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BooksReviews~No. 201

# 063 『ECM catalog』

text by Seiichi Sugita  杉田誠一

書名:ECM catalog
編著者:稲岡邦弥
執筆者;相原 穣/原田正夫/堀内宏公/今村健一/稲岡邦彌/岡島豊樹/大村幸則/須藤伸義/多田雅範/横井一江/悠 雅彦(ABC順)
発行:東京キララ社
発売:河出書房新社
初版:2010年7月13日
定価:4,000円(本体)

腰巻コピー:
ECM 40年の軌跡
世界初の完全カタログ
ECM/JAPOレーベルから発売された
すべてのLP/CDDVD (2009年12月現在) を網羅
カラー・ジャケット+完全データ+アルバム紹介

“ECM catalog”を聴く。
見るのではなく、読むのでもなく、ましてや読み解くのではない。
初めて1枚のレコード・アルバムを手にしたとき、ジャケットのタイトル、メンバー、録音データ、等に目を通すや、音楽が聞こえてくる__。
アルバム・ジャケットとは、そういうものである。
ECMで殆ど唯一、ハズレたのは、あのカモメの、『リターン・トゥ・フォーエバー』ぐらいであろうか?
ECMが「エディションfor コンテンポラリー・ミュージック」から「エディション of コンテンポラリー・ミュージック」に変わった理由は定かではないが、ぼくは『コンテンポラリー・ミュージック』を「現代音楽」などとは絶対に訳さない。「コンテンポラリー・ミュージック」とは「同時代(に生きる)音楽」ではないかしら?
そういう意味で、帝王マイルス・デイヴィスの死以降、「コンテンポラリー・ミュージック」と位置付けられる音楽は、ECMをおいて他に存在しないのではないか?つまり、ジャズなるジャンルが、すでにクラシカルの仲間入りを果たしたということ。ジャズはいまや20世紀のアンティーク(?!)なんてね。
“ECM catalog”を聴く。最高の愉悦である。編著者・稲岡邦彌に深く感謝、感謝である。もしも、無人島に1冊だけ持ち込むとすれば、コレっきゃありません。
ただし、ひとつだけ気になったことがある。ジャケット印刷の微妙な色調が、何故、オリジナルの透徹なリアリティと乖離しているのかしら?デジタルの限界でしょうか?はっきり言って、ヌケが悪い。

*初出: Jazz Tokyo 20107.30

杉田誠一

杉田誠一 Seiichi Sugita 1945年4月新潟県新発田市生まれ。獨協大学卒。1965年5月月刊『ジャズ』、1999年11月『Out there』をそれぞれ創刊。2006年12月横浜市白楽にカフェ・バー「Bitches Brew for hipsters only」を開く。著書に、『ジャズ幻視行』『ジャズ&ジャズ』『ぼくのジャズ感情旅行』他。

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