#1043 トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ2018『エリソ・ヴィルサラーゼ ピアノ・リサイタル』
指先と鍵盤との距離は最短であり、音が生成されるまでの速度は最速だ。ネイガウス門下、ロシア・ピアニズムの黄金時代を今に継承するヴィルサラーゼの奏法は合理性に貫かれている。どっしりと体幹を構え、身体の動きは最小である。
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指先と鍵盤との距離は最短であり、音が生成されるまでの速度は最速だ。ネイガウス門下、ロシア・ピアニズムの黄金時代を今に継承するヴィルサラーゼの奏法は合理性に貫かれている。どっしりと体幹を構え、身体の動きは最小である。
続きを読む名伯楽としてのキャリアが示すとおり、その演奏は決して奇抜な個性を押し出すものではない。楽曲の構成を噛み砕き、熟成させ、演奏の起伏を決して感情任せにしない。ポイントとなる音やフレーズを起点に変化を持たせ、裏づけ充分に作品を内側から組み直してはドラマを捻出する。演奏は自ずと説得力に満ちたものとなる。
続きを読むプログラムをみれば一目瞭然であるが、音でつむぐ時代考証のようなステージングである。アヴデーエワのピアニズムに固有なのは、その全方位的な音の伸びだろう。何よりも縦にバウンドする力がある。音が単に伸びるのではなく「立ちのぼる」。
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