#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』

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NoBusiness Records NBCD 82-85

Featuring: David S. Ware, David Murray, Jemeel Moondoc, Roy Campbell Jr., Booker T. Williams, Alan Braufman, Hasaan Dawkins, Mark Hennen, Lewis Barnes, Richard Keene, Les Goodson, Mark Miller.

DISC ONE “… IS ETERNAL LIFE”
1. Drum Form
William Hooker (ds, perc, vo)
2. Soy: Material / Seven
David Murray (ts), Mark Miller (b), William Hooker (ds)
3. Passages (Anthill)
David S. Ware (ts), William Hooker (ds)

DISC TWO “… IS ETERNAL LIFE” / “BRIGHTER LIGHTS”
1. Pieces I & II
Les Goodson (ts, fl, perc), Hasaan Dawkins (as, fl, perc), William Hooker (ds, perc)
2. Above and Beyond
William Hooker (ds)
3. Others (Unknowing)
4. Patterns I, II and III
Alan Braufman (as, fl), William Hooker (ds)
5. 3 & 6 / Right
Mark Hennen (p), William Hooker (ds)
6. Present Happiness
Jemeel Moondoc (as), Hasaan Dawkins (ts), William Hooker (ds)

DISC THREE – WILLIAM HOOKER TRIO “FORMULAS OF APPROACH”
1. Anchoring / Inclusion / 3 & 6 (Right)
2. Clear, Cold Light / Into Our Midst / Japanese Folk Song (traditional)
Roy Campbell (tp), Booker T Williams (ts), William Hooker (ds)

DISC FOUR – WILLIAM HOOKER TRIO “TRANSITION”
1. Contrast (With A Feeling)
2. Naturally Forward
Lewis Barnes (tp), Richard Keene (ss, as, ts, fl), William Hooker (ds, spoken word)
3. Continuity of Unfoldment
William Hooker (ds)

Disc One:
Track 1 – recorded on 28th May, 1975 at Columbia University, New York City by Joe Walker.
Track 2 – recorded on 4th May, 1975 in performance at the Cubiculo, New York City by Carl Williams.
Track 3 – recorded on 5th February, 1976 in performance at the Langston Hughes Library, Corona, New York City by Carl Williams.

Disc Two:
Track 1 – recorded on 20th May, 1976 in performance at the Columbus Branch, New York Public Library, New York City by William Hooker
Track 2 – recorded on 19th November, 1976. It is an excerpt from TOWARDS THE NEW MUSIC / Public Broadcast Special for WHNB-TV, Channel 30, West Hartford, Connecticut.
Track 6 – Recorded in 1980. Previously unreleased track.

Disk Three:
Recorded on 22nd February, 1988 at Roulette Club, New York City with assistance of Jim Staley and staff. Previously unreleased session.

Disk Four:
Track 1 – Recorded on 12th February, 1989 live at “Chumley’s” in the Castle at Brandeis University, Waltham, Massachusetts by Brian Crawford and staff / Broadcasted on 100.1 FM WBRS.
Track 2 – Recorded in1981 at WKCR-FM, Columbia University, New York City.

多彩なドラミング・スタイルを捉えたフッカー初期の音源

ウィリアム・フッカーは活動歴の長いドラマーである。13-14歳のころには、プロとして、ジャズだけでなくR&Bやロックのバンドでも叩いていた。また、オルガン・トリオやアフリカン・コンゴのグループでも活動するなど、その幅は広いものだった。その中でも、自身がもっとも魅せられた音楽はフリー・ジャズであったという。(フッカー本人は「ジャズ・ミュージシャン」だと自称する。)

この4枚組には、フッカーの初期の活動をとらえた音源が詰まっている。共演者の面々も、フッカーのドラミングのスタイルも、実に多彩だ。

たとえば、デイヴィッド・マレイとの75年の演奏がある。現在のように味ばかりを押し出す姿とはまるで異なり、恐れるもののない荒々しさと禍々しさを誇示するテナーであった。フッカーは、マレイとともに重戦車のような轟音を立てて、遥か向こうの光に向かってひた走る。また、別の意味でマグマのようなデイヴィッド・S・ウェアとのデュオでは、ときに叫びとともに暴発する。フル・スロットルでのプレイを続けても、フッカーは疲れを見せたり、倒れたりすることはない。

重戦車の驀進ばかりではない。アラン・バウフマンのアルトとフルートとのデュオでは、エルヴィン・ジョーンズを想起させるほどの見事なブラッシュワークを披露する。

トランペットのロイ・キャンベルらとのセッションでは、背後から和太鼓のようなパルスでキャンベルを煽りたてたかと思うと、ソロイストが変わった途端にシンバルによって音風景を鮮やかに一変させており、それによるカタルシスが素晴らしい。また、日本の古謡「さくらさくら」を演奏する際には、地にがっしりと根をおろし、叫びとともに暴れてみせる。「土俗的」とでも言いたくなるようなパフォーマンスだ。

そして、ドラムソロにおいても、ドラミングを類型に当てはめることを許さない。鼻歌を歌いながらの余裕もある。なにものかの到来を暗示するような静寂もある。

もしかすると、その多彩さゆえに、本来はより高くなされるべき評価が妨げられてきたのかもしれない。しかし、彩りのひとつひとつが、ときに苛烈な戦いであり、ときにほれぼれするほどの名人芸であり、ときに共演者とともに花開くものであり、ときにひとりでも成立する世界を形成することを確認するならば、彼の個性が際立っていることが明らかになる。この4枚組をずっと聴いていても、サウンドは常に変わり続け、まったく飽きることがない。

齊藤聡

齊藤 聡(さいとうあきら) 著書に『新しい排出権』、『温室効果ガス削減と排出量取引』(共著)、『阿部薫2020』(共著)、『AA 五十年後のアルバート・アイラー』(共著、細田成嗣編著)、『開かれた音楽のアンソロジー〜フリージャズ&フリーミュージック 1981~2000』(共著)など。『JazzTokyo』、『ele-king』、『Voyage』、『New York City Jazz Records』、『Jazz Right Now』などに寄稿。ブログ http://blog.goo.ne.jp/sightsong

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