Jazz and Far Beyond
小杉は、アノニマスな音が良いのだという。だから求心性を否定して、多面性のある音を選択する。
これは小杉武久という流動体を凍結し、切片を切り出し、その断面を仔細に観察してみる試みである。
きわめて私的には、このたった2年間でタテノリ一色であったジャズ・シーンにあって、ヨコノリへの変容を迫ったのがタージ・マハル旅行団の功績ではある。
「音楽における即興性—比較音楽学的考察—」というのが、小杉の卒業論文のタイトルで、指導教官は小泉文夫だった。
小杉武久の文字を見付けると、本、雑誌をとにかく買っては何度も読みまくった。私の感性の原点は、この時形成されたと言ってよい。
私がギターの訓練を始めていて、楽器の訓練をしていると求道的になってくると話をすると、直にダメです、音楽を信仰してはいけませんと怒られました。
ヴァイオリンを構える小杉武久 (1986)