#1179 佐藤竹善&エリック・ミヤシロ ブルーノート東京・オールスター・ジャズ・オーケストラ 6公演全記録
Chikuzen Sato & Eric Miyashiro – Blue Note Tokyo All-Star Jazz Orchestra

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<BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA with 佐藤竹善、露崎春女 2021年11月2日>

Text by Hideo Kanno 神野秀雄
Photo by Yuka Yamaji 山路ゆか

BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA
directed by ERIC MIYASHIRO with special guest CHIKUZEN SATŌ
ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ
directed by エリック・ミヤシロ with special guest 佐藤竹善

ブルーノート東京 Blue Note Tokyo
2021年11月1日(月)〜3日(水) 16:00 18:30

佐藤竹善とエリック・ミヤシロの原点となる名曲をビッグバンドで演奏した珠玉の6ステージ全記録

11月1日(月) 16:00
1. Blue Horizon (Eric Miyashiro)
2. Peep (Michael Brecker)
3. Overjoyed (Stevie Wonder)
4. 宝島 ~ OMENS OF LOVE (IZUMI MEDLEY) (和泉宏隆)
5. Tell Her About It (Billy Joel)
6. It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing) (Duke Ellington, lyrics: Irving Mills)
7. If You Leave Me Now (Peter Cetera)
8. VISION (佐藤竹善)
9. Spain (Chick Corea)
EC. Twilight Tone (Alan Paul & Jay Graydon)

11月1日(月) 18:30
1. Blue Horizon (Eric Miyashiro)
2. Beirut (Mike Mainieri)
3. 宝島 ~ OMENS OF LOVE (IZUMI MEDLEY) (和泉宏隆)
4. Peep (Michael Brecker)
5. Don’t Stop Me Now (Freddie Mercury)
6. Lover, Come Back To Me (Sigmund Romberg, lyrics: Oscar Hammerstein II)
7. Laughter In The Rain (Neil Sedaka & Phil Cody)
8. Do I Do (Stevie Wonder)
9. Spain (Chick Corea)
EC. Twilight Tone (Alan Paul & Jay Graydon)

11月2日(火) 16:00
1. Blue Horizon (Eric Miyashiro)
2. Peep (Michael Brecker)
3. 宝島 ~ OMENS OF LOVE (IZUMI MEDLEY) (和泉宏隆)
4. Crazy Little Thing Called Love (Freddie Mercury)
5. Nothing You Can Do About It (David Foster, Jay Graydon & Steve Kipner)
6. Roxanne (Sting)
7. Do I Do (Stevie Wonder)
8. Spain (Chick Corea)
EC. Twilight Tone (Alan Paul & Jay Graydon)

11月2日(火) 18:30
1. Blue Horizon (Eric Miyashiro)
2. Beirut (Mike Mainieri)
3. 宝島 ~ OMENS OF LOVE (IZUMI MEDLEY) (和泉宏隆)
4. Peep (Michael Brecker)
5. VISION (佐藤竹善)
6. FM (Walter Becker & Donald Fagen)
7. It’s Only A Paper Moon (Harold Arlen, lyrics: Yip Harburg & Billy Rose)
8. Heart to Heart (David Foster)
9. Spain (Chick Corea)
EC. Twilight Tone (Alan Paul & Jay Graydon)

11月3日(水) 16:00
1. Blue Horizon (Eric Miyashiro)
2. Peep (Michael Brecker)
3. Overjoyed (Stevie Wonder)
4. Beirut (Mike Mainieri)
5. Tell Her About It (Freddie Mercury)
6. Nothing You Can Do About It (David Foster, Jay Graydon & Steve Kipner)
7. Lover, Come Back To Me (Sigmund Romberg, lyrics: Oscar Hammerstein II)
8. Can You Stop The Rain (John Bettis & Walter Afanasieff) Peavo Brison
9. Spain (Chick Corea)
EC. Do I Do (Stevie Wonder)

11月3日(水) 18:30
1. Blue Horizon (Eric Miyashiro)
2. Peep (Michael Brecker)
3. Overjoyed (Stevie Wonder)
4. Beirut (Mike Mainieri)
5. Don’t Stop Me Now (Freddie Mercury)
6. VISION (佐藤竹善)
7. Nothing You Can Do About It (David Foster, Jay Graydon, Steve Kipner)
8. Can You Stop The Rain (John Bettis & Walter Afanasieff)
9. Spain (Chick Corea) +RINA(p)
EC. Crazy Little Thing Called Love (Freddie Mercury)

Eric Miyashiro エリック・ミヤシロ (tp, flgh, conductor)
佐藤竹善(vo, g)、 露崎春女(vo)※11.1 & 11.2
宮本貴奈(p, keyb)、川村 竜(b)、川口千里(ds)
sax: 本田雅人※11.1-2、吉田 治真野崚磨、小池 修、Andy Wulf※11.1、黒川和希※11.2-3、鈴木 圭
tp, flgh: 小澤篤土※11.1 菅家隆介、山崎千裕松井秀太郎※11.2、飯塚亮凱※11.3、西村浩二
tb: 中川英二郎、半田信英、高井天音野々下興一

●佐藤竹善とエリック・ミヤシロのビッグバンド・プロジェクト
佐藤竹善エリック・ミヤシロ、ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ(BNTASJO)のブルーノート東京ライヴがついに実現した。2019年『Don’t Stop Me Now ~Cornerstones EP~』でタイトル曲と竹善のオリジナル<VISION>をエリックが編曲。次いで2019年12月に東京・中野サンプラザと大阪・オリックス劇場で、佐藤竹善はエリック・ミヤシロの編曲でビッグバンドとコンサートを行い、大阪での熱演は2枚組CD『Rockin’ It Jazz Orchestra Live in 大阪 〜Cornerstones 7〜』としてリリースされていて、筆者はコンサートを聴き逃し再演を熱望していた。洋楽の名曲に加えてSING LIKE TALKINGの<Together>をあわせた17曲すべてをエリック・ミヤシロが編曲している。このアルバムは、エリック・ミヤシロの書くバンドアンサンブルとサウンドを愛するファンにもぜひお勧めしたい。

●1963年生まれの同い歳が聴いてきた音楽
2人は1963年生まれの同い歳で、青森とホノルルと離れた場所(なお東北は東京よりもホノルルに近い)で同じ時代に同じ曲を聴きながらプロを目指した。そしてエリックによれば「同い歳で音楽の好みが無茶苦茶合っていて、盛り上がりながら曲を選んでアルバムを作りました。」と言う。2人が影響を受けた音楽については、番組「夜のプレイリスト 私の人生とともにあった5枚のアルバム」の記事も参照されたい。アルバムもコンサートもビッグバンドはほぼBNTASJOと同じものだったから、竹善をブルーノート東京に招き「ホームへようこそ」にもなる特別なライヴだ。3日間6公演行われたが、すべてセットリストが異なる超絶なものでその全記録を残しておきたい。筆者は、11月2日1stと11月3日2ndを観覧した。なお、10月29日には浜松のヤマハ・ジャズ・フェスティヴァルでも同様のプログラムがあった。

佐藤竹善は1963年5月5日、青森生まれ。同郷の藤田千章、西村智彦と結成したSING LIKE TALKINGで1988年にシングルデビューし、現在も活動の中心としている。また、塩谷 哲とのデュオ・ユニット「Salt & Sugar」も25周年を迎え、その恒例イベントとして、多様なゲストを招きながら5月大阪での「Cross Your Fingers」と12月東京での「Saltish Night」を(COVID-19での中止を除き)継続している。今回のビッグバンド・プロジェクトは、佐藤竹善のソロ活動の中でも、1995年に開始した「カヴァー」にこだわった「Cornerstones」シリーズの一環となる。当時日本ではカヴァーがあまり認められない時代だったが、佐藤竹善が音楽的に影響を受けた邦楽から、ジャズやAORを含む洋楽までの名曲の数々を取り上げ、バックを”より本物”にすることにこだわってきた。

エリック・ミヤシロは1963年7月13日ホノルル生まれ。バークリー音楽大学を経て、メイナード・ファーガソン・オーケストラ、バディ・リッチ・ビッグ・バンドなど名門バンドのリード・トランペッターを歴任。その後来日し、ファーストコールのトランぺッターとして君臨し、作編曲にも優れた才能を発揮し、ジャンルを超えて活躍する。直近のアルバムは『Preiades』、『Sky Dance』があり、いずれもイルカのジャケットで、エリックがハワイアン・スピナー・ドルフィンからインスピレーションを受けていることを表している。今後のアルバムやリーダーライヴにも期待していきたい。

BNTASJOは、2011年4月のブルーノート東京での「Love for Japan」を機に生まれ、2013年にエリックを音楽監督に正式発足。スイスのモントルー・ジャズ・フェスティヴァル、インドネシアのジャカルタ・国際・ジャワ・ジャズ・フェスティバル出演のほか、パット・メセニー(Hommage A Eberhard Weberを含む)、デヴィッド・サンボーン、マーカス・ミラー、イヴァン・リンス、平原綾香、小野リサ、村治佳織といった国内外のトップ・アーティストとの共演を続けている。

●ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ
まず、竹善を迎える前のブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ(BNTASJO)の演奏から。BNTASJOのテーマ曲としてエリックが書いた<Blue Horizon>が恒例で演奏される。爽やかなハワイの海と空を思わせるようなブラスのサウンドに載って小池修のテナーサックスからエリックのフリューゲルホルンによる印象的なテーマへ。イルカの群れ同士が行き来しながら遊ぶように、各セクションが重なり擦れ違うように動き回る。ソロは小池修から中川英二郎、川口千里、本田雅人へ。このドラムスソロも含めて、いまのBNTASJOは24歳のドラマー川口千里のタイトでパワフルなドラムスがサウンドの大きな特徴になっていることがわかる。そしてエリックの高音域のソロで締める。

今回はピアノとキーボードの青柳 誠が急病(すでに退院)で参加できず、代わりに宮本貴奈が参加。残念だったが、宮本は、竹善、エリック、中川らとの共演が多く、またコーラスもできるためピンチをチャンスに的な点もあった。最近のBNTASJOはソリストがエリック、中川、本田、小池、川口、青柳/宮本、川村 竜くらいに絞られることが多くなってきたが、逆にメンバーに若手やクラシック奏者(バストロンボーンの野々下興一は東京都交響楽団所属)を入れてくるなど、経験を積ませながら新しい音を取り入れていて素晴らしいと思う。

2曲目にはマイケル・ブレッカーの『Now You See It (Now You Don’t)』(1990年、GRP)から、<Peep>を持ってきた。マイケルはウインドシンセサイザーAKAI EWIとテナーサックスをミックスしてラージアンサンブル的な響きでトリッキーな世界観を創り出していたから、エリックがこれをビッグバンドに拡張したい気持ちがよく分かり、小池 修をフィーチャーしながら見事に実現した。エリックが敬愛するスティーヴィー・ワンダーの<Overjoyed>もBNTASJOの定番レパートリーとして多くの回で演奏された。

本田雅人が出演している回では、元T-SQUAREメンバーで2021年4月26日に亡くなったピアニスト和泉宏隆を追悼して、和泉宏隆メドレーとして、<宝島>〜<OMENS OF LOVE>をT-SQUAREでの同僚だった本田をフィーチャーして演奏。本田はBNTASJOでの<宝島>はアルトサックスで演奏して来たが、今回は最新のウインドコントローラー「NuRAD」を使っていた(本田のNuRADによる<宝島>デモ演奏)。エリックは32年前に<宝島>を吹奏楽曲として初めて演奏。最初は吹奏楽曲だと思っていたが、それをきっかけに和泉宏隆の曲を大好きになったという。<宝島>は1990年代以降の吹奏楽経験者なら必ず知っている人気No.1吹奏楽曲となっていて、未来に演奏され続ける1曲であり、ジャズサイドでもスタンダードに育って欲しいと思う。<OMENS OF LOVE>も負けず劣らず吹奏楽で愛されている。個人的にも中学の吹奏楽部時代にひっそり聴いていた”THE SQUARE”だったのが、いつの間にか吹奏楽No.1有名曲が生まれて、母校の中学の吹奏楽部がT-SQUAREの曲を演奏しているのを聴くのはとても感慨深かった。和泉宏隆の訃報を<宝島>に触れながら伝えた記事、最期の日々を共に過ごした太田 剣による追悼文もご参照されたい。

本田雅人が出演しない回では、小池修のEWIをフィーチャーして『Steps Ahead / Magnetic』(1986年)からマイク・マイニエリ作曲の<Beirut>を演奏する。BNTASJOではSteps Aheadの曲はよく取り上げられていて、少し前まで<Trains>がバンドのテーマ曲となっていたほど。1979年に始まるSteps Aheadはエリックの音楽の方向性とサウンドに大きな影響を及ぼしたことは間違いない。COVID-19が落ち着いたら、BNTASJOにマイク・マイニエリ(vib)を招いて共演して欲しい。

実際の順序と異なるが、終盤では竹善がはけたのち、2021年2月に亡くなったチック・コリアを追悼して、エリック・ミヤシロがアレンジを書き下ろした<Spain>を演奏。「まだ油断ができない時期ではありますが、コロナの中で生きて行くための気力のためにも音楽は欠かせません。配信だけではなく生で音楽を演奏して聴いていただけることはとても大切だと思っています。」というような趣旨のことを言い、「チックさんは常に前を向いていて、後を振り返ることがありませんでした。自分の曲でさえどんどん変えていきました。私もそうしていかなければと思いました。」 11月3日2ndでは、会場に来ていたピアニストのRINA(RINA Trioライヴレポート参照)を呼び寄せてソロを取らせた。なお、浜松では佐藤竹善、RINA、小沼ようすけが加わって『Al Jarreau / This Time』(1980年)よりヴォーカルヴァージョン<Spain (I can Recall)>で演奏された。このヴァージョンは塩谷 哲とのユニットSalt & Sugarでも演奏されている。

●佐藤竹善 with 露崎春女 11月2日 1st
エリックが竹善を呼び寄せると、アコースティックギターを持った竹善が満面の笑みで登場「エルヴィスです。」そして露崎春女が少し遅れてステージへ。11月1日〜2日の4公演では露崎がときにサイドコーラスとして、ときに対等に歌い竹善を支える(ときには宮本貴奈もコーラスに加わる)。歌い出したのは、エルヴィス・プレスリーではなく、フレディ・マーキュリー作曲、クイーンの<Crazy Little Thing Called Love(愛と言う名の欲望)>(1979年)。ドラムスから始まり、竹善のカウントからブラスが入り、アコースティックギターのカッティングとともにロックンロールのノリで軽やかに歌い上げる。鈴木 圭がバリトンサックスソロを。フレディも実際この曲では珍しくサイドギターを弾いていたのでそのオマージュでもある。

続いて『The Manhattan Transfer / Extensions』(1979年)に収められた<Nothing You Can Do About It>。ジェイ・グレイドン、デヴィッド・フォスター、スティーヴ・キップナー作曲で、1980年にジェイ・グレイドンとデヴィッド・フォスターが結成したAORユニット「エアプレイ」でも歌われた。作曲の巨匠たちが創ったお洒落な世界を楽曲の力に負けることなく竹善と露崎が巧みに歌う。今回のライヴのために新規に編曲されたが、2人ともそれぞれやりたかった曲で驚いた、と言っていた気がする。

スティングがザ・ポリスで1978年にリリースした<Roxanne(ロクサーヌ)>はタンゴを意識したアレンジで発表されたが、ここでは、なんとエリックも多くのメンバーもはけてしまい、残ったのは、竹善、露崎、サックスセクションの5人、そして川口千里がカホンで加わる。この特異な編成にタンゴのエッセンスが際立ち、改めてザ・ポリスを聴くとこの解釈が秀逸であることがわかる。ここまで手の込んだ準備をしながら1公演のみでの演奏だった。

『Stevie Wonder / Original Musiquarium I』(1979年)から<Do I Do>。『Don’t Stop Me Now ~Cornerstones EP~』では、大儀見 元率いるSalsa Swingozaとラテンで歌われていたが、今回は『Rockin’ It Jazz Orchestra Live in 大阪 〜Cornerstones 7〜』の際にエリック・ミヤシロがアレンジしたヴァージョンだ。宮本のソロが光る。

露崎が参加した4公演では、アンコールは共通で、先述の『The Manhattan Transfer / Extensions』からアラン・ポールとジェイ・グレイドン作曲の<Twilight Tone>。アメリカのテレビSFミステリー番組「Twilight Zone」(1959年〜1964年)由来の導入部をドラムスの刻みとブラスで表現(ちなみに、東京ディズニーシーのアトラクション「Tower of Terror」は、アメリカのパークでは「The Twilight Zone Tower of Terroir」だ)。露崎を大きくフィーチャーし、EWIソロも交えながら、竹善と露崎によるアップテンポの歌と演奏に会場の興奮は頂点に達する。

●佐藤竹善 11月3日 2nd
3日目2公演は露崎春女が参加せず、ピアニスト宮本貴奈が適宜コーラスに参加する。最も楽しみにしていた1曲が、フレディ・マーキュリー作曲、クイーンの<Don’t Stop Me Now>(1979年)。『Don’t Stop Me Now ~Cornerstones EP~』のタイトル曲としてビッグ・バンド・プロジェクトの最初の1曲で、本記事冒頭にPVを付けた。宮本のピアノに合わせて歌い上げる冒頭から、ブラスサウンドとともに躍動し迫力ある中間部へ。フレディならではのストーリー性がある構成美をビッグバンドならではの色彩感と迫力で盛り上げる。

そして最重要となる1曲が、『Don’t Stop Me Now ~Cornerstones EP~』で竹善がビッグバンドに当てて書いた曲<VISION>。迫力あるイントロから軽快なブラスサウンドに竹善の声が乗り、上昇感があるサビ、AORに近いサウンドを感じながらも竹善らしさがしっかりと響く1曲だ。

マンハッタン・トランスファー/エアプレイの<Nothing You Can Do About It>に続き、1991年にピーヴォ・ブライソンが歌った名バラード<Can You Stop The Rain>へ。フルートアンサンブルのリフも効果的に使ったアレンジで静かに熱く燃え上がって行く。バンドのみでピアニストRINAもソロで参加したチック・コリア<Spain>に続いて、最終セットのアンコールは、竹善がアコースティック・ギターとともに歌うフレディ・マーキュリー作曲、クイーンの<Crazy Little Thing Called Love(愛と言う名の欲望)>(1979年)で楽しく爽やかに締めくくった。竹善、エリック、メンバーもこの超絶で楽しい3日間6公演をやり遂げた歓びと満足感に溢れていた。

竹善がエリックと仲間達のストレートなビッグバンド・サウンドをそのまま受け止めて、抜群の歌唱力と表現力、最高の”うた”で応える。COVID-19下にあってそれをライヴで観ることができたことに深く感謝したい。選曲を見ると、竹善とエリックが高校生だった前後、特に1979年前後に山があることがわかる。2人が思い出を語り合いながら、自分の身体と心を形作ってきた大切な音を再構築した新しいサウンドがここにあった。私が観覧した以外では、ケニー・ロギンスが歌う、デヴィッド・フォスター作曲の<Heart to Herat>、スティーリー・ダンの<FM>もあった。ビジネス上の新機軸としてのビッグバンドの企画ではなく、必然性のある共同作業。その集中度のせいもあって、バンドのみのパートも選曲も内容も意欲的で充実したものだった。この竹善とエリックのビッグ・バンド・プロジェクトはこれからも継続、発展して欲しいし、またライヴで聴くことを楽しみにしたい。

【参考】
ヤマハ・ジャズ・フェスティヴァル 2021
2021年10月24日 アクトシティ浜松 大ホール
ヤマハ・オールスター・ビッグバンド

===ビッグバンド===
Catch The Rainbow (Eric Miyashiro)
Overjoyed (Stevie Wonder)
In The Still of The Night (Cole Porter)
Peep (Michael Brecker)
和泉宏隆メドレー 宝島~Omens of Love (和泉宏隆)
===+佐藤竹善===
Heart To Heart (David Foster)
VISION (佐藤竹善)
Lover, Come Back To Me (Sigmund Romberg, lyrics: Oscar Hammerstein II)
Nothing You Can Do About It (David Foster, Jay Graydon & Steve Kipner)
Laughter In The Rain (Neil Sedaka & Phil Cody)
Don‘t Stop Me Now (Fredie Mercury)
===ビッグバンドのみ===
Birdland (Joe Zawinul)
===セッション===
Someday My Prince Will Come (Frank Churchill)
It Don’t Mean a Thing (If It Ain’t Got That Swing) (Duke Ellington)
Spain (Chick Corea)

佐藤竹善 – Don’t Stop Me Now (Big Band version) Music video

Blue Note Tokyo All-Star Jazz Orchestra at Blue Note Tokyo 2021

Catch the Rainbow | Yamaha Virtual Big Band feat. Eric Miyashiro and Wayne Bergeron

『佐藤竹善/My Symphonic Visions ~CORNERSTONES 6~ feat. 新日本フィルハーモニー交響楽団』

宝島 / 和泉宏隆ピアノソロ at 横浜Hey-JOE

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。Facebookグループ「ECM Fan Group in Japan - Jazz, Classic & Beyond」を主催。ECMファンの情報交換に活用していただければ幸いだ。

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