#01 『ミクロマクロ/曲のとびだす絵本』
text by Makoto Ando 安藤誠
FOOK★CHEW RECORDS MHFC-005
蜂谷真紀(vo,voice)
加藤崇之(gut guitar)
1. Lotus Blossom 蓮の花まわれ
2. All of Me 男と女のオール・オブ・ミー
3. Nature Boy 旅の少年が残した言葉は
4. When There Is Love 愛の存在とは
5. I’m Just Lucky So and So まあまあそこそこ幸せさ!
6. I’ll Be Seeing You どこにだって君がみえる
7. ブラジルごっこ①
8. Honeysuckle Rose きみは甘いスイカズラ
9. ブラジルごっこ②
10. First Song はじめのうた
11. These Foolish Things なんだって君を思いだしちまう
タイトルを目にしただけで聴いてみたくなるレコード、読んでみたくなる本、というのが世の中にはあるのだが、筆者にとって本作はまさにそんな一枚。頭のなかですぐに回路が繋がったのは、山下洋輔・元永定正作の絵本「もけらもけら」(福音館書店)。我が家の書棚に置かれたこの絵本、上の子から下の子へと読み継がれてあちこちボロボロになっているのだが、いつ何時ページをめくっても「ここでしか聴けない」リズムが弾け飛ぶ。こちらの「曲のとびだす絵本」は本ではなくCDだが、どこを聴いても自由闊達・説明不能・説明不要のリズムと音符が(文字通り)飛び出してくる、という点では大いに共通項。ギターとヴォイス、それぞれの達人が「真剣に遊ぶ」、その現場を余すところなく記録した本作を聴き進めるうちに、全ての音が色彩を帯びてくる。蜂谷さん、加藤さんの頭の中の色鉛筆セットには、おそらく何千色ものストックがあるに違いない。好きな画集を眺めながら聴きたくなる一枚。