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My Pick 2024このディスク2024(海外編)No. 321

#02 『キース・ジャレット/ジ・オールド・カントリー〜モア・フロム・ザ・ディア・ヘッド・イン』 稲岡邦彌

ECM/Universal Music  UCCE-1212 ¥3,300(税込)

『Keith Jarrett / The Old Country~More From the Dear Head Inn』

  1. Everything I Love
  2. I Fall In Love Too Easily
  3. Straight No Chaser
  4. All Of You
  5. Someday My Prince Will Come
  6. The Old Country
  7. Golden Earrings
  8. How Long Has This Been Going On

Keith Jarrett キース・ジャレット (piano)
Gary Peacock ゲイリー・ピーコック (double bass)
Paul Motian ポール・モチアン (drums)

1992年9月16日 米ペンシルヴェニア州アレンタウンのthe Deer Head Inn(ザ・ディア・ヘッド・イン)でのライヴ録音


キース・ジャレットがデビュー前後、本拠地にしていた地元のクラブ「ディア・ヘッド・イン」(鹿頭荘)での演奏。オーナーシップの息子への代替わりを記念してキースが友情出演した。レギュラーのジャック・ディジョネットは職業病でリストを痛めておりあえて危険を冒さず、ポール・モチアンがトラで入った。しかし、このリズム・セクション、やはりキースがデビュー前のドサ回りで目にし、聴き惚れたれたビル・エヴァンスのトリオの再現。何が幸いするかわからないものだ。ジャックのようにアグレッシヴに煽られることもなく、ポールの融通無碍なオープン・リズムに身を任せた、キースのレイドバックした演奏を楽しむことができる。しかし、音楽とは常に真摯に向き合うキースだが、そのひたむきさはゲイリーもポールも共有している。その充実した内容は、1994年リリースの『At The Deer Head Inn』で折り紙付き。
マスターテープが偶然エンジニア(Kent Heckman) のスタジオで発見され、キースの手元に届けられたという。リハビリ中のキースにとってはECM55周年を祝うこの上ないギフトとなったことだろう。

稲岡邦彌

稲岡邦彌 Kenny Inaoka 兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。2004年創刊以来Jazz Tokyo編集長。音楽プロデューサーとして「Nadja 21」レーベル主宰。著書に『新版 ECMの真実』(カンパニー社)、編著に『増補改訂版 ECM catalog』(東京キララ社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)、共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。2021年度「日本ジャズ音楽協会」会長賞受賞。

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