#2025 『IMMORTAL ONION / XD experience design』
『イモータル・オニオン/XD エクスペリエンセ・デザイン』

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text by Hiroaki Ichinose 市之瀬 浩盟

 

20 / U Know Me Records / UKM079

Tomir Spiolek トミール・スピオレック(grand piano/electronic piano/synths)
Ziemowit Klimek ジモヴィック・クリメック(moog/bass guitar/upright bass )
Wojtek Warmijak ヴォイテック・ヴァルミアック(ds)

1. Eye Tracking
2. Triggers
3. Omnichannel Journeys pt.I
4. Significance
5. Omnichannel Journeys pt.II
6. Interaction
7. Intensity
8. IA (Information Architecture)

Recorded at Monochrom Studio
Engineered by Ignacy Gruszecki
Mixed by Envee at Quality Studio
Mastered by Eprom at Eprom Sounds Studio
Cover design by Martiszu
Executive producer Marcin GROH Groskiewicz


不規則で不均一なピースが作り出す積木細工

ポーランドの若きピアノトリオ「イモータル・オニオン」の2作目にあたる新譜である。
’17年に発売の第1作目『OCELOT OF SALVATION』(REQUIEM-RECORDS / 148|2017)で私の脳髄のなかを素手でぐちゃぐちゃにこねくり回してくれた彼らから待望の2作目が届いた。

相変わらずの変拍子、複雑なリズム展開の中できちんとしたメロディが奏であげられていく。
それはまるで丸、三角、四角、多角形…いやそんな簡単な形のピースではなく様々な歪 (いびつ) な形の “ビート” で組み上げられる積木細工に聴こえてくる。
出来上がるであろう建物のかたちは凡そみえるのだが、それぞれのピースが余りにも歪なのである。しかし3人の鉄壁の理解と協調のもと、次々と”歪 なリズムに分断されながらもリズムにのったメロディ” という初めて目の当たりにする美しく爽快でそして壮大な建物が次から次へと出来ていく。ぼさっとしていられない。”そのピースじゃあ崩れるよ!、ほらほら危ない!あっ崩れ…” ないばかりか次の建物が出来ていくそのさまを全身で受け止める快感は唯一無二の存在感となってこの身を駆け巡る。

* * *

バンドの公式サイト: https://immortalonion.com/ によると、2016年の春に結成されている。また、影響を受けたミュージシャンに e.s.t. (Esbjörn Svensson Trio)、上原ひろみ、ティグラン・ハマシアンの名前があがっている。写真からはまだ20代前半と見受けしこの3人。もちろん彼らの音に触発されてきただろうが、決して模倣など何処にもない。自分たちの “音” をデビュー盤からすでに完璧に作り上げてしまった。

数多ある欧州新感覚派・近未来派ピアノトリオの中でも他とは確実にぶっ飛び、かけ離れたところを遠慮など全くなく疾走していくこの若き3人。日々一夜たりとも探索の手を緩めぬ “新しい欧州リアルタイムピアノトリオにまたひとつ巡り逢えた歓びという名の美酒” に酔い潰れた。

市之瀬浩盟

市之瀬浩盟

長野県松本市生まれ、育ち。市之瀬ミシン商会三代目。松本市老舗ジャズ喫茶「エオンタ」OB。大人のヨーロッパ・ジャズを好む。ECMと福助にこだわるコレクションを続けている。1999年、ポール・ブレイによる松本市でのソロ・コンサートの際、ブレイを愛車BMWで会場からホテルまで送り届けた思い出がある。

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