#2007 『武本和大/ I Pray』

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Text by Hideo Kanno 神野秀雄

『武本和大 / I Pray』
『Kazuhiro Takemoto / I Pray』

武本和大 Kazuhiro Takemoto (Piano)
佐藤潤一 Junichi Sato (Bass, M1,2,3)
北井誉人 Kunito Kitai(Drums,M1,2,3)
田谷紘夢 Hiromu Taya (Piano, M4)

1. Get Across
2. In the Distance
3. Samba for “KKJ”
4. As time goes on (Two Piano’s ver)
5. I Pray (Piano solo)

All songs composed by Kazuhiro Takemoto
Recorded & Mixed by 加藤侑作 at YAMAHA 銀座スタジオ

ヤマハ ミュージック エンタテインメント ホールディングス
2020年8月26日より、Apple Music、AWA、Spotify、LINE Music などで配信

武本和大は、1995年、東京生まれ。ヤマハ音楽教室でエレクトーンを学び、中学校2年生からジュニア・エレクトーン・フェスティバル全日本大会で3年連続金賞受賞、2013年には高校2年生でYECエレクトーン世界大会A部門第1位に。高校生からジャズピアノを塩谷 哲に師事。国立音楽大学ジャズ専修に入学後は、ジャズピアノを塩谷、小曽根真、宮本貴奈に師事し、2018年、主席で卒業。世界初ソシアルダンス・ミュージカル「Dance with me!!」総合音楽監督に就任。2015年「GUCCI TIME PIECES AND JEWELRY 音楽基金」の奨学生に選ばれ、 GRAMMY CAMP ロサンゼルス招待留学。2019年から浜田省吾(ds)とともに井上陽介トリオに加入、『New Stories』(ポニーキャニオン、2019年1月)に参加し、浜田省吾とともに井上陽介トリオで活動を続けて来た。言い換えると小曽根真が率いる国立音楽大学ジャズ専修で教鞭を取る井上が気鋭の教え子を厳選して作ったトリオだが、武本のファーストEPアルバム『I Pray』も、ベースで井上の弟子にあたる佐藤潤一をはじめ、北井誉人と田谷紘夢の国立卒の同世代で創っている。

COVID-19以降の小曽根 真のブルーノート東京公演では、気鋭の若手たちを”Rising Star”として、最初に紹介されたのが、6月20日公演の佐藤潤一であり、その後、武本和大は、No Name Horses公演で紹介された他、「JAZZ MEETS CLASSIC」では、小曽根真のピアノ協奏曲<もがみ>においてハモンドオルガンを担当した。ドラマーの北井誉人も「飛鳥II」クルーズでの小曽根真トリオに抜擢されている。

本作は、すべて武本作曲の曲で構成されている。最初の3曲は国立音大時代から長く演奏を共にしている Kazuhiro、Kunito、Junichiの”KKJトリオ”で。<Get Accross>はスピード感と広がりと変化に富んだ曲で、佐藤と北井が醸し出すドライブ感もすばらしい。<In the Distance>は井上陽介トリオでもよく演奏され、曲を作ろうとしたときに”遠く”に意識を置く中で生まれた曲だという。佐藤のエレキベースの豊かな表現力が光る。リチャード・ボナ、アンソニー・ジャクソンらも愛用しているフォデラ製のベースで、その柔らかく粘りのある音色で佐藤の歌を聴かせ、武本の繊細なピアノとの響き合いが美しい。<Samba for KKJ>は軽快で遊び心のあるハッピーな空間を作り、塩谷や井上の世界観にも通じる。

武本和大と田谷紘夢は音楽高校からの仲で、2020年2月にはピアノデュオ・コンサートを開催している。<As time goes on>は、時間の不可逆性や不確実性をサウンドで表現するようなシリアスな演奏になっている。

ピアノソロによるタイトル曲<I Pray>は亡くなった祖母に感謝を込めて捧げられた演奏。そして、COVID-19下の厳しい時代にあって、愛と安らぎを感じさせる1曲で締めくくることとなった。

初のリリースに拍手を贈りつつ、武本&佐藤を中心に今後さらによいアルバムを作っていくのびしろがあると感じた。ライヴでの自由さや鳥肌の一瞬をさらにアルバムに捉えられたら。また、たとえば国立卒の人脈を離れた取り組みからの多様性の広がり、今後の海外での活躍と出会いにも期待し、応援していきたい。

井上陽介トリオ In The Distance
井上陽介(bass)、武本和大(piano)、濱田省吾(drums) 2020年6月4日 青山Body & Soul

神野秀雄

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。東京JAZZ 2014で、マイク・スターン、ランディ・ブレッカーとの”共演”を果たしたらしい。

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