10/13 音の居場所~歌と即興が交差するライブ vol. 1
パカッショニスト風巻隆主宰による即興演奏の「音の交差点」と、ボーカル/ピアノの林ミカ主宰による歌の「声の居場所」を合体させ「音の居場所」として新しく始められるシリーズ、その第1回。
2024年10月13日 (日)19:00開場 19:30開演
渋谷・公園通りクラシックス 03−6310-8871
http://koendoriclassics.com/
渋谷公園通り、東京山手教会、地下駐車場入口の地下へのスロープを下り、奥のつきあたり、右側にある赤いドアが店の入り口。
出演
森順治 (sax, flute) +風巻隆 (percussion) DUO
林ミカ (vocal, piano) + 関島種彦 (violin, mandolin) + 風巻隆(percussion) TRIO
料金:予約/当日ともに 3000円+ドリンク代別(予約の場合は優先入場)
予約:クラシックス公式サイト、イベント欄に予約フォームあり
「音の居場所」風巻 隆
コロナの緊急事態宣言で多くの音楽活動が制限された2020年5月、伊豆高原のライブハウスで「音楽のピクニック」という歌と即興のコラボレーションを企画したことがある。ただ、感染の蔓延でライブハウスが目の敵にされ、その企画は頓挫してしまったのだけれど、即興演奏と歌モノの境にある垣根のようなものは、いつか取ってみたいと思っていた。その後、キッドアイラックでのソロをCDにする話がもちあがり、オフノートからCD「ただ音をたたいている/PERCUSSIO」を22年5月にリリースし、成城学園前の「アトリエ第Q芸術」でお披露目会をした。
20年の5月には、無観客のライブ配信を企画した碑文谷の「APIA40」で、シンガーソングライターの林ミカのバンドのゲストとしてドラムを叩いたことがある。感染が広がる東京でのライブに栃木在住のバンドメンバーのドラマーが参加できなくなり急遽決まったエキストラだったが、全6曲を演奏した。その後、林と風巻は、2024年3月、渋谷「公園通りクラシックス」でデュオ、5月に成城学園前「アトリエ第Q芸術」でチェロの坂本弘道とのトリオを行い、二人の音楽を高めてきた。歌という枠の中に、その枠に捉われない形で即興が生まれる…、そんな音楽。
かつて風巻は明大前「キッド・アイラック・アート・ホール」を舞台に、さまざまなミュージシャン、即興演奏家と「音の交差点」というシリーズのコンサートを続け、2014年の「音の交差点2014」にはサックスとフルートの森順治がデュオでクラリネットの大熊ワタルとともに参加している。林ミカも長年、下北沢の「lete」というカフェで「声の居場所」というタイトルでゲストを一人呼ぶ自主企画を続けている。即興演奏の「音の交差点」と、歌の「声の居場所」を合体させてできたのが、今回渋谷「公園通りクラシックス」で新しく始められるシリーズ「音の居場所」だ。
サックスの森さんと初めて共演したのは2009年大磯「すとれんじふるうつ」での大磯音楽祭「フリーミュージックナイト」でのセッションだった。2014年には明大前「キッド・アイラック・アート・ホール」での「音の交差点2014」でデュオを、2018年にはスペースが無くなる前最後となった、大磯「「すとれんじふるうつ」での「IMPROVISORS NETWORK」で共演している。そして、2022年の成城学園前「アトリエ第Q芸術」でのソロCDのレコ発コンサートでは、ピアノの新井陽子、ギターの吉本裕美子とともにカルテットで演奏し、のびやかな演奏を披露してくれた。
演奏する前には何も形がない即興演奏と、詞があり曲がありアレンジが既にある歌とでは、同じ音楽といってもほとんど対極にあるようなものだ。おそらく即興演奏と歌をカップリングしたライブなんて他にはないだろう。ただ、歌を意識したとき即興はより作品へと向かっていくだろうし、即興を意識したとき歌はもっと自由に羽ばたいていくだろう。森順治と風巻は2014以来10年振りのデュオとなり、林ミカと風巻はゲストにヴァイオリンとマンドリンの関島種彦をゲストに迎えてエキゾチックな無国籍音楽を作っていく…、どんなライブになるか楽しみです。
森順治 Mori Jyunji (alto sax, bass clarinet, flute)
軽快なフットワークと自由奔放な音作りで、フリージャズから歌ものまで、幅広い音楽活動を続けるマルチリード奏者。梅津和時、原田依幸らと行動を共にし、1976年に集団疎開が、1977年には生活向上委員会大管弦楽団が結成され参加。1978年頃には渋谷のアピアで友部正人、遠藤ミチロウらと共演。テナー&ソプラノサックスの堀切信志とのデュオを続ける一方、ドラムの大沼志朗、ピアノの雨宮拓とのトリオ「M.A.S.H」、福生を拠点に活動するロックバンド「中原宙&Deme Band」のメンバーとして活動するほか、原田依幸の大人数ホーンによる「大怪物団」や、山崎比呂志やヒゴヒロシのユニット、宅シューミー朱美のセッションなどにも参加している。また、パントマイムとの共演や人形劇団の音楽も担当する。生活向上委員会をはじめ、多くのユニットでCD、CDRを発表している。
https://ameblo.jp/lm199781/theme-10036814500.html
林ミカ Hayashi Mika (vocal, piano)
日々の生活の中で感じる“生きにくさ”や自分の感情の”不確かさ”を、透明感のある歌詞に乗せて、ピアノ/エレピの弾き語りで歌うシンガーソングライター。2007年からソロの弾き語りで活動し、アルバム『終わりから始まる歌』『Oneself』(2010年)、『unrelativity』、『timeカプセル』(2013年)、『piano & remedy』(2016年)を発表。その後、高橋朝のドラムス、お犬様のベース、松村剛のチェロらとともに自らのバンドMIKA & No tengo hambleを結成し、アルバム『Sign』(2019年)を発表。また、ヴァイオリンの関島種彦、ギターの林陽平、ベースの宮坂洋生、ドラムスの小林功弥とアルバム『YOU』(2022年)を制作、 現在、都内のライブハウスを中心に活動を続け、YouTubeにも楽曲を発表している。
https://mika-notengohambre.jimdofree.com/
関島種彦 Sekijima Tanehiko (violin, mandolin)
幼少期にクラシック音楽を学び十代の後半から独学で演奏活動を開始。2017年には渋谷文化村シアターコクーンの舞台『24番地の桜の園』の劇伴を担当。様々な音楽家のサポート、映画への出演や楽曲提供も行う。主な活動として、無国籍音楽といった趣の5人編成グループ「Ensemble Poezia」を主宰する他、シカラムータなどで知られるクラリネット奏者の大熊ワタル、チンドン奏者こぐれみわぞうを中心とする「ジンタらムータ」での活動、またその二人が発端となったベルトルト・ブレヒトとクルト・ワイルらの芸術性を再構築するプロジェクトへ参加している。
東欧周辺のロマ(ジプシー)音楽や土着の音楽、ジャズ、現代音楽、辻楽師等から大きく影響を受け、幅広い視点で音楽の在り方を模索している。
https://sekitane.blogspot.com/
風巻 隆 Kazamaki Takashi (percussion)
80年代~90年代にかけて、ニューヨーク・ダウンタウンの「New Music」と称される実験的な音楽シーンとリンクしながら、ヨーロッパ、エストニアのミュージシャン達と幅広い音楽活動を行ってきた即興演奏のパカッショニスト。革の響きがする独自の演奏スタイルや、即興の醍醐味は作品化にあるという即興観は、2005年にキッドアイラックレーベルから発表したソロCD『ジグザグ/zigzag』、2022年にオフノートから発表したソロCD『ただ音を叩いている/PERCUSSIO』という作品に結実した。肩掛けのタイコ、胴長のブリキのバケツなどを駆使し、今もまた、革新的な演奏スタイルを模索している。東京の即興シーンでも、常に独自の立ち位置を持ち、昨今は、自らの体験をもとに音楽そのものを深めていくエッセイ「風を歩く」から~を、web雑誌「JAZZ TOKYO」に連載している。
エッセイ「風を歩く」から~ http://blog.livedoor.jp/takashikazamaki/