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CD/DVD DisksNo. 334

#2426 『金澤英明 / ショウダウン』

text: Keiichi Konishi 小西啓一

Tranquilizer Records TR2501  ¥3,300(税込)

金澤英明(b)
石若駿(ds)
小田原豊(ds)
近藤房之助(g.vo)
井上銘(g)
秋山一将(g)
金澤健太(g)
藤田貴光(org)
山元拓真(p.key)
高橋祐成(p)
五十嵐一生(tp)
林栄一(as)
吉川昭仁(engineer.per.)

1. I’m your Hoochie Coochie Man
2. The Thrill is Gone
3. Sweet Little Angel
4. That’s Life
5. Special You
6. Hymne a l’amour
7. Danny Boy


“自分の原点を探る旅で、現在の自分の体内で鳴る音を追ったんだ…”

辛島文雄トリオを皮切りにサダオさんや板橋文夫、そして極めつけの日野皓正ユニットまで。J-ジャズの主要バンドで、その基部をがっちり固める重要な役割を担い、また自身の作品やユニットなどでも、その存在感を誇示してきた金澤英明。彼はその最新作『ショウダウン』の中で、こんなふうに語っているが、堅実で闊達、力感溢れるそのベース・プレーは、多くのファンを魅了して止まない。最近の彼は故郷の札幌に住まいを移し、同市と東京を行き来しながら、精力的な活動を続けているが、その最新作は札幌(芸術の森スタジオ)と東京(スタジオDede)、関係する2都市で数回 (半年間) にわたり収録されたもので、文字通りの力編である。

先日彼はぼくの担当する、ジャズ番組”テイスト・オブ・ジャズ“ (ラジオNIKKEI)出演のためなどもあり、この新作『ショウダウン』を携え、北の都市からわざわざ上京して来てくれたが、”収録まで少し時間があるから、軽く一杯…”と豪放に笑い、スタジオでも頗る元気旺盛、上記の様な制作意図なども披露してくれていた。

その肝心の新作だが、これは紛れもなく生まれ故郷の札幌という街に拠を移した、そのおおらかな大地&街の讃歌であり、また音楽に心血を注ぐ、ブルース・スピリッツ横溢した生粋な“漢”の、ジャズ&ブルース讃歌でもある。そしてここで取り上げられた7つの有名曲は、それぞれがしっかりとその原点に根付いており、ある種の“悦楽”と“安心感”を聴くものに齎(もたら)す。番組収録後思わず、“いやー、良いねこれ…”と投げると、“そうでしょう…”と自信満々の答えが戻ってきた。

ここでの彼は通常のベースに加え、全編ピッコロ・ベースも併用、自在に多面的に演奏を展開しているが、その力感溢れずっしりと説得力にも富むベース技は、いつも以上に渋く光り愉し気な表情を持つ。またここで彼と行動を共にするのは、その交友関係の多彩さを物語る如く、秋山一将(!)や林栄一など不敵な存在感のベテラン陣から、石若駿、井上銘などバリバリの張り切り俊英まで、総勢なんと11名に及ぶ。自身の息子=健太も、ボトルネック・ギターで1曲参加しており、さらには拠点の札幌で活躍中の若い面々も顔を連ねる。“彼らの音群は、ぼくの期待を遥か超えたものであり、心の豊かさと確固たる実力に裏打ちされた、至高のそれである” と彼は綴るが、その言葉通りに熟練&気鋭の面々が混然一体となって、ブルースからフリーな咆哮まで、音楽の領域を縦横に越境して行くそのさまは。あたかもジャズ(&ブルース)“梁山泊”とでも言えそうな、圧巻の存在感…。野太く柔らかでいて、スッキリとして確固とした、”至高“で”刺さる“音群は、ブルース色がいささか強めであっても、聴くものを確実に魅するはずである。特に<スリル・イズ・ゴーン>など著名ブルース・ナンバー(4曲)での、盟友近藤房之助の熱っぽく豪放に吹っ切れ、泥臭くも洒脱でもあるその歌いっぷり。銘品<愛の讃歌>に於ける、老練~林栄一のフリーキーにして哀切なアルト・サックスの謳い上げ(お気に入りです)等々、チャンジー(瘋癲:ふうてん)のぼくでも、思わず喝采したくなること多し…。

まあこれこそが金沢流の<ザッツ・ライフ>(4)だろうし、ここでの全ての金沢流”老いた足跡“、これもまた仲々に見事なり!

小西啓一

小西啓一 Keiichi Konishi ジャズ・ライター/ラジオ・プロデューサー。本職はラジオのプロデューサーで、ジャズ番組からドラマ、ドキュメンタリー、スポーツ、経済など幅広く担当、傍らスイング・ジャーナル、ジャズ・ジャパン、ジャズ・ライフ誌などのレビューを長年担当するジャズ・ライターでもある。好きなのはラテン・ジャズ、好きなミュージシャンはアマディート・バルデス、ヘンリー・スレッギル、川嶋哲郎、ベッカ・スティーブンス等々。

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