#18 『ディジー・ガレスピー・オールスター・ビッグバンド/ ジュネーヴ 2007』
text by Mitzuo Hagiwara 萩原光男
Swiss Radio Days Jazz Series 51 東京エムプラス TCB 02512
Musical Director/Bass: John Lee
Trombone/Conductor: Slide Hampton
Trumpeters: Claudio Roditi, Frank Greene, Greg Gisbert, and Roy Hargrove
Saxophonist: James Moody
Alto Sax: Antonio Hart
Piano: Roy Assaf
Drums: Dennis Mackrel
Vocal: Roberta Gambarini (7&8)
1.Hot House (Tadd Dameron) 6:08 Solos: Antonio Hart, as; Roy Hargrove, tp
2.Con Alma (Dizzy Gillespie) 8:32 Solos: James Moody, ts; Claudio Roditi, tp; Slide Hampton, tb; Roy Assaf, p
3.Manteca (Dizzy Gillespie) 9:50 Solos: Frank Greene, Greg Gisbert, Roy Hargrove, Claudio Roditi, tp; Douglas Purviance, btb; Andres Boiarsky, ts; John Lee, elb; Dennis Mackrel, dm
4.Round Midnight (Thelonious Monk) 12:44 Solos: Antonio Hart, as; Greg Gisbert, tp; Roy Assaf, p
5.Dizzy’s Business (Ernie Wilkins) 3:43 Solos: Greg Gisbert, tp; Mark Gross, as
6.Without You No Me (Jimmy Heath) 8:51 Solos: Claudio Roditi, tp; Andres Boiarsky, ts; Roy Assaf, p
7.Moody’s Groove (Jimmy Heath) 7:06 Solos: James Moody, ts; Steve Davis, tb; Roberta Gambarini, voc
8.Blue’n Boogie (Dizzy Gillespie) 9:00 Solos: Roberta Gambarini, voc; James Moody, voc; Roy Hargrove, tp; Jason Jackson, tb
9.Things To Come (Dizzy Gillespie) 9:55 Solos: Frank Greene, Greg Gisbert, Roy Hargrove, Claudio Roditi, tp; Antonio Hart, as; Dennis Mackrel, dm
Recorded live at the Victoria-Hall in Geneva, Switzerland, on May 7, 2007
Recording & mastering engineer: Blaise Favre
Swiss Radio producer& consultant: Yvan Ischer /RTS for TCB:
Executive producer: Barbara Frei Schmidlin/TCB
Produced RTS for TCB Music SA
「ディジ・ガレスピー・オールスター・ビッグ・バンド 2007年ジュネーヴ・ライブ」
はじめに
既に鬼籍に入っているディジー・ガレスビー(1917〜1993)のスピリットを継承するビッグバンドの、2007年のライブを録音した貴重なアルバムです。放送局のアーカイブ (記録保存) のための録音、という目的もあってか、素晴らしい演奏で音楽的にも高いレベルのアルバムですが、楽しく聴くにはそのための配慮と、心構えが必要です。適合した機材を使うと素晴らしい演奏が楽しめます。
つまり、このアルバムを最高に楽しむには、ワイドレンジな低音再生ができるスピーカーが必要です。そのポイントは、エレキベースで、このエレキベースは100Hz以下、50Hzぐらいの周波数の音なので、それを再生することで、ダイナミックでワイドレンジなビッグバンドの演奏を楽しめます。
もう一つは、機器の調整や演奏者も含めたエージングのために、最初の数曲は音が奥まっていて、6曲目あたりからステージが広がり前に出て来る演奏になっていきます。
音楽は大きいほど良い、と言った人がいましたが、このビッグバンドは総勢約20人ほど。その中には、男性ボーカル、女性ボーカルあり、また彼らのコーラスもあります。多様な楽器で作る音楽はさまざまな形で楽しめます。
1. このアルバムの音
各曲の音を吟味していきましょう。
1〜3曲目までは、アップテンポで聴き流す感じです。録音の立ち上がりで機材が温まっていないようで、奥まって広がりもやや狭い感じです。
4曲目は<ラウンド・ミッドナイト>。スローバラードで楽器の音がじっくり味わえて嬉しい。だんだん音が立ち上がってきて、明るく開放感のある音になっていきます。
5曲目ですが、このトラックあたりからエレキベースが明快に聴こえてきて、録音技術者の音作りの意図がわかります。エレキベースは超低域までのびていて、ややもすると定在波的で、音切れが良くなく再生の課題です。周波数レンジ的に、超低音はエレキベースで、対する中高域はブラスの輝きある演奏でダイナミックな迫力が楽しめます。
7曲目は女性ボーカルも参加して、楽器奏者の男性合唱も加わり、楽しい。
このアルバムは、エレキベースをキチンと聴くと、素晴らしい音楽が楽しめます。つまり、エレキベースまでの超低域を再生できるかにかかっています。
2.このアルバムの音を楽しむには
このアルバムを楽しむには、上記のように、充分な超低域再生ができるスピーカーが必要です。
筆者は、JBLスタジオ・モニターシリーズJBL4320で聴きました。38cmウーファーで、これをマッキントッシュ・アンプで駆動してます。少し大きめの音量で聴きます。最初は、定在波的超低音が気になりますが、音出しして時間が経ち(15分ぐらい)自宅のシステムのエージングがすむと、音が抜けよく広がり迫力感豊かになり始めます。
ライブ録音の醍醐味、ライブ録音のシンプルな迫力ある音が楽しめました。
愛用のラジMD、MDX-L1では管楽器だけになり、ベースが聴こえず楽しめませんでした。
3、終わりに
低音にエレキベースが入っていることがわかるまで、アルバムの制作意図を疑ってしまいました。しかし、そのことを理解すると、非常にワイドレンジでダイナミックなCDであることがわかりました。聴く人の力量やオーディオ的理解力が試されるアルバムです。
