Jazz and Far Beyond
カーラ・ブレイの作曲面でのアプローチ、既成のイディオムに縛られず、独自のメロディー・ラインやコード進行に依る世界はジャズにおける作曲と即興演奏を再定義させるもので、直接的、間接的に多くのミュージシャンに影響を与え、現代のジャズに繋がっている。
嬉しいニュースが届いた。高瀬アキ&デイヴィッド・マレイによる『Cherry – Sakura』(Intakt)がドイツ批評家賞をジャズ部門で受賞したという。高瀬はこれが9回目の受賞、渡独してから約30年、その地で確実に実績を積み重ねてきたことが評価されているといいていい。
5月26日、マイルスの生誕91周年を迎え、筆者のお気に入りの<ナルディス>を取り上げ、マイルスが『Kind Of Blue』でジャズの歴史に残したモード・ジャズの解説を試みた。この曲はマイルスがあまりにも時代を先行し過ぎて、作曲当時ビル・エヴァンス以外マイルスを満足させられず、マイルス自身によって録音されることなくボツになった曲だ。
さよなら!、だれだれ、こんにちは!、だれだれ、
2007年8月22日、富樫雅彦が逝って早くも10回目の夏を迎えようとしている..。
トランペッターは猪突猛進、未知の冒険に何のためらいも抱きませぬ。
池袋を本拠地とするムジカフォンテが、豊島区の歴史に取材したミュージカルを上演するのは今回で4度目だという。「あの川、そこの川〜谷端川の物語〜」。
そのほぼすべてに岡部の ”ディスオリエンタル” 意識が反映されていて興味深い。
故人をしのぶような湿っぽい演奏ではなく素材としてミシャの作品を取り上げたもので、ミシャのちょっとひしゃげたような皮肉交じりのユーモアとは一味違った明るく華やかでスインギーなものになっている。
即興演奏から作曲作品へと進化を続けるNYシーンの若き戦士クリス・ピッツィオコスが、2作目のサックス・ソロ・アルバムを発表した。これまでの過激なインプロヴァイザーのイメージとは異なる、知的で静謐なサウンドを聴かせてくれる。タイトル通り「豊潤な音楽への愛」に溢れた新境地。
自由奔放、縦横無尽、時にリリカルに響くこのトリオは、マニュエル・ヴァレラがキューバ出身という枠をはるかに超えて、現代ニューヨークのベスト・トリオの一つであることを高らかに宣言した。
堂々としたプレイでメインストリームを歩むJBL。ヒップホップやソウル/R&Bと共存しストリート感覚が爆発した素晴らしい作品である。
硬い事は考えずに、楽しくスイングするジャズを聴きたければ、これを選べばモンクはない。
これは伝統と化したオランダのコンテンポラリーかつコンサーヴァティヴなジャズの姿だと思い、存分に楽しめば良い。ミシャの名を知らぬ人達も一緒に。涙を流す必要など無いのである。
私はこのアルバムに対して極めて「不安な希望」を持っている。
ニューヨークの即興・ジャズシーンにおいて、多面的な活動を続けるブランドン・シーブルック。悪夢的で不穏、また愉快でもある騒乱は聴く者の記憶に刷り込まれる。
企画・招聘で自身もベーシストであるSHIKIORIの松永誠剛に、今回のティグランの想像を超えた知名度と人気について訊くと、「今の時代が必要としてくださっている、、のかも知れません。」と語っていたのが、終演の瞬間に腑に落ちた気がする。
日本・デンマーク外交樹立150周年記念イベントのひとつとして10日間に亘って開催された「オポジット2017」(OPPOSITE 2017)は、未知との遭遇の歓びに溢れ、限りない好奇心に貫かれていた。音響・無国籍音楽・ハードコアジャズ、すべてがデンマークの香りに満ちた極上の体験だった。
待望の初来日メテ・ラスムセンとクリス・コルサーノとのデュオ。クリス・コルサーノは溜息をもらしてしまうほどのスピードをいかんなく発揮した。メテ・ラスムセンはさまざまに音風景を変えながら、身体のダイナミックな動きをフル活用した表現をみせた。
この日の彼女の歌いっぷりを見て、私はふと思った。笠置シヅ子が生まれ変わって現れたのではないか、と。
思わぬ展開にびっくりしたり、考えさせられたり、共鳴したりと、久々に感慨深く聴いた4つの邦楽コンサートをめぐって
どの楽器も、音の勢いを強烈に表現しており、サウンドを浴びるという奇妙な感触に、なにかテープ時代を思わせるサウンドを思い出す。
感触でいえば、楽器音域での中心エネルギー集中型録音だ。
57年と60年録音の違いは場内の拍手で判る。
ライン収録にも機材の特質が露わに出るので、録音に際しての配慮があったと推察する。
どの楽器も、サウンドの艶々した印象で録られていて、ワンポイント手法のような印象を受ける。
ヴォーカルがバックに浮かんでいる様な感触を受ける。これはマジック。
タブラは録音の困難な楽器。その経験から、この録音は最大現に評価。
エレクトリックが左右空間を濃厚に埋め尽くす音量感は、たまらない魅力だ。
灰野敬二のデビュー・アルバム「わたしだけ?」が、当時本人が意図したゴールド&シルヴァーのスペシャル・エディションで、1981年のリリース以来初めてアナログ・レコード盤で再発される。謎に包まれたこの記念碑的アルバムの制作当時の意識と逸話を語ったインタビュー。