#2283『Various Guitarists / IGNITION J-Guitars Selection』
『ヴァリアス・ギタリスト/イグニッション Jーギターズ・セレクション』
text by Tomoyuki Kubo 久保智之
STEPS RECORDS
STPR041
1. 朝焼け / CASIOPEA
野呂一生(G)/ 向谷実(Key)/ 桜井哲夫(B)/ 佐々木隆(Dr)
2. Maybe Love / YOU
斉藤英夫(G)/ 福田裕彦(Key)/ 荻原基文(B)/ 斉藤亮(Dr)
3. BELIEVIN’ / ナニワエキスプレス
岩見和彦(G)/ 青柳誠(Key, Sax)/ 中村建治(Key)/ 清水興(B)/ 東原力哉(Dr)
4. MORNING / プリズム
和田アキラ(G)/ 久米大作(Key)/ 伊藤幸毅(Key)/ 渡辺建(B)/ 鈴木徹(Dr)
5. CRASH! / ハングライジ
中野豊(G)/ 川口雷二(Dr)/ 寺田正彦(Key)/ 近藤洋史(B)/ 長江純(Sax)/ 吉田幸平, 初川かつろう(Per)
6. Another Night / 安藤まさひろ
安藤まさひろ(G)/ 笹路正徳(Key)/ デレク・ジャクソン(B)/ 青山純(Dr)
7. Monkey Magic / 浅野孝已
浅野孝已(All Instruments)
8. バカルディー・ゴールド / 松原正樹
松原正樹(G)/ 田代真紀子(Key)/ 宮下恵輔(B)/ 村上”PONTA”秀一(Dr)/ 斉藤ノブ(Per)
9. When A Man Loves A Woman / 大村憲司
大村憲司(G)/ 坂本龍一(Key)/ 高水憲司(B)/ 村上”PONTA”秀一(Dr)
10. AREA CODE 213 / 鳥山雄司
鳥山雄司(G)/ バジー・フェイトン(G)/ ニール・ラーセン(Key)/ ジミー・ハスリップ(B)/ アート・ロドリゲス(Dr)/ レニー・カストロ(Per)
11. プリシア / 是方博邦
是方博邦(G)/ 難波正司(Key)/ 前嶋康明(key)/ マイク・ダン(B)/ マーティン・ウィルウェバー(Dr)/ 大儀見元(Per)/ 八木のぶお(Harp)
12. 遊星とランデブー / 加納秀人
加納秀人(G)/ 難波弘之(Key)/ 島健(Key)/ ロミー木下(B)/ ジョニー吉長(Dr)/ 津田俊司(Dr)/ 松風紘一(Sax)
13. Azure / 天野清継
天野清継(G)/ 国府弘子(Key)/ ドン・グルーシン(Key)/ グレッグ・リー(B)/ 外山明(Dr)/ アレックス・アクーニャ(Per)/ ゲイリー・ハービック(Fl)/ 篠崎正嗣ストリング・セクション(Str.)
14. Blue Lagoon / 高中正義
高中正義(G)/ 小林ミミ(Key)/ 乾裕樹(Key)/ 高橋ゲタ夫(B)/ 井上茂(Dr)/ 中島御(Per)
15. LADY VIOLETTA / 森園勝敏
森園勝敏(G)/ 野力奏一(Key)/ 伊藤広規(B)/ 青山純(Dr)
サブスク全盛のこの時代に、とても嬉しい、貴重なCDがリリースされた!
『IGNITION』は、1970年代後半から1980年代にかけ日本国内でブームを巻き起こした「クロスオーバー」「フュージョン」ミュージック。その中心にいたギタリストたちの演奏を集めたコンピレーション・アルバムだ。
有名曲だけを集めるわけでもなく、それでいてマニアックな選曲にもなりすぎず… としながらも、しっかりと名曲・名演奏が収録されており、アルバム全体の選曲へのこだわりを強く感じる内容となっている。
「Special Thanks」としてレコード会社も10社、名を連ねているが、おそらくはまず「収録したい曲」があり、それらを集めていった結果、このアルバムという形に仕上がったのではないか。近年のサブスクリプション・サービスには収録されていない曲もいくつかあり、とても貴重な音源集にもなっている。ライナーノーツの各曲へのコメントからも、それぞれのアーティストに対して大いなる愛を感じる一枚だ。
上記に演奏者のリストを記載したが、錚々たるメンバーが名を連ねており、まずそれだけでただならぬ迫力を感じる。また、このリストを眺めるだけで、このアルバムの選曲に対するこだわりも強く感じられる。まず、CASIOPEA、プリズム、ナニワエキスプレス、高中正義の各曲は、それぞれが代表曲のうちのひとつであるが、各アーティストの初期の作品であり、この時代の各アーティストのコアを形成していた曲ともいえるのではないか。例えば、CASIOPEAは初代ドラマー佐々木隆の参加していたセカンド・アルバムの音源となっている。
安藤まさひろ、浅野孝已、松原正樹、大村憲司、鳥山雄司、是方博邦、天野清継、森園勝敏はそれぞれの代表曲ど真ん中というより、知る人ぞ知るというような位置にありながら、実にそのギタリストらしい演奏が聴ける曲が選ばれている。連続して聴いていくと、それぞれのギタリストの音、演奏スタイルの特徴などを感じることができてとても楽しい。少しロック寄りの演奏としてYouの斉藤英夫、ハングライジの中野豊、(外道の)加納秀人の演奏も収録されており、バリエーションも豊かだ。現時点では各サブスク・サービスでは聴くことのできない曲もいくつかあり、これらがUHQCD仕様の高音質で鑑賞できるというのはとても嬉しいことだ。
1970年代後半から1980年代の日本のギタリストの様々な演奏スタイルを、一気に味わうことのできるとても贅沢なアルバムだ。
浅野孝已、森園勝敏、高中正義、天野清継、加納秀人、是方博邦、鳥山雄司、大村憲司、松原正樹、安藤まさひろ、中野豊、和田アキラ、岩見和彦、斉藤英夫、野呂一生