#1580 『新井陽子/シャドウ・ライト : Yoko Arai / Shadow Light』

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(Wildcat house label 004)

Text & photos by Kayo Fushiya 伏谷佳代

新井陽子 (Yoko Arai) piano

収録(tracks)

1. cloud on the water 水面の雲
2. story of a big sheep and a little wolf 大きな羊と小さな狼の物語
3. phantom boat in the sky 中空の幽霊船
4. dragon’s diary ドラゴンの日記
5. let the cat out of the bag うっかり言ってしまって
6. quarrel between a couple of greenbottle flies キンバエの夫婦げんか
7. calling together 呼び交わす
8. what sings l’angelo nero 黒い天使が歌を
9. grin without a cat チシャ猫の笑い
10. waldesrauschen 森のざわめき
11. green ripples 緑の波紋

total time: 61:41

Recorded on May 24, 2018 @ 埼玉県越生町・山猫軒 Yamaneko-ken, Ogose, Saitama
engineer: 南達雄 (Tatsuo Minami)

title & cover painting: 高村木綿子 (Yuko Takamura)
design: 嶌田昭成 (Akinari Shimada)
piano tuning: 清水直樹 (Naoki Shimizu)
photos: 宅Shoomy朱美 (Akemi Shoomy Taku), 松尾エリカ (Erika Matsuo), Aratani R
liner notes: 伏谷佳代 (Kayo Fushiya)


埼玉の越生にあるギャラリー&カフェ山猫軒。1980年代より彼の地に居を定めたカメラマン南達雄氏による手造りの温もりあふれるスペースは、エンヤ・レコードのホルスト・ウェーバーを始め、ミュージシャンはもとより多くの音楽関係者に愛されて今日に至る。その南氏が立ち上げた「山猫レーベル」の企画第4弾として制作されたのが、本作『Shadow Light』。新井陽子は即興を活動の主軸とし、ダンスやヴォイスなどとのコラボレーションによる身体表現としてのピアノ音楽、トランペットの北陽一郎とのデュオによるショスタコーヴィッチの音楽を解体・再構築するシリーズ『ショスタコ魂』、海外ではロンドンやベルリン、ケルンなどで現地のミュージシャンとの共演を重ねるなど、多彩な活動を行ってきた。運動神経、感覚の鋭敏さ、習得された技巧など表現者のパーソナルな側面とともに、時と場所との感応の度合が即興演奏に及ぼす度合は計り知れない。非定型へ至る導線の発見、その連続が即興という営みである。現代社会の在りようと真逆を行くような「場」の磁力が、新井陽子の音楽性や身体感覚の自由な飛翔を後押しする。「即興とはなにか」という問いへの返答が等しいウェイトで偏在する、11編の対話の記録(タイトルは後づけ)。一音一音が闊達な新井のピアノだが、その粒立ちの良さにしっかりと応える楽器のコンディション、木造建築がうむ音響効果も過不足ない自然さをまとう。静寂やユーモア、慟哭や喧騒までをストレートに反映しながら大きく包みこむ一筆書きのような仕上がり。音源からインスピレーションを受けて制作された高村木綿子のジャケット画も音楽との美しい呼応をみせている。(*文中敬称略。伏谷佳代)


 


<関連リンク>

https://www.yamaneko.info/
http://www.geocities.jp/anoyoarayo/index.html

伏谷佳代

伏谷佳代

伏谷佳代 (Kayo Fushiya) 1975年仙台市出身。早稲田大学卒業。幼少時よりクラシック音楽に親しみ、欧州滞在時 (ポルトガル・ドイツ・イタリア) に各地の音楽シーンに通暁。欧州ジャズとクラシックを中心にジャンルを超えて新譜・コンサート/ライヴ評、演奏会プログラムの執筆、翻訳などを手がける。

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