3/27 宮田亮平 文化庁長官「文化芸術に関わる全ての皆様へ」
今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、全国的な文化イベント等について中止、延期等の検討をお願いして1か月余りが経過しています。感染拡大防止の観点から、関係者の皆様の多大なご協力により、多くのイベントの開催を見送っていただいており、皆様の御対応に心から敬意を表し、また、感謝申し上げます。
一方で、イベントの中止、延期により、活動の場を失い、辛い思いをされている方も多くいらっしゃると思います。日々、鍛錬を重ね、入念な準備をしてきたものを中止するというのは、いかほどの苦渋の選択であったのか、はかり知れません。また、生活にも大きな影響が出て、文化芸術活動をあきらめざるを得ない方も多数いらっしゃるということも伺っております。
芸術家としても生きてきた私の人生を振り返っても、過去に幾度となく、災害などで文化芸術活動の継続が困難となる事態に遭遇しました。一方で、困難に直面した人々に安らぎと勇気を与え、明日への希望を与えてくれたのもまた、文化芸術活動でした。この困難な時こそ、日本が活力を取り戻すために、文化芸術が必要だと信じています。
日本の文化芸術の灯を消してはなりません。
この困難を乗り越え、ウイルスに打ち勝つために、文化庁長官として、私が先頭に立って、これまで以上に文化芸術への支援を行っていきたいと考えています。
明けない夜はありません! 今こそ私たちの文化の力を信じ、共に前に進みましょう。
文化庁長官
宮田 亮平
第22代文化庁長官 宮田亮平(ミヤタ リョウヘイ)
金工作家。新潟県佐渡に蝋型鋳金作家の2代目宮田藍堂の3男として生まれる。1972年に東京藝術大学大学院 美術研究科 工芸専門課程(鍛金専攻)を修了。
イルカをモチーフとした「シュプリンゲン」シリーズなどの作品で,「宮田亮平展」(個展)をはじめとして,国内外で多数の展覧会に参加。
「日展」内閣総理大臣賞や,「日本現代工芸美術展」内閣総理大臣賞など数々の賞を受賞し,2012年に第68回日本芸術院賞を受賞。
東京藝術大学教授・学部長を経て,同大学学長を10年務めた後,2016年4月より文化庁長官に就任。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「東京2020エンブレム委員会」委員長も務めた。
宮田亮平ウェブサイト
宮田亮平 「シュプリンゲン」 イルカは僕の原点(産経新聞オンライン)
【解説】
2020年3月27日、宮田亮平 文化庁長官長官からの、新型コロナウイルス感染症の影響による文化イベントの中止、延期についてのメッセージが発表された。これには、具体的支援策やその予定もや明記されていないものの、また、なぜか挨拶状のように画像ファイルで公開され、引用拡散が難しいものの、シンプルで誠意のあるメッセージを、今後、コンサートやライブ、フェスティヴァルの開催が非常に困難になるであろうこのタイミングで出してきたことには注目したい。これだけでは予算を伴う具体的施策の始動とはならないが、音楽業界からの働きかけもできず、とりかかりも見えていなかった現状の中では、ひとつのとりかかりとは見ることができるだろう。また、ドイツの例から、実行不可能となった文化事業への補助を、アーチストや団体の支援の財源にするという点を見倣いたいところだ。
宮田亮平長官(2016年2月〜)は東京藝術大学学長(2010〜2015年度)を務めた工芸美術作家(金工)で、イルカをモチーフにした「シュプリンゲン」シリーズの作品を数多く手がけてきたことでも知られる。美術関係者であるものの、東京藝術大学で音楽学部を含めた若手の育成にあたってきたという点、音楽畑にも人脈を築いている点では、音楽とその従事者の現状にも心を砕いているものとは推測される。
他方、「JAZZ TOKYO」に慶應義塾大学教授 粂川麻里生の翻訳と解説で掲載したドイツ文化大臣からのメッセージは、掲出後3日間で約1万人に読まれ、Twitter Trendにもなり、世界的アーティストからも拡散され、ドイツの芸術家への支援は高い関心を集めた。
3/11 ドイツ文化大臣「フリーランスの芸術家への無制限の支援」を言明 by 粂川麻里生
【参考】 業界団体からの要望書などのまとめ
一般社団法人 日本クラシック音楽事業協会
「文化イベント等の中止・延期などの対応要請」に関する要望書」を提出
協同組合日本俳優連合
新型コロナウィルス感染防止措置に伴う公演などの中止に伴う声明 及び働き手支援についての緊急要請
公益社団法人日本芸能実演家団体協議会「新型コロナウイルス感染拡大防止による舞台公演中止等を受け、実演芸術活動の維持と、鑑賞機会の回復に向けた施策を要望します」
コトバだけでは腹はふくれないので具体的な支援、助成の施策を早急に実施願いたい。とくにインディ系が多いジャズ業界(ミュージシャン、ライブハウス、関係スタッフ等々)の事態は深刻だ。
ドイツではアーティストも含め給付金の支給が始まったようです。
とはいえ、日本にいる以上、ここで生きていくしかないので、現状利用できる制度を記しておきます。
個人は社会福祉協議会で償還免除もある生活福祉資金の特例貸付の申請ができます。
https://news.yahoo.co.jp/byline/fujitatakanori/20200325-00169705/
https://www.shakyo.or.jp/guide/shikin/seikatsu/index.html
中小企業への対策は:
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
https://www.meti.go.jp/covid-19/
また、市区町村は中小企業向けの制度融資あっ旋をやっています。
支援を要請することは必要ですが、生活資金/事業資金などで困っている場合はまず使える制度を使うのがよいと思います。相談窓口もあります。
どなたか社協で生活福祉資金の特例貸付の申請をした方がおられましたら、ぜひ体験談を寄せてください。僕自身も検討中です。