#01 『Emilia Pérez (Soundtrack)』 ヒロ・ホンシュク
Sony Masterworks(2024年10月31日)
- “El Alegato” Zoe Saldaña
- “Todo y Nada” Zoe Saldaña
- “El Encuentro” Karla Sofía Gascón
- “La Vaginoplastia” Zoe Saldaña
- “Lady” Zoe Saldaña and Mark Ivanir
- “Deseo” Camille and Karla Sofia Gascón
- “Por Casualidad” Camille, Karla Sofia Gascón and Zoe Saldaña
- “Bienvenida” Selena Gomez
- “Mis Siete Hermanas y Yo” Xiomara Ahumada Quito
- “Papá” Juan Pablo Monterrubio and Karla Sofia Gascón
- “Para” Aitza Terán and Iván Ruiz de Velasco
- “El Mal” Camille, Zoe Saldaña and Karla Sofia Gascón
- “El Amor” Camille, Karla Sofia Gascón and Adriana Paz
- “Mi Camino” Selena Gomez
- “Perdóname” Camille and Karla Sofia Gascón
- “Las Damas que Pasan” Adriana Paz
- “Fierro Viejo” (choir version) Camille
- “El Alegato” (piano version) Camille, Zoe Saldaña and Karla Sofia Gascón
- “Subiendo (Part 1)” Camille and Clément Ducol
- “Fierro Viejo / La Ciudad” Camille
- “Fantasmas” Camille
- “El Rapto” Camille and Clément Ducol
- “Claroscuro (Part 1)” Clément Ducol
- “Claroscuro (Part 2)” Karla Sofia Gascón and Mark Ivanir
- “El Rayo” Clément Ducol
- “El Despertar” Camille
- “Subiendo (Part 2)” Camille
- “Cara a Cara” Clément Ducol
- “Desire” (alternate version) Camille
- “El Reclutamiento” Camille and Clément Ducol
- “Disonancia (Part 1)” Camille
- “Disonancia (Part 2)” Karla Sofia Gascón
- “La Pelea” Camille and Clément Ducol
- “El Trio” Karla Sofia Gascón and Zoe Saldaña
- “3 Dedos” Camille and Clément Ducol
- “Beatificación (Part 1)” Camille and Clément Ducol
- “Beatificación (Part 2)” Camille and Clément Ducol
- “El Fuego” Camille
- “Desire” Camille
- “Subiendo” (strings version) Clément Ducol
- “Subiendo” (choir version) Camille
- “Desire” (strings version) Clément Ducol
- “Desire” (choir version) Camille, Yadam and Paloma Pradal
今まで映画のサウンドトラックなどを手に入れようと思ったことは一度もなかった。ドラマ好きなので映画は人並みの量を観るし、商売柄音楽にも無意識に注意を払い、気に入ると担当者の名前をググって他の作品を調べたりもする。だがお目当ては役者の演技で、映画音楽だけ後で聴くという感覚は全くなかった。最近のお気に入り、『In the Heights (2021)』でさえも、あの音楽はあのパフォーマンスとセットで考えていた。
このJacques Audiard(ジャック・オーディアール)脚本・監督作品の『Emilia Pérez(エミリア・ペレス)』は衝撃的な映画としか言いようがない。筆者としては単にお気に入りの役者、スター・トレックやアベンジャーズやアバターでお馴染みの、また、役柄と本人のギャップが大きいことでも有名なドミニカ共和国系アメリカ人役者のZoe Saldaña(ゾーイ・ザルダーニャ、日本ではゾーイ・サルダナ)が初めて歌って踊ると聞いて前知識なしで見た。共演者のSelena Gomez(セレーナ・ゴメス)は歌手として馴染みがあるのだが、最近4シーズン目を終えた『Only Murders in the Building (邦題:マーダーズ・イン・ビルディング)』というドラマですっかり気に入った役者なので、楽しみにしていた。
ゾーイとセレーナ両者とも、個別のインタビューでこの映画の説明をすることに躊躇した。筆者はリリースされた本年11月13日にすでに観ていたので、両者のインタビューでの困惑を強く理解した。つまり、言葉にしてしまうと潜在意識を植え付けたりしてしまう恐れがあるのだと思う。それだけこの映画は特異だ。カンヌ映画祭ではメイン・キャスト4人全員に最優秀女優賞が与えられたという異例の騒ぎだった。
音楽はClément Ducol(クリモン・ジュカル)とシンガー・ソングライターのCamille(カミーユ)の手による。この映画はミュージカルという印象ではない。台詞が音楽になっているが、ミュージカルとも違う、ラップとも違う、何か強く新しさを感じた。反対に、それぞれの曲があまりにも素晴らしく、例えば3トラック目の<Deseo>はカミラがドスの効いた低い声から徐々に透き通った2オクターブ上までモーフする、その呟くような歌声とキャッチーなメロディーが忘れられない。セレーナは馴染みのある彼女独特の歌い方だが、歌って踊れることを以前に披露したことがなかったゾーイのパフォーマンスが驚異的だった。声も歌い方もユニークで、あまりの凄さにすっかりやられてしまい、このアルバムを手に入れて何度も聴いてしまった。ゾーイ、カルラ、セレーナ、この3人を合わせてこういう音楽で映画を作った監督に脱帽だ。
エミリア・ペレス、ジャック・オーディアール、ゾーイ・サルダナ、セレーナ・ゴメス、カルラ・ソフィア・ガスコン、アドリアナ・パス、クリモン・ジュカル、カミーユ
昨夜、こちらのGolden Globeで色々受賞していました。
– Best Motion Picture — Musical or Comedy ミュージカル/コメディー部門ベスト・ムービー
– Best Original Song: “El Mal” 劇中歌ベスト・ソング
– Best Motion Picture — Non-English Language 非英語ベスト・ムービー
– Best Performance by a Female Actor in a Supporting Role: Zoe Saldaña 最優秀助演女優賞:ゾーイ・ザルダーニャ