#1167 [配信] 小曽根 真、アンドルー・マンゼ指揮 NDR交響楽団 
「ラプソディ・イン・ブルー」〜ハノーファー・プロムス 2016

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※2024年3月28日まで公開。音が出ない場合、再生開始後に(PCではカーソルを置き)動画左下から音量を調整されたい。

Text by Hideo Kanno 神野秀雄

ガーシュウィンの世界観に迫りながら、地平線の先に違う景色を魅せる名演の記録
北ドイツ放送の真価を見せる完璧なカメラワークと音響の最高の映像作品

Hanover Proms 2016
NDR Radiophilharmonie

Kuppelsaal, Hannover Congress Centrum (HCC)
2016年9月10日(土) 20:00  

George Gershwin (1898 – 1937): Rhapsody in Blue (1924)
NDR Radiophilharmonie NDR(北ドイツ放送)交響楽団
Andrew Manze アンドルー・マンゼ: conductor
Makoto Ozone 小曽根 真: piano

2016年、小曽根 真のピアノ、ハノーファー・NDR(北ドイツ放送)交響楽団、首席指揮者アンドルー・マンゼ指揮で演奏された「ラプソディ・イン・ブルー」の動画がARD-Klassikで2021年3月に公開された。告知もされずその存在をほぼ知られていないので紹介したい。2016年9月10日、「Hanover Proms 2016 – Stars and Stripes」というアメリカの音楽を多角的に紹介する優れたプログラムから抜粋された。

この演奏では、マエストロ、オケ、ピアニストの魂と想いが一つになり有機的に絡み合い、ジョージ・ガーシュウィンの世界観と当時のニューヨークの空気感を鮮明に生き生きと描き出しながら、地平線の先にまた違う新しい世界を見せてくれる驚きと熱狂に満ちたものだ。観る者を思わず微笑ませる瞬間がいくつもあるが詳細は書かないので、発見していただければ幸いだ。

NDR(北ドイツ放送)の音響とカメラワークが本当に素晴らしく、最高の映像作品であり特別過ぎる映像体験となっている。一つ一つの楽器の音から、果てはちょっとしたノイズや息遣いまで、どこまでもディテールが伝わり。いや空気そのものがステージと繋がるかのようだ。小曽根のうっとりした表情、歓びの表情など、指先や腕の繊細な動きまで。マエストロの表情と身体の動きがオケのグルーヴに変わっていく様子。演奏を心から楽しむ団員の嬉しそうな表情。三者がファミリーとなり信頼し合う空気。観客が急速に惹きつけられて行く様子も。それぞれの立ち位置に自分を置き換えて、音楽の冒険を共にすることができるマルチな音楽体験だ。

アンドルー・マンゼは1965年、イギリス生まれ、ケンブリッジ大学で西洋古典学を学んだ。ヴァイオリンを学んで古楽から活動を始めて、指揮者としても活躍し、現在はドイツ在住で、2014年から2023年までNDR交響楽団の首席指揮者を務める。小曽根 真は1961年、神戸生まれ、バークリー音楽大学出身。2021年に還暦を迎えピアノ・ソロ・アルバム『OZONE 60』をリリースし、1年をかけて全都道府県を巡るツアー中で、8月25日には『チック・コリア&小曽根 真/レゾナンス』をリリースする。このタイミングで、またコンサートレポートで、5年前の演奏と映像を称賛するのは気が引けるが、60歳を迎えた小曽根の真髄が、5年前にして明確に伝わる名演であり、ぜひ今ご覧いただきたい。

コンサート全体のプログラムは以下の通り。プログラム冊子PDFはこちら。ご参考までADK-Klassikの該当ページはこちら。

Hanover Proms 2016
„Stars and Stripes“
NDR Radiophilharmonie

2016.9.10 (SA) 20:00
Kuppelsaal, Hannover Congress Centrum (HCC), Hannover
——–
NDR Radiophilharmonie
Mädchenchor Hannover
Johannes-Brahms-Chor Hannover
Angel Blue Sopran
Makoto Ozone Klavier
Gudrun Schröfel Leitung Chöre
Andrew Manze Dirigent
——–
„Stars and Stripes“
Aaron Copland | 1900 – 1990 Fanfare for the Common Man (1942)
George Gershwin | 1898 – 1937 Rhapsody in Blue für Klavier und Orchester (1924)
Edward Elgar | 1857 – 1934 Pomp and Circumstance Marsch Nr. 1 D-Dur op. 39 (1901)
John Adams | *1947 Short Ride in a Fast Machine (1986)
John Philip Sousa | 1854 – 1932 Stars and Stripes Forever (1896)
Samuel Barber | 1910 – 1981 Adagio for Strings op. 11 (1936/38) Traditional
Aaron Copland „At the River“ aus: Old American Songs (1950/52)
Irving Berlin | 1888 – 1989 „Give Me Your Tired, Your Poor“ aus „Miss Liberty“ (1949) Traditional
Aaron Copland „Simple Gifts“ (Shaker Song) aus: Old American Songs (1950/52)
Irving Berlin „God Bless America“ (1938)
Leonard Bernstein | 1918 – 1990 Mambo aus: Sinfonische Tänze aus „West Side Story“ (1960)
Richard Rodgers | 1902 – 1979 „My Funny Valentine“ aus: „Babes in Arms“ (1937)
George Gershwin „Summertime“ aus: „Porgy and Bess“ (1933 – 35)
Edward Elgar Pomp and Circumstance Marsch Nr. 1 D-Dur op. 39 (1901)
——

なお、2022年1月、WDR(西ドイツ放送)ビッグバンドによる「小曽根 真プロジェクト」が予定されている。ケルン公演のみ告知されているが、複数会場あるものと予想される。これまでトップジャズミュージシャンをゲストに数々の名演を生んできたWDRビッグバンドと小曽根がどんなケミストリーを起こすのか楽しみであり、配信等の機会があることも期待したい。

WDR Big Band
The Makoto Ozone Project

2022年1月14日(金) 20:00
Kölner Philharmonie
(Bischofsgartenstraße 1, 50667 Köln)
ケルン公演の詳細はこちら。2021年12月1日より発売開始。

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。東京JAZZ 2014で、マイク・スターン、ランディ・ブレッカーとの”共演”を果たしたらしい。

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