#2199 『高樹レイ Anniversary/武満徹 SONGS』

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text Keizo Takada 高田敬三

A Taste of JAZZ ATOJ 2204 ¥2700+税(2022.10.01発売予定)

ANNIVERSARY:
高樹レイ (vocal)
内山覚 (guitar)
岩石功 (blues harp)

1. 三月のうた(作詞:谷川俊太郎)
2.死んだ男の残したものは(作詞:谷川俊太郎)
3.小さな空(作詞:武満徹)
4.島へ(作詞:井沢満)
5.めぐり逢い(作詞:荒木一郎)
6.見えない子供(作詞:谷川俊太郎)
7.ワルツ”他人の顔”より(作詞:岩渕達治)
8.MI・YO・TA(作詞:谷川俊太郎)
9. 明日ハ晴レカナ曇リカナ(作詞:武満徹)
10.翼(作詞:武満徹)

録音:2021.11.12&13
Jazz工房Nishimura(福岡)
Arrange: Rei Takagi&ANNIVERSARY
Cover Photograph&Design: Koh Iwaishi


バラードでは定評のあるベテラン・ジャズ・ボーカリスト、高樹レイを中心にギターの内山覚、ハーモニカの岩石功によるユニット、Anniversayによる現代音楽、映画音楽の作曲家、武満徹の歌曲集。高樹レイは、10年以上前、ライヴで日本語の「リンゴ追分」や「五木の子守歌」を即興で歌いはじめ好評を得ていたが、ピアノの田中信正とのデュオでツアーをしていた時、ファンから武満徹の「翼」をリクエストされたという。田中からは、「小さな空」も良いと云われ、武満徹の歌を本や録音から研究する中にどんどんその魅力に引き込まれて行き、ツアーの時も武満の歌を一曲二曲交えて歌うようになった。市川秀男や伊藤志宏と武満徹トリビュート・ライヴなども行った。
九州ツアーの折りに飛び入りで参加した佐賀出身のハーモニカの岩石功の10穴のハーモニカ、ブルース・ハープによる哀愁を帯びた演奏は、武満の歌にピッタリだと感じたが、彼自身も武満ファンだった。彼の紹介で武満徹自身の講義も受けたことのある福岡出身のギター、内山覚を紹介され、Anniversaryというユニットを作り活動していたが、何時か武満ソングスのアルバムを作りたいと思っていて、ここにきてやっと自費出版の形で実現したのが、彼女にとっては、満を持しての異色の武満ソングス・アルバムだ。「三月の歌」と「翼」では武満徹SONGSの英訳本からの英語の歌詞を引用したり、「小さな空」では自作の語りも交えたりして全曲日本語で歌っている。有名な武満徹と谷川俊太郎による反戦歌、「死んだ男の残したものは」は、最近のきな臭い世の中、胸にこたえるものがある。音数の少なく情緒あふれる内山のギターと素晴らしい感性のハーモニカ奏者、岩石功の哀愁を帯びたブルース・ハープと一体となって気持ちの入ったバラード中心の高樹レイならではの武満徹ソングスを聞かせるアルバムだ。
内山覚は、福岡出身のギタリストで渡米してバークリー音楽院で学び、アメリカで活躍を始め、帰国後は、九州を中心に活動している。空間を極上に奏でるスタイリストで、3枚のリーダー・アルバムがある。岩石功は、佐賀出身のブルース・ハープ奏者、2年続けてFIHハーモニカ・コンテストのファイナリストに連続選出されている。ジャズ、ロック、現代音楽とジャンルを跨いでオールラウンドに活躍するマルチなタレントのプレイヤーで本作の秀逸なジャケット・デザインも彼が担当している。彼も2枚のリーダー・アルバムがある。Anniversaryは、別に何かの記念日ではなく、武満とは関係なく3人が良く打ち合わせに使った佐賀の美味しいパフェ専門店の名前を拝借したものだという。

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高田敬三 Keizo Takada
東京都出身。早大卒。膨大なコレクションとともにジャズ・ヴォーカル通として内外に知られ、音楽紙誌に執筆。高田馬場 introにて「ボーカルを楽しむ会」主宰。

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