#1295 『Marika Hughes / New York Nostalgia』
text & photo by Takehiko Tokiwa
DD Records
Marika Hughes and Bottom Heavy
Marika Hughes (cello,vo)
Kyle Sanna (g, org, 7)
Charlie Burnham (violin)
Fred Cash Jr. (el-b)
Tony Mason (ds)
Doug Wamble (slide g, 3,8,9, background vo, 2,4, horn arrangements)
Marck Cary (p,9, kb, 1,2,3)
Ron McBee (per,1,2,3,4,11)
Jordan McLean (tp,2,3,4,11)
Mike McGinnis (ts,2,3,4,11)
Morley (background vocal, 1,2,3,11)
Imani Uzuri (background vo, 1,2)
- Chapter 4
- Fool’s Gold
- Dream It Away
- Click Three Times
- For The Last Time
- So Gracefully
- Single Girl
- No Dancing
- A Kiss Is Just As Sweet As It Gets
- Sophisticated Alice
- This Is The Sound
Recorded bu Andy Taub at Brooklyn Recording.
Produced by Marika Hughes and Doug Wamble.
異能のチェリスト/ヴォーカリスト、マリカ・ヒューズのサード・アルバム。ウクライナ出身で20世紀前半を代表するチェリストのエマヌエル・ファイアマンを母方の祖父に持ち、アフリカ系の父と母がニューヨークのアッパー・ウェスト・サイドでジャズ・クラブを経営するという、ハイブリッドな環境で育ったヒューズ。幼少時からヴァイオリンの厳しいレッスンを受け、12歳でチェロに転向し、ジュリアード音楽院を卒業後、サンフランシスコで活動を開始する。ディアンジェロ(vo,kb)、トム・ウェイツ(vo,p)、サンタナ(g)らのサポート・メンバーとして活躍し、カーラ・キルステッド(vln)らとのオルタナ系ユニット“2 Foot Yard”のメンバーとしても評価を高め、ニューヨークへ帰還した。
ヒューズの音楽は、その出身とキャリアを反映して、クラッシック、ジャズ、ロック、R&Bからジューイッシュ・ミュージックまでを内包した、唯一無二のオリジナリティに富む。レギュラー・グループ、“Bottom Heavy”は、セッション・プレイヤーで知られるトニー・メイソン(ds)や、フレッド・キャッシュ・Jr(el-b)、ニューヨーク・アンダー・グラウンド・ミュージック・シーンに長く君臨するヴァイオリニスト、チャーリー・バーンハムらが、その音楽の中核をなす。本作では、共同プロデューサーにウィントン・マルサリス(tp)やカサンドラ・ウィルソン(vo)の共演で知られるシンガー/ギタリスト、ダグ・ワンブルを迎え、独特のブルース・フィーリングを加味した。ゲストでもベティ・カーター(p)・グループ出身のマーク・キャリー(p,kb)が参加、存在感を放っている。
ジョーズ・パブでのアルバム・リリース・ギグではキャリーに替わり、ブライアン・ブレイド(ds)&フェロー・シップのメンバーで知られるジョン・カウハード(p)が参加。ワンブルの不在は残念だったが、レコーディング・メンバーのホーン・セクション、コーラスも登場し、”Bottom Heavy”のメンバーと、様々なコンビネーションで、マリカ・ヒューズの曼荼羅のような音世界を再現した。
マリカ・ヒューズは、このアルバムは「自らの出身地、ニューヨークへのラヴ・レター」と語っている。ヒューズの多彩な音楽こそ、人種と文化の坩堝、ニューヨークを象徴していると言える。
関連リンク
Marica Hughes http://www.marikahughes.com
Marika Hughes & Bottom Heavy, CD release gig @ Joe’s Pub NYC on March 14, 2016.