#1996 『John Scofield / Swallow Tales』
『ジョン・スコフィールド/スワロウ・テイルズ』

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Text by Hideo Kanno 神野秀雄

『John Scofield / Swallow Tales』
『ジョン・スコフィールド / スワロウ・テイルズ』

John Scofield Guitar
Steve Swallow Bass
Bill Stewart Drums

She Was Young
Falling Grace
Portsmouth Figurations
Awful Coffee
Eiderdown
Hullo Bolinas
Away
In F
Radio

All composed by Steve Swallow

ECM Records ECM2679 / ユニバーサルミュージック UCCE-1183 (June 12, 2016)
Recorded March 2019
The James L. Dolan Recording Studio at NYU Steinhardt, NY
Engineer: Tyler McDiarmid
Executive producer: Manfred Eicher

スティーヴ・スワロウ・ソングブックをスティーヴ・スワロウ自身が参加し、ドラムにビル・スチュワートが加わったジョン・スコフィールド・トリオで演奏した待望のアルバム。スティーヴが参加したゲイリー・バートン・グループや『Gary Burton & Keith Jarrett』、またカーラ・ブレイとスワロウのデュオなどではスティーヴの曲が大きな存在感を放って来た。
また、ビル・エヴァンス&エディ・ゴメスの<Falling Grace>をはじめ、チック・コリア&ゲイリー・バートン・デュオで、そしてジョン・スコフィールド・トリオで、とたくさんのアルバムやライヴがスティーブの名曲の数々で彩られて来た。

1940年10月4日、ニュージャージー州フェア・ロウンに生まれたスティーヴ・スワロウ、1951年12月26日にオハイオ州デイトンに生まれたジョン・スコフィールド。そして、1966年10月に生まれたビル・スチュワート。という年齢感になる。ジョンが初めてスティーヴに会い一緒に演奏したのは、バークリー音楽大学の学生だった20歳のとき。それから師として友人として長く関係を築きながら、ジョンはスティーヴの歌を心から愛した。それがソングブックアルバムとして結実するのに40年がかかった。

現在、ジョンは、ニューヨーク大学(NYU)の非常勤教授を務めており、このアルバムもNYU内のスタジオで録音されているのも興味深く、下にYouTube動画をつけたが、NYUにおける、ジョンとスティーヴのインタビューもあるのでぜひご覧いただきたい。レコーディングにはマンフレート・アイヒャーは立ち会っていなかったと推測される。

美しいうたを持つ<She Was Young>に始まり、最も有名で広く演奏されている一曲<Falling Grace>へ。<Hullo Bolinas>は、ここでは収められていないが<I’m Your Pal>とあわせて、『Chick Corea & Gary Burton / In Concert, Zurich, October 28, 1979』(ECM1182/83)で記憶される方も多いかも知れない。<Radio>では、「ソロを取るのがとても難しいハーモニーの曲だが、もう40年は演奏しているから言い訳はできない。」とジョンが解説している。人気曲の中では、小曽根 真が参加した『Gary Burton Quartet / Real Life Hits』(ECM1293)にも収められた<Ladies in Mercedes>が収録されなかったのは残念だが、この曲はピアノがある編成により向いていると考えると納得がいく。

ジョンとスティーヴの相性があまりによいため、ときに「ひとつの大きなギターで低音部と高音部が鳴っているように感じる」とジョンが語っているが、まさに全編にわたって、2人の音色が心地よく一体感、連続感をもって響き合う。ビルのドラミングは、ジョンによれば「ドラムス以上のもので、メロディーを持ち、とてもスイングする」と言い、3人の”うた”が穏やかに豊かに空気を充たしていく。またスイングという言葉では語り切れない不思議なドライブ感もこの3人ならではの持ち味だ。そして、そのインティメイトな空気の中で、スティーヴの名曲が次々に演奏されていくのをじっくり聴くことのできる珠玉の1枚となった。


©Riberti Cifarelli / ECM Records

Conversations with Steve Swallow & John Scofield
NYU Steinhardt Jazz Interview Series with Dr. David Schroeder (February 14, 2018)

John Scofield / Country for Old Men
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神野秀雄

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。東京JAZZ 2014で、マイク・スターン、ランディ・ブレッカーとの”共演”を果たしたらしい。

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