#1594 『Aron Namenwirth – Eric Plaks – Sean Conly – Jon Panikkar / Hurricane』

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Text and photos by Akira Saito 齊藤聡

Culture of Waste Records

Aron Namenwirth (g)
Eric Plaks (key)
Sean Conly (b)
Jon Panikkar (ds)

1. Bad news
2. The quiet
3. Wild wind
4. Wicked waves
5. The eye
6. Sublime indiscrimination
7. Deep water suffocation
8. Withdrawal

Recorded at Scholes Street Studio by René Allain, September 12, 2018
Mixed and Mastered by Jon Rosenberg

ニューヨーク・ブルックリンのブッシュウィックにはBushwick Public Houseという地下のハコがあって、毎週月曜日の夜に、テナーサックス奏者のスティーヴン・ガウチが企画しての「Bushwick improvised music series」が行われている。毎回5バンドくらいの対バンであり、ウィリアム・パーカーやダニエル・カーターのような大ヴェテランから、これからことを成そうとするインプロヴァイザーまでが公平に参加する。いわば実験場というコミュニティである。

本アルバムで演奏する4人はその常連であり、そのことが、誰にも似ていない音楽を創出する者として有資格であることを意味している。

コントラバスのショーン・コンリーは重量級の推進力を持ちながら、他メンバーを浮揚させる力もまた大したものであり、同時に人間くさく泥の匂いも感じさせる(キャリアが長く吹き込みも多いが、そのような雰囲気が色濃く出た2002年の『Grass Roots』などは傑作だ)。

ドラムスのジョン・パニカーもまた絶えることのないエネルギーを注ぎ込む。「The Quiet」などにおけるブラシもサウンドに亀裂を入れるようで悪くないが、何よりも、バスドラムが聴く者にボディブローを打ち込み続ける熱さがある。

エリック・プラクスのピアノを観たときには少なからず驚かされた。例えば両手を同時に外側に過激に広げたり、左手を痙攣させてその側面で鍵盤を叩いたりと、なかなか鮮烈なスタイルなのだ。サウンドの構造をその都度無形から作り上げんとして独自の方法論を模索しているように思える。最近のピアノトリオ作『Sun and Shadow』やカルテット作『Chrysalis』もその個性が出ていて好盤だ。また、2008年の『Some Ones』やその翌年の『Live at Bronx Community College』にまで遡ると、十年前に既にあったユニークさとその後の発展を感じ取ることができる(それらのアルバムでは、パニカーがやはりボディブローを連打している)。

そしてギターのアーロン・ネイムンワース。ジャズギターのフレージングではなく、EBowも駆使し、連続的に、その音色も太さも変貌させながら、異形の波動のように、サウンドの宇宙をどこまでも飛翔する。その音はときに金属的であり、ときにヴァイオリンを思わせ、またときにパニカーのバスドラムとともに攻撃に転じている(「Deep Water Suffocation」などにおいて)。

かれらがバンドとして疾走するとき、それぞれのやり方での四者の音が別々に耳に飛び込んでくるとともに、噛み合いによる快楽物質も聴く者に分泌させる。ブルックリンに瞬間移動するがごときものだ。

(文中敬称略)

2017年9月11日、Bushwick Public Houseにて(photo by Akira Saito 齊藤聡)

齊藤聡

齊藤 聡(さいとうあきら) 著書に『新しい排出権』、『温室効果ガス削減と排出量取引』(共著)、『これでいいのか福島原発事故報道』(共著)、『阿部薫2020 僕の前に誰もいなかった』(共著)、『AA 五十年後のアルバート・アイラー』(共著、細田成嗣編著)、『開かれた音楽のアンソロジー〜フリージャズ&フリーミュージック 1981~2000』(共著)、『高木元輝~フリージャズサックスのパイオニア』(共著)など。『JazzTokyo』、『ele-king』、『Voyage』、『New York City Jazz Records』、『Jazz Right Now』、『Taiwan Beats』などに寄稿。ブログ http://blog.goo.ne.jp/sightsong

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