#1200 川村結花 Special Band Live
「25(+1)年目の4重奏」at コットンクラブ

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Text by Hideo Kanno 神野秀雄

川村結花 Special Band Live
「25(+1)年目の4重奏」
2021年11月13日(土) 15:45 18:30
コットンクラブ (東京・丸の内)

川村結花: vocal, piano
石成正人: guitar
有賀啓雄: bass
玉木正昭: drums, percussions

Doors (2000年) PV
ときめきのリズム (作詞:松本 隆) (1999年)
travels (2000年) PV
遠い星と近くの君 (1999年) PV
Every Breath You Take PV
夜空ノムコウ (作詞:スガシカオ) (1999年)
知らないままじゃなくてよかった (2001年)
Home PV (1999年)

Encore:
Festa (2001年)
乾杯のうた (2017年) PV

「SMAPの名曲<夜空ノムコウ>の作曲者、川村結花」という紹介をすることにはずっと抵抗があり、川村の魅力も活動もそれだけではないという想いからだった。でも日本人の多くが口ずさむことができ、外国語詞にもなり、未来へ歌い継がれる一曲。それはまさに川村の魅力を象徴すると思うようになった(<夜空ノムコウ>誕生についてはこちら)。

川村結花は大阪府河内長野市出身、地元の小中高から東京藝術大学作曲科へ進み(塩谷 哲と岩城太郎が同級生)、早稲田大学モダンジャズ研究会ではレギュラーバンドのピアノを務め、パット・メセニーやケニー・カークランド、ウェイン・ショーター、リッキー・リー・ジョーンズ、ジョニ・ミッチェルらの影響も受けたという川村。それらの感性を受け止め、矢野顕子に通じるようにジャズピアノを弾きこなせるだけの表現力と自由度を持ちながらの演奏と創作活動を行ってきた。

このコットンクラブ公演は、川村のメジャーデビュー25周年を記念している。1995年、シンガーソングライターとして東芝EMIよりアルバム『ちょっと計算して泣いた』でメジャーデビュー。遡ること1994年、『SMAP 005』に<ギョーカイ地獄一度はおいで>提供している(この曲がスライド・ハンプトン編曲、ザ・ヴァンガード・ジャズ・オーケストラのホーンセクションによる豪華ビッグバンド版< I Wish You’ll be Happy>となって『SMAPPIES – Rhythmsticks』に収録されるのは後の話)。この頃、ジャニーズ事務所から良い意味で放任されていたSMAPは、さまざまな作詞作曲家の才能を集め、ニューヨーク豪華ジャズミュージシャンと音楽を作っていて、SMAP製作陣との繋がりが<夜空ノムコウ>へ繋がる。1998年、エピックレコードへ移籍し『Lush Life』、『home again』、『farewells』、『around the piano』などをリリース、様々な著名アーティストとのコラボレーションを次々に叶える。アルバムリリースと平行しながら、ソングライターとしてSMAPの<夜空ノムコウ>をはじめ、松たか子、FUNKY MONKEY BABY’S、ナオト・インティライミ、藤井フミヤ、渡辺美里、城 南海、観月ありさなど、数多くのアーティストに楽曲提供しており、FUNKY MONKEY BABY’Sへ提供(共作詞・共作曲)した<あとひとつ>では第52回日本レコード大賞の作曲賞を受賞している。

デビュー25周年として2020年に記念ライヴを行う予定だったが、COVID-19感染拡大を危惧して延期となっていて、今回が約2年ぶりの待望のリーダーライヴとなる。なお、COVID−19期間では例外的に、2021年5月3日(月)青山「月見ル君想フ」で開催された「2PIANO4HANDS〜川村結花×斎藤有太」に出演している。バンドライヴとしては、2012年11月30日、目黒ブルースアレイで「川村結花 Power of 5」 (石成正人(g)、tatsu(b)、玉木正昭(perc)、田中邦和(sax))があり、バンドによるスタジオ録音盤として、キーボーディストDr.kyOnとギタリスト佐橋佳幸からなるインストユニット”Darjeeling”がプロデュースした2017年録音の『ハレルヤ』(GEAEG RECORDS)がある。今回は、2012年バンドライヴでの石成正人(g)、玉木正昭(perc)に、有賀啓雄(b)が加わり川村のレコーディングを共にし、編曲にも携わったメンバーだ。最近の川村はピアノ弾き語りのLive「独奏」をライフワークとして続けその時々で自在に異なる演奏を行なってきたが、この公演ではアルバムのオリジナルアレンジを重視した演奏となった。

ピアノだけのイントロから1曲目<Doors>のメロディーが浮かび上がる。<ときめきのリズム>はコカコーラのCMに使われていた1曲だが、ここではベースがウォーキングを奏でフォービートも取り入れたリラックスした世界を見せていた。<知らないままじゃなくてよかった>は有賀アレンジそのものの演奏に。川村ならではのほっとさせる感覚を最も体現する<Home>。<夜空ノムコウ>はこれまで何度も聴いてきたが、オリジナルのバンドアレンジで聴くのは初めてで、その素晴らしさに改めて気づかせられる。代表曲の中には、当時、後ろ向きのニュアンスを感じた歌詞も少なくなかったが、25年目にして聴くと人生をポジティヴに見つめた歌詞も多かったことに気づき、改めての愛おしさを感じた。

アンコールには<Festa>と<乾杯の歌>を。「乾杯、今の私たちに。乾杯、称え合おう。」 4人のポジティヴなエネルギー、4人の音楽の歓びを感じ、会場と共有する素晴らしいライヴとなった。本人たちもまた再演を希望しているという。今後を楽しみにしたい。

川村結花 ひとり25周年+1「ビューティフル・デイズ」弾き語り at FJ’s

川村結花 <home> 『LUSH LIFE』より

川村結花 <乾杯のうた> Band Live ver. ​『ハレルヤ』より

川村結花 <カワムラ鉄工所> 『ハレルヤ』より

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。Facebookグループ「ECM Fan Group in Japan - Jazz, Classic & Beyond」を主催。ECMファンの情報交換に活用していただければ幸いだ。

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