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CD/DVD DisksNo. 332

#2411 『菊地雅章/花道〜ファイナル・スタジオ・レコーディング #2』

text by Kenny Inaoka 稲岡邦彌

Red Hook  RH1008CDS. ¥2,960

菊地雅章(ピアノ)
Masabumi Kikuchi (piano)

1. Manhã de Carnaval (Luiz Bonfá & Antônio Maria)
2. Improvisation II (Masabumi Kikuchi)
3. Alone Together (Arthur Schwartz & Howard Dietz)
4. Improvisation III (Masabumi Kikuchi)
5. I Loves you Porgy (George Gershwin & Ira Gershwin)
6. Improvisation IV (Masabumi Kikuchi
7. My Ship (Kurt Weill & Ira Gershwin)

Recorded at Klavierhaus, NYC, October 2013
Engineer: Rick Kwan
Produced by Sun Chung


唯一無二のピアニスト、菊地雅章の最後のスタジオ録音の第2集。4年前にリリースされた第1集に続いて、没10周年を期して第2集が出た。第1集では6曲中1曲のみがインプロヴィゼーションだったが、第2集では7曲中3曲がインプロヴィゼーションである。2集では1曲ごとにインプロヴィゼーションが演奏される。インプロヴィゼーションにこだわる理由は、スタンダードとまったく違う表情を見せているからだ。
2013年といえば、菊地が没する2年前。気胸を病み、激痛に悩まされていた頃。死因となった肺癌も同時進行していたのかも知れない。このアルバムをプロデュースしたサン・チョンによれば、スタジオで激痛を訴え息も絶えだえ、鎮痛薬を入手してスタジオに戻ってみると、菊地はピアノの上に突っ伏し気を失っていたという。
ここで聴かれる4曲のスタンダードは、どれも菊地が1音1音、胸の深奥から探り出してきたものだ。触れるとはかなく壊れてしまいそうにみえ、永遠の命を宿して強靭そうにも見える。そういう音のつらなりがメロディを作り、空(くう)に浮いている。
2012年、菊地は東京で『黒いオルフェ』と名付けられた即興演奏を中心に編まれたアルバムを残してくれた。2013年のNYでのセッションはスタンダードを中心としたアルバム『花道』になった。夢と現(うつつ)が交互にやってくるが、僕は夢の中に微睡(まどろ)んでいたいので『花道』1と2からスタンダードを拾い出し1枚のアルバムに編集した。

パッケージは、CDは二つ折り紙ジャケ。マット仕様だが、ディスクは裸のまま封入されている。Made in the EUの表記があるからプレス/ジャケットはヨーロッパ製だろう。LPのスリーブはE式、ディスクは半透明。来年のレーベル5周年には二枚組のスペシャル・エディションが予定されているという。

https://www.tokyo-m-plus.co.jp/products/rh1008cds

稲岡邦彌

稲岡邦彌 Kenny Inaoka 兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。2004年創刊以来Jazz Tokyo編集長。音楽プロデューサーとして「Nadja 21」レーベル主宰。著書に『新版 ECMの真実』(カンパニー社)、編著に『増補改訂版 ECM catalog』(東京キララ社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)、共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。最新刊に訳書『キース・ジャレットの真実』(DU BOOKS)。2021年度「日本ジャズ音楽協会」会長賞受賞。

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