田口賢一『Arvo Pärt / ARBOS』
『アルヴォ・ペルト/アルボス』
因果な巡り合わせにより多くの先達さまの集うJazz Tokyo創刊300号記念のECM企画に寄稿する事と相成りました、どうぞよろしくお願いします。
ジャレット、メセニー、メイズ、タウナー、ウェーバー、ジスモンチ、ガルバレク、ヘイデン、サルーシ、ブラヒム等を好んで聴くので、この辺りから選出かと思っていましたが、個人的にNew Seriesの比率も高いので選択に迷いました。
ECMの総体を構成するアイヒャー氏の耽美的審美眼に適った音による時代と空間を彫像した作品群の中にあって、New Sereseのブライヤーズやペルトの沈黙と苦悩する旋律は そのままヨーロッパの背負ってきた歴史に呼応して何故か僕の心に響く。
ペルトのミニマリズムがJazzなのか?些か疑問だが、ECMの大きな世界の中に抱合された作品なのでお赦し戴きたい。
前置きが長くなりましたが、拙者がベストな一枚と推すのは No.1325 Arvo Pärt の 『ARBOS 』でしょうか。
Pari Intervallo(断続する並行)と題する曲は、発音数の少なさに反して繰り返される二対の音像の圧倒的な饒舌さと、交わることを拒絶したダイアローグともダンスとも取れる奇妙で単純な相関関係の妙味を不思議な内省を伴って時を過ごしてしまう なんともやりきれない音楽です。
でも愛さずには居られない。(笑)
ECM 1325
The Hilliard Ensemble (Choir)
Susan Bickley (Alto)
Gidon Kremer (Violin)
Vladimir Mendelssohn (Viola)
Lynne Dawson (Soprano)
David James (Countertenor)
Rogers Covey-Crump (Tenor)
Thomas Demenga (Cello)
Christopher Bowers-Broadbent (Organ)
Brass Ensemble Staatsorchester Stuttgart (Orchestra)
Dennis Russell Davies (Conductor)
1 Arbos (Arvo Pärt) 02:25
2 An Den Wassern Zu Babel Sassen Wir Und Weinten (Arvo Pärt) 06:30
3 Pari Intervallo (Arvo Pärt) 05:42
4 De Profundis (Arvo Pärt) 06:50
5 Es Sang Vor Langen Jahren (Arvo Pärt) 05:51
6 Summa (Arvo Pärt) 05:16
7 Arbos (Arvo Pärt) 02:25
8 Stabat Mater (Arvo Pärt) 23:53
Recorded March 1986 & January 1987
Produced by Manfred Eicher
田口賢一 たぐちけんいち
現在インターネットを利用した放送を視野に入れた小さなスタジオを構築中。FMラジオ局とAMとTV兼営の地方局に30年程勤務の後に独立。お声が掛かれば音声さんカメラさんと番組制作の現場でも活躍してます。
ご縁を戴き貴重な初期のECMのドイツ盤も含む大量なレコードをお譲り戴きましたが、まだレコード用保護シートを交換しただけで一枚も針を落としていないので今後きちんと管理して行こうと思います。
アルヴォ・ペルト、アルボス、ARBOS