Memory of Lyle Mays by André Mehmari

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Text by André Mehmari
Translation by Hideo Kanno 神野秀雄
Photo by Roberto Masotti

Lyle Mays has been a profound source of inspiration for me since I was thirteen years old. I remember the first tape I had always close to me, close to my heart. First Circle was the first album I heard his playing and his unique orchestral and colorful use of the piano changed my view of the instrument forever. His use of the great Oberheim and Prophet analog synths is my main reference for creating my own sounds in this realm too. I think he and Zawinul were the most inspired and original synth sound designers ever! I could say a thousand things about Lyle’s music but the essential is how deeply moving it is: his freely flowing lyricism (like that of Bill Evans) is something very rare in all jazz history. His love for Brazilian music was evident both as a leader in his own projects as well on the PMG albums and maybe this was another strong point of connection with my own music and background.

We all know that Lyle not only was a genius musician but also accomplished mathematician and self taught architect (in fact his view of an entire piece of music was very architectural and he had a very deep sense of balance and form, like a classical composer writing a symphony. A true renaissance man, a rare angel! For me one of the brightest souls to inspire me in my path. His early and unexpected departure deeply saddened me, just like if I had lost a family member or an old friend. And I never really had the chance to meet this man in person or even shake his hand. But his music was more than enough for me to feel very close to him, close to his heart and mind. Close to home!

André Mehmari’s biography in English / Bio André Mehmari Português


L: Talent Studio, Oslo, 1978. Top + R: Rome, 1980.

ライル・メイズの音楽に出会ったのは私が13歳のときでした。それ以来ずっとライルは私のインスピレーションの源であり続けています。私の心に迫り、魂に迫った最初のカセットテープを覚えていますが、それが『Pat Metheny Group / First Circle』(ECM1278, 1984年)で、ライルの演奏を初めて聴いたアルバムでした。彼のユニークでカラフルでオーケストラ的なピアノの使い方を聴いて、私の楽器についての考え方が大きく変わりました。「オーバーハイム」と「プロフェット」アナログシンセサイザーの使い方は、私自身のサウンドを創る上での重要なお手本と基準になりました。ライル・メイズとジョー・ザヴィヌルは、歴史に残る真にオリジナルのシンセサイザー・サウンド・デザイナーだと思います。

ライルについてならいくらでもお話しすることがありますが、最も大切なことは、音楽をどれだけ深いところから創り出しているかということ。ライルの自在に流れ出すリリシズムは、(ビル・エヴァンスと同様に)全ジャズ史にあっても極めて稀なものです。また、ライルはブラジル音楽を深く愛してくれました。それはリーダープロジェクトにもパット・メセニー・グループ(PMG)のアルバムにも顕著に表れていて、これが私とライルの音楽を結びつけるもう一つの重要な背景になっていると思います。

天才的ミュージシャンであっただけではなく、数学者であり、独学での建築家であることはよく知られています。(実際、音楽のディテールから全体への俯瞰と組み立ては建築学的であり、クラシックの作曲者が交響曲を書くようにバランスと様式への深く鋭い感覚を持っています。) 真にルネッサンス的な人格であり、稀に見る”天使”で、私の人生にインスピレーションを与えてくれる輝かしい魂のひとつでした。ライルの早過ぎる突然の逝去は、家族や長年の親友を亡くしたのと同じほどの深い悲しみを私にもたらしました。もう個人的に会うことも叶わず、握手する機会すら永遠に失われてしまいましたが、その素晴らしい音楽によって、私はライルに近づき、心と魂に触れ、核心に迫ることができたと思います。Close to home!

Close to Home (Lyle Mays) – Andre Mehmari, piano

Maysways – Lyle Mays in memorian
Piano, synth and composition by André Mehmari


André Mehmari アンドレ・メマーリ
pianist, composer, arranger, producer and multi-instrumental player
1977年、ブラジル・リオデジャネイロ近郊のニテロイ生まれ。5歳から母と音楽を学び始め、サンパウロ州リベイロン・プレット音楽院のオルガン課程を修了。10歳からジャズ即興演奏の独学と作曲を始め、15歳でオルガンを教えながら、キーボード初心者のための20曲からなる曲集を作曲する。1995年からサンパウロ大学でクラシック・ピアノを学び、その大学内の音楽コンクールMPB部門で優勝し、1997年にクラシック部門でも優勝。
1998年ブラジルで最も有名なVISA MPBコンペティションで優勝し、その賞品としてファーストアルバム録音の機会を得る。1999年自宅のスタジオで、全26の楽器を演奏、多重録音によるソロアルバム『Canto』を制作し2002年にリリース。2005年7月ブラジル人歌手のジョイス・モレーノと共に初来日。モーションブルー横浜で2日間の公演を行う。2008年自己のレーベルEstúdio monteverdiから『…de arbores e valsas』リリース。曲毎にゲストを迎えつつ、自身が多数の楽器を演奏し多重録音した作品が話題となる。自宅のスタジオで録音、ミックス、マスタリングを全て自分自身で行い、自分のレーベルからリリースした。
2011年4月ピアノソロ・ツアーで、10月ガブリエル・ミラバッシとのデュオツアーで来日。2011年11月多数の豪華ゲストを迎え全30曲の大作2枚組『Canteiro』日本盤を発売。アミルトン・ヂ・オランダとの共作では、2007年に『Continua Amizade』、2011年に『Gismontipascoal』をリリースしている。 2013年11月「ピアノ・エラ」を含むソロツアーで来日、その東京公演は『Tokyo Solo』(NRT)としてリリースされた。2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの閉会式の編曲を担当した。2019年の来日ではピアノソロ公演に加え、ビッグバンドなどとも共演した。2020年末には小曽根真とクリスマスコンサートでの共演を予定しており、豊橋公演が発表されている。

アンドレは演奏者としての国際的なキャリアに加えて、ブラジル国内で最も人気の高い作曲者、編曲者の1人。さまざまな楽器を演奏するマルチミュージシャンであり、ミキシングやマスタリングまでも行い、森の中にある「スタジオ・モンテヴェルディ Estúdio monteverdi」で、ジャンルやスタイルの境界なく常に音楽を創り出している。
アンドレ・メマーリ公式ウェブサイト(ポルトガル語/英語)
(日本語版Facebookとウェブサイトをもとに加筆作成)

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