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このディスク2023(国内編)My Pick 2023No. 309

#07 『渋谷毅&仲野麻紀/アマドコロ摘んだ春 ~ Live at World Jazz Museum 21』

text by Yoko Takemura  竹村洋子

NADJA 21 / KING INTERNATIONAL

Takeshi Shibuya 渋谷毅 (piano)
Maki Nakano 仲野麻紀 (alto sax, metal-clarinet, kalimba, fx & vocal)

1. イスファハン(D. Ellington & B. Strayhorn)
2. デルフィーヌの歌(ロシュフォールの恋人たち)(J. Demy & M. Legrand)
3. 芍薬(仲野麻紀)
4. ジムノペディN゚1(E. Satie)
5. 雨の中の兵隊(H. Mancini)~グッドバイ(板橋文夫)~夜(浅川マキ)~ラヴァー・マン(J. Davis, R. Ramirez & J. Sherman)
6. 星のためらい(仲野麻紀)
7. ウスクダラ(Trad.)
8. ニューヨーク19 ~ ラヴ・ミー(J. Lewis)
9. アマドコロ摘んだ春(西尾賢)

2022年10月9日 World Jazz Museum 21 伊香保

”旅する音楽家”としてフランスを始め、ボーダーレスな欧州、中東、アフリカ、日本など多くの国々の音楽的なエッセンスを吸収してきた仲野麻紀とベテランピアノ奏者渋谷毅の世界。
仲野の中東を想わせるサックスから始まり、フランスのミシェル・ルグランの<デルフィーヌの歌>へ続く。中野のちょっとボーイッシュで甘く、ハスキーヴォイスとはまたちょっと違ったフランス語の歌が魅力的だ。
続く渋谷のソロナンバーはピュアで美しい。
そして<星のためらい>、<ウスクダラ>で仲野はまた中東へ。

渋谷毅はこのアルバムの中では肩の力を抜き、中野をよくサポートしている。
日本人である以外、年齢、性別、バックグラウンドの全く違う二人の会話がとても新鮮で心地よく、楽しくもある。最後のナンバー<アマドコロ摘んだ春>で仲野と渋谷の持つ本質的なものがピッタリ合い、この二人のコラボレーションの意味がわかったような気がする。
それを表すかのようなアルバムカバーのデザインがさらに新鮮さを引き立たせている。白い可憐なアマドコロの咲く草原をイメージさせるデザインが爽やかで魅力的。

竹村洋子

竹村 洋子 Yoko Takemura 桑沢デザイン専修学校卒業後、ファッション・マーケティングの仕事に携わる。1996年より、NY、シカゴ、デトロイト、カンザス・シティを中心にアメリカのローカル・ジャズミュージシャン達と交流を深め、現在に至る。主として ミュージシャン間のコーディネーション、プロモーションを行う。Kansas City Jazz Ambassador 会員。KAWADE夢ムック『チャーリー・パーカー~モダン・ジャズの創造主』(2014)に寄稿。Kansas City Jazz Ambassador 誌『JAM』に2016年から不定期に寄稿。

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