#2446『Banksia Trio / The Great Noon』
『バンクシア・トリオ/ザ・グレート・ヌーン』
text: Seigen Ono オノセイゲン
バンド名の由来である花の原産地、豪州ツアーを経て一段と研ぎ澄まされた「バンクシア・トリオ」、会心の新作発表!
TSGW Records / rings TSGW-003 / RINR-27 CD ¥3,000(税込)/LP ¥5,000(税込)2026.7.22 発売予定
須川崇志 Takashi Sugawa (Bass)
林正樹 Masaki Hayash (Piano)
石若駿 Shun Ishiwaka (Drums)
「バンクシア・トリオ」、待望の 4 作目となるスタジオ・アルバム『The Great Noon』。さらに研ぎ澄まされた「バンクシア・トリオ」の現在地が、ここに刻まれる。
昨年のオーストラリア・ツアーで磨き上げられたオリジナル曲に加え、レコーディング・セッションから生まれた新曲も収録されている。タイトル『The Great Noon』は、ニーチェの「大いなる正午」に由来。古い価値観や虚無感から解放され、自らの生を全肯定する——その精神が最高潮に達する瞬間を象徴する言葉として、Banksia Trio の今を鮮やかに照らす。(メイカー資料より)
1. All Living Things (A1) 2. The Bounce (A2)
3. Great Noon (A3) 4. Jumpin’ Billie
5. All Those Things Are You (B1)
6. Blues for Dino (A4)
7. Dance of Rhizobium (B2)
8. Lento Trees (for PG) (B3)
9. Lampuzec
10. Viicolot (B4) 11. Elephant Knows (B5)
all songs composed by Takashi Sugawa, except M8 by Shun Ishiwaka, M9 and 10 by Takashi Sugawa, Masaki Hayashi, Shun Ishiwaka
Recorded by Akihito Yoshikawa on April 2026 at Studio Dede, Tokyo
■Banksia Trio (バンクシア・トリオ)プロフィール
2017 年、須川崇志 (bass) が、林正樹 (piano)、石若駿 (drums)に声をかけて結成された。バンド名は、実が燃えると種子が蒔かれるという独特な方法で生命を繋いできた、オーストラリア原産の植物に由来する。これまで最新ライブ盤を含む 4 枚のアルバムを発表。
https://www.banksiatrio.com/
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Jazztokyo 稲岡編集長から試聴リンクが送られてきました。いまトスカーナのオリーブオイル農場友人宅ですが、ライヴ・リポートに続いて録音評も書いてみることにしました。以下、超マニアックな録音分析です。
7月22日の発売を待つ本作『Banksia Trio / The Great Noon』。CD、アナログレコードになる前の音だが iPhone MP4でも充分にその良さが伝わってくる。
須川崇志さん本人のとてもよく書けているライナーから拾った情報に、ボクが想像した(笑)ミキシングの様子を解説すると(まちがってるかもしれませんが)、録音とミックスは、Studio Dedeで吉川昭仁さん。①マイク・リストまでは書いていない。②マイク・プリアンプ→ ③Telefunkenの2インチ、16ch、30 IPS(10号リールだと15分くらいしか録音できない)録音したものを、④Pro Toolsに192KHz 24bit?で流し込んでデジタル環境でミックス、⑤マルチDACでアナログ・サミングしてるかや、DACの記載はないが。⑥ここでアナログ・ハーフインチテープにミックスして、それをCDマスタリング、アナログレコードのカッティングに使ったか、⑦もう一つの選択肢は(アナログの経年劣化、マシンによる個体差を無視するために)その場でハーフインチを【11MHz DSDにトランスファーしたのをミックスマスター】それを元にCDマスタリング、アナログレコードのカッティングに使ったかもしれない。
さらにもう一つの選択肢は、⑧アナログ・ハーフインチテープは通さずに(するとテープヒスノイズは遥かに小さくできる)④から直接、デジタルドメインでマスター作成すれば、①②③のアナログならではの音色をよりピュアに生かせる。
(まだここでは明らかにはできない偶然にも、須川さんの)別のあるプロジェクトで、須川さん、石若さん、吉川さん(Studio Dede)まで丸かぶり(笑)のマスタリングを依頼され、吉川さんからSSDで【11MHz DSDでミックスマスター】が届けられた。そのクライアントは納品がCDとアナログレコード用だったので、【11MHz DSD】からそれぞれのメディアフォーマットに合わせたダイナミックレンジに仕上げた。そのSSDには、曲により⑦テープ通し(テープの歪みが味)と⑧ALT MIX(トランスペアレンツ)があり、ギリギリの段階で、静かな曲ではハーフインチを通していない⑧ALT MIXの方を採用することになった。そのボクのマスタリングは、ほぼどの仕事も私家版のマイルス100周年DSD (小川隆夫さんとのイベント用,そこでしか聴けない🤪)も全てまずは【11MHz DSD】にEQ’d COPYを仕上げている。複数のTECHエンジニアに真空管機材をカスタム改造品、試作品なのでアナログでリコールはできない。この先はCD、アナログレコード、配信ならSEQUOIAで、176/32bitから仕上げる。たまたまボクがヨーロッパに出るまえに仕上げた後、こちらに着いたら、Banksia Trio に会うことになるとは、人生全てインプロで😆
須川崇志さん本人のライナーに完結に書かれているので引用しよう:
「アナログテープに録音することのメリットは、デジタルにない滑らかさや豊かな倍音もそうなのですが、個人的に音を噛いて感じる一番の違いは、そこに確かな背景があること。デジタル録音がクリアなアクリル板に描いていく絵なら、アナログテープ録音はキャンバスそのもの。それゆえ、静かな箇所ではテープノイズが聴こえてしまいますが、これはそのまま残してます。今のテクノロジーをもってすれば、このノイズを消す事は難しいことではないそうですが、敢えてそのままに。ノイズとしてではなく、ぜひ音楽の一部として聴いてみて下さい。」
とのこと。
★あ、言いたかったのは、①〜⑧全ての行程で、「滑らかさや豊かな倍音もそうなのですが」、このテープ・コンプレッションも含めて「アナログらしい心地よさ」の正体のひとつは、実は歪みです。オーディオ評論では、「目の前にいるような」「リアルな口元」「原音忠実」「トランスペアレント」「圧倒的な解像度」など、さまざまな表現が並びます。でも、リスナーが本当に受け取っているのは、そうした言葉やスペックではなく、滑らかさや豊かな倍音、その先にある作曲家が込めた感情や演奏家の音色ではないでしょうか。
結局、「音がいい」と感じるかどうかは、測定値だけでは決まりません。パッケージの運命、大前提としてここまで来てしまうと実はリスナーの自由なのです。
それでも間違いないのは、ハードウェアとソフトウェアとは車の両輪だということ。どれほど優れた再生装置があっても、録音や演奏が伴わなければ感動は生まれない。逆に、素晴らしい音楽も、それを正しく伝えるシステムがなければ本来の魅力は届きません。
オーディオは機械を聴くものではなく、音楽を聴くための文化なのです。なんちゃって。 😄、🤪
ボクは録音エンジニアを生業としているが、職人としては、自分の「音」にはまったくこだわりがない。録音エンジニア(やマスタリング)の仕事とは、自分の好きな音を作ることではない。
① プレイバックしたスピーカーから、ミュージシャンが頭の中で思い描いていた音色が聴こえてくれば、それが正解。それ以上にプライオリティは、作曲家が作品に託した意図である。
② もちろん、共同プロデューサーとして作品づくりに参加する場合は話が別だ。その時は職人エンジニアでありながら、アーティストが目指すクオリティ高いゴールへの最短距離を示す責任がある。制作チームの一員としてクリエイティブに関わる。コミュニケーション、ホスピタリティ、そしてなにより貴重な人生の同じ時間,空間を共有すわけだから、現場がクリエイティブで楽しい空気であること。それらも音楽を作るための大切な要素だ。ここではスタジオアシスタントに誰を指名するかはとても重要になってくる。
録音エンジニアは、自己表現ではなく、演奏者と作曲家の表現を未来へ正確に残すための技術だと、ボクは考えている。
歌詞のない音楽は、国境も言葉も軽々と越えていく。作曲家は何を思ってその曲を書いたのか。演奏家はどんな感情を音色に込めたのか。その意図を想像することはできる。けれど、一度CDやレコードというパッケージとして世の中に放たれた瞬間、その音楽はもう作り手だけのものではない。あとはリスナーのものだ。音楽は、聴く人それぞれの人生や記憶と結びついて、新しい意味を持ち始める。
歌詞のない音楽には、言葉では届かないところまで人の心を動かす力があるのだと思う。タイトル付け(作曲家だけの独占的権利でもある)意外に重要なんですよね。
少しだけリスナーとして第一印象。素晴らしいレコードです。それにしてもみなさん、よくコンパクトにまとめられるものです。ジャズならA面に2曲とか...それをよく短くまとめたものです
1.All Living Things
2.The Bounce
キャッチーな出だし。
個人的に特に印象的なのは、10.Viicolot
LP片面20分越えでオーケストラ後ろに入ってもいいと思いました。
8.Lento Trees (for PG)
と
3.Great Noon
も好きです。
うーん、この程度ですから、やっはり音楽評論家にはとてもなれませんね🤪😆
♫ Live Report
https://jazztokyo.org/interviews/post-123640/
オノセイゲン Seigen Ono
録音エンジニアとして渡辺貞夫「ELIS」(85)、清水靖晃「うたかたの日々」(82)、坂本龍一「戦場のメリークリスマス」(82)、ジョン・ゾーン、マーク・リボウほか多数のアーティストのプロジェクトに参加。一方でスイス、モントルー・ジャズフェス4回出演、『COMME des GARÇONS SEIGEN ONO』ほかアルバム多数。アーティストとして40周年を迎えた。「SACDといい音のVinylレコード」の推進者。
Saidera Records、Saidera Paradiso Ltd.主宰
