#1621 『Days of Delight Quintet / 1969』
『デイズ・オブ・デライト・クインテット / 1969』

閲覧回数 955 回

text by Keiichi Konishi  小西啓一

Days of Delight  DOD-003 ¥2,500+tax

 

塩田哲嗣(bass )
曽根麻央(trumpet)
太田 剣(alto saxophone)
吉岡秀晃(piano)
大坂昌彦(drums)

1. Attractive Vamp
2. The Sidewinder
3. TARO
4. Minor Blues
5. Driftin’
6. Fee-Fi-Fo-Fum
7. Tower of The Sun
8. Time

Recorded by Nori Shiota & Katsuhiro Tajima (assistant engineer)
2018年2月11日 at 新宿Studio Greenbird

Mix-down by Nori Shiota
2019年4月 at 88GEP Studio

Mastering by Jett Galindo
2019年5月at Bakery Mastering@ Culver City,CA


「独自の進化を遂げた(1970年代)“日本人ならではのジャズ”。あの熱き時代のジャズ遺産に目を向けつつ新作も発表していき、日本のジャズの温故知新をモットーに…」という、雄々しいレーベル宣言と共に昨年秋に立ち上げられた新ジャズ・レーベル “デイズ・オブ・デライト”。今回70年代のJ-ジャズ名演コンピレーション・アルバムと並んで届けられた、その期待の新作は『1969』。

何やらタイトルも意味深の様だが、演奏内容も豪華な面々のスペシャル・ユニット(=デイズ・オブ・デライト・クインテット)によって、あの良き・熱き時代のジャズ~ストレート・アヘッドなジャズの “今”を、“圧倒的な熱量” を伴い活写した仲々の力作である。

曽根麻央(tp)、太田剣(as)という気鋭のフロント・ライン (2人のプレーが抜群!)に、吉岡秀晃(p)、大坂昌彦(ds)という百戦錬磨のベテラン・リズム陣を配し、20代から50代までまさに世代縦断のオールスターズとも呼べそうな、実力派の面々を束ねるリーダーは、手練れのベーシストにしてレコーディング・エンジニア (本作の録音も彼の担当)、さらに辣腕プロデューサーといった多くの顔を持つ鬼才、塩田哲嗣。<ザ・サイド・ワインダー>等の人気ジャズ・チューン以外、残りのナンバー(5曲)はすべて彼のオリジナルになるもので、このアルバムに対するその力の注ぎ込みようも良く判ろうというもの。さらに2管ユニットの基部をしっかりと支え、出るべきところは出るという趣きで、ベーシストとしての腕前もさすがのもの。

ところで彼のオリジナル・ナンバー以外の、リー・モーガンのジャズ・ヒット・チューン<ザ・サイドワインダー>(63年)を始め、ハービー・ハンコックの初リーダー作『テイキン・オフ』(62年)に収められた<ドリフティン>、ウェイン・ショーターの注目作『スピーク・ノー・イーヴル』(65年) 収録のオリジナル<フィー・フォイ・フォー・フム>。これらはいずれもモダン・ジャズのまさに “デイズ・オブ・デライト” 時代(60年代中期)に、名門 “ブルーノート(BN)” に吹き込まれた銘品で、フロントがペット&テナーの2管編成のナンバーばかりという点などからも (太田の楽器がアルトであるのも、ユニットの熱量アップにプラスされるようだ)、このスペシャル・ユニットの目指すところはある程度明白だろう。そしてあの時代のスピリッツを “今” に…という狙いも、それなりに成功しているとも言えそうだ。

塩田のオリジナルでは、<タロウ>と<タワー・オブ・ザ・サン>という哀感のこもったバラード2曲が (後者は途中でテンポ・アップされムードが一変するが…)、メロディの良さに加え曽根・太田の熱演も相まって印象深い。また<マイナー・ブルース> 等は、まさにタイトル通りにあのジャズの “デライト時代“ の高揚感を写し取って、かなり懐かしくも愉しい。上記の人気3曲では、ハード・バビッシュなモーガン、ハンコックのヒット・オリジナルよりも、一寸ひねりを効かせたショーターのナンバーの方が、フロントの2人にはよりフィットするようにも思えるのだが…。

いずれにせよ、このスペシャル・ユニットが、皆様 (とくに若いファンの方たち) にどう受け取られるか…、仲々に興味そそられるところでもある。

アバター

小西啓一

小西啓一 Keiichi Konishi ジャズ・ライター/ラジオ・プロデューサー。本職はラジオのプロデューサーで、ジャズ番組からドラマ、ドキュメンタリー、スポーツ、経済など幅広く担当、傍らスイング・ジャーナル、ジャズ・ジャパン、ジャズ・ライフ誌などのレビューを長年担当するジャズ・ライターでもある。好きなのはラテン・ジャズ、好きなミュージシャンはアマディート・バルデス、ヘンリー・スレッギル、川嶋哲郎、ベッカ・スティーブンス等々。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

↓ ロボットでないかお知らせください。 * Time limit is exhausted. Please reload CAPTCHA.

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。