奏者による、古代の記憶と共に眠れる精霊を呼び覚ますかのようなデュオ演奏は、音楽の原初の形を取り戻す試みに違いないのである。
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#2061 『Michael Gregory Jackson / Frequency Equilibrium Koan』
『マイケル・グレゴリー・ジャクソン / 周波数平衡公案』自らの原点であるロフト・ジャズ時代の音源を掘り起こして世に問う意図は、経済的な見返りを求めることなく、自分たちが望む音楽を一途に追求した希望に満ちた日々を今こそ取り戻そう、という決意表明なのかもしれない。
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#2060 『坂田尚子 / Dancing Spirits』
スウェーデンの教会における大きな響きを友としたピアノソロ演奏。即興演奏だからといって構えることはない。結果としての物語性があり、各章での語りがとても素敵な音楽だ。