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CD/DVD Disksヒロ・ホンシュクの楽曲解説No. 301

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説 #90 M.E.B. 『That You Not Dare To Forget』

今月はこの楽曲解説で取り上げたいものが多くて非常に困った。通常は追悼関係か、そうでない時は何か書きたい題材があるかとネットを徘徊するが、今月のように書きたいものラッシュの月は実に珍しい。まず2月26日にリリースされたChris Potter(クリス・ポッター)の『Got The Keys To The Kingdom』というヴィレッジ・ヴァンガードのライブ録音がエキサイティングで、これをずっと書きたいと思っていた。ところがこの4月16日にAhmad Jamal(アマー・ジャマー:日本ではアーマッド・ジャマル)が92歳で他界した。マイルスにさえも影響を及ぼした彼を取り上げない訳にはいかないと考え、敬意を評してまずはJamalをと決めて資料を集めていたところ、小曽根真さんのとんでもなく素晴らしいアルバムが4月21日にリリースされた。『A Night in Tokyo』だ。しかもその次の日、22日に今度はマイルスの甥っ子であるVince Wilburn Jr.(ヴィンス・ウィルバーンJr)とLenny White(レニー・ホワイト)のプロデュースによるマイルス絡みバンド、「M.E.B.」のものすごいアルバムがリリースされた。『That You Not Dare To Forget』だ。元マイルス・バンドの二人のドラマーがプロデュースしたのだから期待満々になる。どれを選べば良いのだ。もう悲鳴を上げるしかない。散々悩んだ末、やはり「M.E.B.」の誘惑に負けた。アマーさんごめんなさい。

『That You Not Dare To Forget』

今回はいきなりアルバム解説だ。それほど興奮している筆者であった。ともかくこのアルバムはすごい。1曲を抜き出して解説するのは無理なので、アルバム解説とさせて頂くことをご了承頂きたい。

まずはアートワークだ。これは1987年頃からマイルスの最後までアシスタントを務め、またマイルスの画家仲間だったMikel Elam(マイケル・エラム)によるものだ。エラムがマイルスと過ごした4年間のことがこの記事に紹介されている(リンク→)。このアルバムアートはエラムがアルバムのラフミックスを聴いて創作に着手した作品だ。筆者はこのアートワークの残りがどうしても見たかったので、すでにApple Musicから手にいてれていたこのアルバムのCDを購入した。アルバムデザインは期待以上にすごいものだった。

追記:たった今ヴィンスがエラムのこのアルバムデザインに関するコメント動画を送ってくれた(YouTube →)。このアルバムデザインは、マイルスがどう自分を変えたかを思いながら描いたそうだ。マイルスに会う以前は、(黒人の歴史などの)自分の先祖のこととかを考えていたが、マイルスに会ってからは自分がどこに進みたいかを考えるようになった、と語っている。

『That You Not Dare To Forget』インサート
『That You Not Dare To Forget』インサート
『That You Not Dare To Forget』バックカバー
『That You Not Dare To Forget』バックカバー

余談だが、どうしてアルバムのデジタルコピーにPDFでライナーノーツやクレジットが付いて来ないのか実にもどかしい。以前に「Radiohead」や「nine inch nails」などがこれを実行していて、そういう時代が来ると期待していたのに全くその兆しが見られない。公害の元であるCDを買い続けるしかないことに苛立つ。このアルバムに至っては、エラムの見開きアートワークはヴァイナルでさえ見られない。CDのみなのだ。

アルバムに針を落としてみよう。冒頭<Hail To The Real Chief (Long Version)>のイントロの、ハードロック系のキャッチーなサウンドにガッと惹きつけられる。続く5小節目から始まるグルーヴはまさにマイルスサウンドだ。それに対し、2トラック目の<Bitches Are Back>は間違いなく<Bitches Brew>だが、そのグルーヴはかなり新鮮だ。そしてラップが始まるとこれが『Doo-Bop』を彷彿とさせる。さて、3トラック目の<Over My Shoulder>だ。1トラック目同様短いハードロック系のイントロの後に始まるグルーヴはマイルスにはなかったものだ。この時点ではっきりとこのアルバムの意図が理解できた。マイルスへの愛と賞賛を保ちながらも新しいサウンドを追求するというものだ。このシーケンシング(曲の並べ方)が見事で、アルバム最後に向かって躙(にじ)り寄るような変化を続けるが、ループしてアルバムを聴いていた場合、最初のトラックに戻るのが実に自然なのだ。

このアルバムには80年代に録音されたマイルスの未発表演奏がサンプルされている曲が2曲ある。1トラック目の<Hail To The Real Chief (Long Version)>と2トラック目の<Bitches Are Back>だ。プロダクションとして、うまい仕掛けだ。

このバンド、「M.E.B.」とはヴィンス率いる旧「Miles Electic Band」の新しいバンド名だ。読みはアルファベットで「エム・イー・ビー(発音はエミービー)」、つまり「メブ」でも「ミーブ」でもない。アルバムの表紙には「MEB」と点なしで表記されているのでご注意されたい。2010年以来マイルス・バンド卒業生が集まってライブ活動を続けていたこのバンドは、そのバンド名からマイルスの音楽を演奏するトリビュート・バンドと誤解され続けて来た。その壁を打ち破るためにバンド名を変更し、バンドの趣旨をはっきり提示するためにこのデビューアルバムをリリースしたという経緯だ。このアルバムには3年前コロナで亡くなったWallace Roney(ウォレス・ルーニー)と、昨年車に撥ねられて亡くなったBernard Wright(バーナード・ライト)の演奏がフィーチャーされていることから、いつレコーディングが始まったのかが気になり早速ヴィンスに連絡してみた。

ヴィンスからの情報を交え、それぞれの曲を解説してみよう。ちなみに全作品はレニー・ホワイトの作曲と考えて良いだろう。

1. <Hail To The Real Chief (Long Version)>

この曲はエミー賞を受賞した2020年Stanley Nelson(スタンリー・ネルソン)監督作品のドキュメンタリー、『Miles Davis: Birth of the Cool (邦題:マイルス・デイヴィス クールの誕生)』で発表されたトラックの長いバージョンである、とアルバムのプレス・リリースに書いてあり、え?あの映画にこんな曲はなかったぞ、とびっくりした。ヴィンスに聞くと、この曲はネルソン監督のたっての希望でサウンドトラックに収録されたのだそうだ。まずはイントロを採譜してみた。

<Hail To The Real Chief (Long Version)>イントロ
<Hail To The Real Chief (Long Version)>イントロ

このハードロック系のキャッチーなメロディーはマイルスの音楽にはなかったタイプなので新鮮だ。しかも4小節と短く、続く4小節の第一テーマは曲全体に渡るリフで、このサウンドはまさにマイルスサウンドの継承だ。ヴィンスのスネアとキックのグルーヴの気持ち良いこと。ファンとしては嬉しい。通常の8小節フレーズではなく、わざわざ4小節にしているところがかなりイカしてる。これが第一テーマだ。

<Hail To The Real Chief (Long Version)>第一テーマ
<Hail To The Real Chief (Long Version)>第一テーマ

Aのパワーコードで始まったこの曲、第一テーマで初めてF#マイナーの曲とわかる。但し相当捻りが入っており、レニー・ホワイト本人がシンセでヴォイシングして調性を濁している。イントロのAコードはF#マイナーの関係調だが、パワーコードで3度を省いているので関係調には聞こえないが、移行が自然な理由がこれだ。第一テーマの最初のコードはD/Eで、これはF#マイナーの♭VIコードなので調性内なのだが、シンプルなボイシングでなんとも浮遊感のある素晴らしいサウンドを醸し出している。第一テーマの後半はDコードの代わりにE7のサスペンションコードなのだが、これが実は曲者だ。レニーは殆どE-11コードのようなヴォイシングをしており、つまりこの4小節で意図的にF#マイナーのサウンドを濁しているのだ。その理由は第二テーマで判明する。

<Hail To The Real Chief (Long Version)>第二テーマ
<Hail To The Real Chief (Long Version)>第二テーマ

注目はあちらこちらに出現するCナチュラルだ。つまり、これはF#ブルースだったのだ。Cナチュラルはブルースの♭5なのだ。なんとかっこいいのであろう。ところが続く第三テーマでさらに意外な発展をする。

<Hail To The Real Chief (Long Version)>第三テーマ
<Hail To The Real Chief (Long Version)>第三テーマ

3小節目に登場するFナチュラルは、あたかもBマイナーブルースに転調したようなサウンドを醸し出しているが、リフはF#マイナーのままだ。なかなか新しいアイデアで新鮮だ。

第二テーマだけだとマイルスサウンドの再生バンドで終わってしまうかも知れないが、この第三テーマでのイタズラと、なんと言ってもハードロック系のイントロを間奏として何度も挿入していることから、「マイルスに影響を受けて新しい方向性を目指して進む」という趣旨がはっきりとわかる。なんと楽しいことか。

ちなみにこのトラックはロングバージョンと記されているので、興味本位でサウンドトラックに収められているバージョンと比べてみた。書き出してみる。

  • 00:21 – ロングバージョンでは第一テーマを2回繰り返している
  • 00:49 – ロングバージョンでは第二テーマを2回繰り返している
  • 01:45 – ロングバージョンでは第一テーマを2回繰り返している
  • 02:59 – マイルスのソロとそれに対するQuintin Zoto(クィンティン・ゾト)のギターのカウンターラインがオリジナルでは割愛されている。
  • 03:27 – オリジナルで割愛されていたマイルスのソロの一部と、なんと短いテナーソロがこのロングバージョンに含まれている。このテナーはAntoine Roney(アントワ・ルーニー)で、このソロがマイルスバンドにはなかったサウンドなのでかなり新鮮だ。しかも彼はウォーレス・ルーニーの弟なのだ。
  • 04:14 – オリジナルで割愛されていたバーナード・ライトの強力なシンセソロがこのロングバージョンには含まれている。
  • 04:56 – ここから最後に向けてオリジナルで割愛されていた第二テーマとMarcus Miller(マーカス・ミラー)のガンガンのソロがこのロングバージョンに含まれている。しかもマイルスのソロと掛け合い形式になっており、これが実にカッコいいのだ。

John Scofield(ジョン・スコフィールド)のソロはオリジナルでも割愛されていない。並べて聴き比べてみると、オリジナルはロングバージョンをサウンドトラックのために短く編集したということがわかる。オリジナルにあってロングバージョンにないのはエンディングのみだ。ロングバージョンはフェードアウトしているからだ。それにしてもこのロングバージョンが世に出てめでたい。

2.<Bitches Are Back>

まずイントロを聴くと、これはまさにマイルスの1970年作品、<Bitches Brew>だとわかる。だがかなりおしゃれなアレンジがされている。オリジナルはタイムを強く出していなかったが、この<Bitches Are Back>では思いっきりグルーヴしている。これが進化だ。比べて見よう。

<Bitches Brew>
<Bitches Brew>
<Bitches Are Back>
<Bitches Are Back>

<Bitches Are Back>ではオリジナルのテーマをイントロ風に扱い、あたかも映画のタイトル音楽のようなオーケストレーションが与えられている。そして4小節目のコードだ。<Bitches Brew>ではChick Corea(チック・コリア)がかなり自由にクラスターを弾いていたが、<Bitches Are Back>ではレニー・ホワイトがはっきりしたコードを与えている。CMaj7(#5) だ。決定的な違いはオリジナルのE♭音がEナチュラルに変更されている。オリジナルのイメージを維持しながらもはっきりと新しいサウンドを構築しているのだ。

<Bitches Brew>のテーマに続いてラップが始まる。『Doo-Bop』をもっと聴きたかったファンにはたまらない。この冒頭のラップはこの曲でフィーチャーされてるBlu(ブリュー)ではなく恐らくNas(ナス)だ。

Did it like Miles
Bridging the gap
Jazz to rap
(マイルスがやったようにジャズからラップへの橋渡しだ)

Did it like Miles
Bridging the gap
History of the music on this track
(音楽の歴史がこのトラックに凝縮さ)

Did it like Miles
Bridging the gap
He’s been around the world blowing his horn
(マイルスは全世界にわたってホーンを吹き続ける)

スクラッチが入っていて聞き取りに苦労したので、最終的にヴィンスに電話して助けてもらったのだが、筆者のラップが下手なのでヴィンスに何度も練習させられてしまった。あゝ恥ずかしい。

続くBlu(ブリュー)のラップはかなりスラングで埋まったアブストラクトなものなので、言葉はわかってもとても筆者に邦訳すことはできないが、要するに「ビッチーズ」が帰って来たと言っている。この「ビッチーズ」の単数系、「ビッチ」は「クソ女」という女性に対する屈辱的な言葉なので、<Bitches Brew>が発表された当時、みなアルバムのタイトルの意味がわからなくて騒ぎとなった。いい機会なのでヴィンスに聞いてみた。マイルスが他人を褒める時、Mother F*&#^%(アメリカではこの言葉のスペルを公共の場で使用することを許さないので伏字にした)など最悪の中傷語を使うが、それと同様に「ビッチ」を使用しているだけだ。つまり<Bitches Brew>は「最高のミュージシャンたちが熱い演奏をしていることを表しているのだそうだ。なので<Bitches Are Back>は、マイルスの最高のミュージシャンたちが戻ってきたぞ、と言っている。余談だが、筆者はどうもこの攻撃的な中傷語に慣れない。

追記:ヴィンスがたった今出来立てのプロモーショナル動画を送ってくれたので、是非ご覧頂きたい。

3.<Over My Shoulder>

この曲も1トラック目同様、ハードロック系の短いイントロが入る。それもたったの2小節だ。まるで劇場の開幕のようで実に新鮮だ。

<Over My Shoulder>イントロ
<Over My Shoulder>イントロ

続いて始まるグルーヴと、ピアノのリフにのけぞった。まずグルーヴはニューオリンズ・ファンクだ。筆者の知る限りマイルスが一度も使ったことのないグルーヴだ。そしてピアノのリフをご覧頂きたい。

<Over My Shoulder>ピアノリフ
<Over My Shoulder>ピアノリフ

調性はGマイナーだと言うのに、フレーズの終わりにBナチュラル音が登場する。こじつけて分析すればこの曲はGオルタード・モードの曲だからB♭音とBナチュラル音がぶつかっても問題ないと言えるかも知れないが、ピアノ以外全ての楽器がG Dorianを演奏しているので、オルタードで片付けるのは無理だ。唯一可能な説明は、故意にピアノだけを別世界でふわふわ浮かせている二階建て手法だ。レニー・ホワイト恐るべし。このピアノ・リフが頭から離れない。

Adrien Lamont(エイドリアン・ラモン)のラップにはスラングや中傷語は含まれていないが、やはり邦訳するのはかなり難しい。いや、ラップは言葉の語呂とグルーヴを楽しむものなので訳して理解するようなものではないのかも知れない。但し、やはりメッセージは知りたい。3分31秒の位置でブレイクが入り、そこで強調されているのがそれであろうと思う。

We only look back to appreciate our history
But gotta keep it moving like rotisserie 
(意訳:価値を学ぶためには過去を振り返らなくてはならないが、回転式肉炙り機のようにそれを止めちゃいけないのさ)

曲全体を通して繰り返されるフックを書き出して見る。

Who’s that creeping in my window 心の隙間に入りこむあれは誰だ
I’m just politicking with my kinfolk オレは血縁たちと政治の話をしてるだけだよ
I’m just trynna move where the wind blow オレは風が吹く方向に行こうとしてるだけだよ
I just need a groove and a tempo オレはグルーヴとテンポが必要なだけだよ

ホーン・セクションのグルーヴに乗って繰り返されるこのフックがなんともカッコいい。ベースは筆者が大ファンのDarryl Jones(ダリル・ジョーンズ)だが、バーナードがシンセベースで思いっきりレイドバックしているフィル(おかず)を入れている、これがまたカッコいい。その後登場する彼のシンセソロと、Vernon Reid(ヴァーノン・リード)のギターソロがまたすごい。フレーズのど真ん中で意表を突くように踏み込むディストーション・ペダル。このタイミングが何度聴いても新鮮だ。

4. <Mellow Kiss>

この曲で雰囲気がいきなりガラリと変わる。いきなりシンプルなバラードだ。マイルスがやっていた80年代のバラードよりもっとスムーズジャズ寄りだ。基本はシンプルな2コード、Bメジャーの4度コードと1度コードのみの繰り返しだ。

<Mellow Kiss>主題
<Mellow Kiss>主題

こんな単純な繰り返しなのに、この6分以上に及ぶトラックは聴衆を全く飽きさせない。まずレニー・ホワイトのキーボードが実に素晴らしい。ドラマーが本業なので、キーボードソロもピアノソロもスイング感がピカイチで、何度聴いても溜め息が出る。そして、マイルスの代役を努める故ウォーレス・ルーニーも素晴らしい。マイルスの真似など誰にもできない、と信じている筆者だが、ここでのルーニーはしっかりとマイルスのスピリッツを再現していると思う。筆者がこのルーニーの演奏を受け入れただけでなく、楽しんだことにびっくりした。そして、Ron Carter(ロン・カーター)のベースだ。こういう曲なのでしっかりとグルーヴにハマって演奏しているが、4分30秒を経過した辺りからしっかりとロンの演奏が頭を持ち上げ始める。なかなかエキサイティングだ。ちなみにソプラノ・サックスソロのEmilio Modeste(エミリオ・モデスティ)はかなり若いらしい。Stanley Clarke(スタンリー・クラーク)のツアーメンバーということしかわからなかった。

5. <That You Not Dare To Forget>

Rashae Reeves(写真提供:レニー・ホワイト)
Rashae Reeves(写真提供:レニー・ホワイト)

いよいよタイトルソングだ。この詩は26歳の若手詩人、Rashae Reeves(ラシェー・リーヴス)によるもので、この胸を掴まれるような朗読がまたすごい。彼女は実はレニー・ホワイトの孫娘なのだ。ヴィンスの話によると、このトラックは元々マイルスの最後の結婚相手、女優Cicely Tyson(シシリー・タイソン)がフィチャーされる計画だったが、惜しくも2021年1月28日に96歳で亡くなったので計画変更となった。レニーは毎週金曜の夜Lenny’s Loftという芸術懇談会のようなものを開いており、ある日そこでラシェーが詩の朗読を披露した。それを見たヴィンスが、これだ!ということになったが、若いラシェーはマイルスとシシリーのことなど知らないので、ヴィンスとレニーが色々な話を聞かせた後にラシェーが書いたのがこの詩だそうだ。つまり、この詩はマイルスとシシリーの物語りなのだ。

月の裏側で生まれた、この世のものと思えないこの女神は、その笑顔で彼を魅了し、彼の黒い肌と立派な頬骨を愛した。

というようなシシリーの目からのマイルス賞賛が続き、彼らは切り離せない王と女王であると語る。

BLACK!
he became a sorcerer 彼は魔法使いとなり
summoning her image with every note 彼女の姿を音で呼び出す

afterwards 後に
blood begins to boil 血流が沸騰し始め
hearts simmer, 心臓が煮え
and souls are set ablaze ついに魂が炎に包まれる
collect the ashes 灰を集めなさい
and hold them on your tongues 舌の上に乗せなさい
so that you do not dare to forget そうすれば絶対に忘れることがないから

イントロにまた捻りが入っている。ベース音なしでバーナードのピアノがCコードで始まるので、2小節目にA♭音がベースラインで始まると調性2階建ての現代曲風かと錯覚を起こさせるが、4小節目に至って実はこの曲はFマイナーの曲だったと判明する。つまりCコードは解決しないドミナントだったわけだ。なんとイカしているのだろう。

<That You No Dare To Forget>イントロ
<That You No Dare To Forget>イントロ

この曲でももう一つの目玉はスタンリー・クラークのオブリガードだ。どうぞ心までしみじみとお楽しみ頂きたい。

Stanley Clarke(Photo: © Raj Naik)
Stanley Clarke(Photo: © Raj Naik)

ヒロ ホンシュク

本宿宏明 Hiroaki Honshuku 東京生まれ、鎌倉育ち。米ボストン在住。日大芸術学部フルート科を卒業。在学中、作曲法も修学。1987年1月ジャズを学ぶためバークリー音大入学、同年9月ニューイングランド音楽学院大学院ジャズ作曲科入学、演奏はデイヴ・ホランドに師事。1991年両校をsumma cum laude等3つの最優秀賞を獲得し同時に卒業。ニューイングランド音楽学院では作曲家ジョージ・ラッセルのアシスタントを務め、後に彼の「リヴィング・タイム・オーケストラ」の正式メンバーに招聘される。NYCを拠点に活動するブラジリアン・ジャズ・バンド「ハシャ・フォーラ」リーダー。『ハシャ・ス・マイルス』や『ハッピー・ファイヤー』などのアルバムが好評。ボストンではブラジル音楽で著名なフルート奏者、城戸夕果と双頭で『Love To Brasil Project』を率い活動中。 [ホームページ:RachaFora.com | HiroHonshuku.com] [ ヒロ・ホンシュク Facebook] [ ヒロ・ホンシュク Twitter] [ ヒロ・ホンシュク Instagram] [ ハシャ・フォーラ Facebook] [Love To Brasil Project Facebook]

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