「大丈夫、俺が聴いてるんだから」by 大島 彰
私にとっての杉田誠一さんはジャズリスナーとしての先生だった。私が教科書にしていたのが編集発行人をされていた『jazz』誌で、誌面の情報から聴いてみたいミュージシャンを見つけた。ジャズを聴き初めた頃は『スイングジャーナル』で満足していたのだが、それでは満足出来なくなったのだ。
私は生音派で、レコードよりライヴを聴きに行くのが好きだった。マイルスやチックやガトーなど来日ミュージシャンは勿論、日本の演奏家もよく聴きに行った。
レコードについては、78年に講談社より発行された『JAZZ&JAZZ』、この本のプロデューサーが杉田さんで、世界のライブ・スポットについて執筆されている。また世界のレーベルについては岡崎正通さんが執筆。ジャズの教科書として素晴らしい名著だと思っています。
それにこの本には、紹介されているレコード毎にチェック欄が付いていて、とても機能性に優れていました。私はチェックしながら、貸しレコード店で借りたLPをカセットにダビングする作業に夢中でした。
杉田さんと仕事で接した最初は89年で、『阿部薫覚書』(ランダムスケッチ)を出版するとき、とても世話になりました。阿部を初めてメディアに紹介されたのが、杉田誠一さんだったのです。感謝しています、あの時はありがとうございました、と彼の店で話し込んだこと、よく覚えています。店では気に入りの音楽家に演奏の場を提供されていて、お客さんが居なくても「大丈夫、俺が聴いてるんだから」なんて笑ってられました。そんな場所から育っていった、纐纈雅代さん、川島誠さん、橋本孝之さん、saraさんなど、所縁の方たちに執筆依頼して出来上がったのが『阿部薫2020』(文遊社)です。杉田さん、目次を見て嬉しそうな顔をしてくれました。
そのときの眼が忘れられない。
橋本孝之、sara、纐纈雅代、杉田誠一、川島誠、岡崎正通、雑誌『JAZZ』、『JAzz&JAZZ』、『阿部薫覚書』、『阿部薫2020』