#1979『近藤等則/Tokyo Meeting 1984』

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TKR TKC-018
2020年3月11日発売

Tokyo Meeting 1984:
近藤等則 Toshinori Kondo (trumpet, Chinese oboe, voice, speaker, percussion)
ヘンリー・カイザー Henri Kaiser (guitar)
渡辺香津美 Katsumi Watanabe (guitar, ektar)
高橋悠治 Yuji Takahashi (piano, ektar, voice, toy-piano)
セシル・モンロー Cecil Monroe (drums)
坂本龍一 Ryuichi Sakamoto (synthesizer)
ビル・ラズウェル Bill Laswell (bass)
ロドニー・ドラマー Rodny Drummer (bass)
仙波清彦 Kiyohiko Senba (percussion, ektar, piano)
ペーター・ブロッツマン Peter Broetzmann (tenor-sax, alto-sax, clarinetto, tarogato)

<収録>
9 sessions

Total time: 57:58

Live recording at the Live Inn, Shibuya, Tokyo, March 20-21, 1984
Recorded by Tsutomu Sudo
Illustration by Katsu Fukuda
Jacket Designed by kondouyota


演奏が始まるまえの、会場の熱気がいい。集まった人々の音への渇望が伝わる。今から36年前の渋谷・ライヴイン。当時は危ないことをやっている血気盛んな連中という扱いだったのだろうが、今ではいやはや恐れ多いレジェンド揃いの超豪華メンバー。

近藤等則が ”Love the Earth” プロジェクトとしてリリースしている6枚のうちの1枚。全体を覆うエレクトリック・サウンドは爆音も気持ちいいロック的なアプローチだが、これだけの腕利き揃いになると個々の技倆(ぎりょう)、その細部までが粟立って充実している。有無を言わさず前進していく「ノリ」とミクロなリアルが同時に進行、聴きすすむごとに感覚は研ぎ澄まされ、覚醒してゆく。音量と音質がイーヴン。生楽器の身体性が成功裡に飛躍する。時期的にYMOを解散したばかりの坂本龍一、電子音楽にのめり込んでいた高橋悠治が西洋音楽の系譜から逃れ得ない薫り高さをキッチュに滴らす一方で、のちのDie Like a Dogを思わせるブロッツマンのフリーキーで脳天を愚弄するかのような囀り(tracks.3)、ビル・ラズウェルとロドニー・ドラマーの2人の猛者が牽引する屈強なベース・ライン(tracks.2, 5)、楽器らしさをことごとく剥奪した渡辺香津美のギター(tracks.4)など、シーンは怒涛のごとく湧出し、切り替わる。また、それらがメロディや歌謡へと崖っぷちで雪崩れ込む反転具合が何ともスリリング。片や個々のソロをフォーカスしたとき、ちょっとした抜けにも哀感がある。こうした無意識の「味」こそ、トップ・プレイヤーたる証左。アクの強い「Ohayoの歌」に始まり、近藤等則と高橋悠治とのヴォイスの応酬が聴ける(tracks.6)という一点を取ってもレア音源と言える。全員参加、キレッキレの「チャイナ・ブギ」(tracks.8)に、もはや解説は陳腐。

この場に居合わせた人々が、羨ましい。(*文中敬称略)

*近藤等則 “Love the Earth”Projecthttp://www.toshinorikondo.com/


東京ミーティングについては、本誌稲岡編集長のコラムに詳しい。
https://jazztokyo.org/column/inaoka/post-21975/

〈links〉
http://www.toshinorikondo.com/
https://www.discogs.com/ja/artist/180275-Henry-Kaiser
http://www.kazumiwatanabe.net/
http://www.suigyu.com/yuji/
https://www.discogs.com/ja/artist/314334-Cecil-Monroe
https://www.skmtcommmons.com/
https://www.discogs.com/ja/artist/661-Bill-Laswell
https://www.discogs.com/ja/artist/389462-Rodney-Drummer
http://www.3-dcorp.com/SEMBA/
https://diskunion.net/jazz/ct/list/0/2074

伏谷佳代

伏谷佳代

伏谷佳代 (Kayo Fushiya) 1975年仙台市出身。早稲田大学卒業。幼少時よりクラシック音楽に親しみ、欧州滞在時 (ポルトガル・ドイツ・イタリア) に各地の音楽シーンに通暁。欧州ジャズとクラシックを中心にジャンルを超えて新譜・コンサート/ライヴ評、演奏会プログラムの執筆、翻訳などを手がける。

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