#01 MALSTROM Japan Tour 2023
text and photos by 剛田武 Takeshi Goda
MALSTROM マルストローム:
Florian Walter フローリアン・ヴァルター:Saxophone
Axel Zajac アクセル・ザジャック:Guitar
Jo Beyer ジョー・バイエル:Drums
5月30日(火) 東京 秋葉原CLUB GOODMAN
MALSTROM / 纐纈雅代+吉田達也+武田理沙TRIO / 沖縄電子少女彩+MOGRE MOGRU
5月31日(水) 東京 渋谷 Bar Subterraneans
Florian Walter (sax) Solo
6月1日(木) 大阪 Environment 0g
MALSTROM / Flagio & nuee (Visual)
6月2日(金) 兵庫 神戸 Makeshift
MALSTROM / Flagio
6月3日(土) 東京 阿佐ヶ谷天
MALSTROM / KSO:Tomohiro Kanbe (gtr), Dave Skipper (ms),O’bo (gtr) / 庄子勝治(sax,shakuhachi)+玉響海星(vo,biwa,per)+玉響海月(ele,per)
6月4日(日) 千葉 稲毛 Jazz Spot CANDY
MALSTROM
6月5日(月) 東京 入谷なってるハウス
MALSTROM
もっともっと海外アーティストの熱演を体験したい。
コロナ禍が収まり海外からの来日アーティストが増える中で、2017,18,19年と3年連続でソロで来日してきた親日家のサックス奏者フローリアン・ヴァルターがバンドMALSTROMとして来日ツアーを果たした。これまでの来日ツアーで知り合ったミュージシャンをはじめ、筆者とJazzTokyoのコントリビューターでもある齊藤聡氏も協力して日程や会場を調整し、対バン・イベントあり、ワンマン公演あり、フローリアン・ヴァルターのソロ公演ありの関東5公演、関西2公演をブッキング。フローリアン以外の二人は初めての日本だったが、すぐに慣れて、食事や電車移動を楽しんでいた。
ジャズ、ロック、現代音楽を大渦のように巻き込む複雑な展開とヘヴィなサウンドは、音源や映像で聴くよりも数倍激しくタイトで、水を得た魚のように咆哮するフローリアンの超絶サックスはもちろん、8弦ギターでベース・パートも弾きこなしながら、構築的な速弾きを軽々と披露するアクセル、複雑極まりない展開の屋台骨を支える手数の多いドラミングのジョーというトリオの高度なプレイに毎回うちのめされる思いがした。初日に対バンした吉田達也氏が熱心に見入っていたのが印象的だった。
筆者が同行したのは5/30秋葉原グッドマン、6/4稲毛CANDY、6/5入谷なってるハウスの3公演だったが、最も印象に残ったのは、東京から総武線で1時間かけて往復した稲毛CANDY公演だった。住宅地のど真ん中にある扉を開けるとジャズ・レジェンドたちの肖像写真に囲まれた音楽空間が広がるマジカルなスペースで繰り広げられるドイツ・アヴァン・ジャズの熱演は、おそらくヨーロッパの田舎町のライヴハウスやジャズカフェでの演奏に近いシンパシーを感じたに違いない。
心残りは、興行ビザの問題で来日スケジュールの確定が遅くなりJazzTokyoでの事前展開が十分にできなかったことである。本ツアーの2か月後の昨年8月1日から興行ビザが緩和され、従来よりも海外アーティストの招聘がしやすくなったとのことなので、まだ見ぬ個性派・異端派音楽家の熱演をどんどん体験できることを期待している。