JazzTokyo

Jazz and Far Beyond

閲覧回数 ...

CD/DVD DisksNo. 332

#2417 『小倉直也ジャズ・オーケストラ / Colors of a Journey』

text by Toshio Tsunemi 常見登志夫

BANDSTAND PRESENTS  BPNO001 ¥3,500(税込) 12月5日発売

■Personnel
Naoya Ogura(ldr,tp),John Lake(tp),David Smith(tp②③④⑥),Brandon Choi(tp①⑤⑦⑧⑨),Matt McDonald, John Yao, Brandon Moodie(tb),Andrew Gould(as,fl), Aviv Blum(as①②④⑤⑥⑧⑨),Hina Oikawa(as,fl③⑦),Tim Armacost(ts,cl),Andrew Gutauskas(bs③④⑤⑧),Skyler Hagner(bs,bcl①②⑥⑦⑨),Ben Rosenblum(p),Joe Martin(b),John Sturino(ds)

■Trackl ist
1. Moon (Naoya Ogura)
2. Anything Goes(Cole Porter)
3. CYF (Naoya Ogura)
4. That’s the Idea (Naoya Ogura)
5. Moose the Mooche (Charlie Parker)
6. Everything Happens to Me (Matt Dennis)
7. Colors of a Journey(My Uncle) (Naoya Ogura)
8. The Place Where I Used to Be (Naoya Ogura)
9. I Love You (Cole Porter)
All Songs Arranged by Naoya Ogura

Recorded at The Bunker Studio in New York (Recording Engineer: Todd Carder) on June, 2024
Mixed / Mastered by David Darlington (Bass Hit Studio)
Produced by Prof. Michael Phillip Mossman


ニューヨーク在住のトランペット奏者/作編曲家・小倉直也が初のアルバム『Colors of a Journey』をリリースする。

OTBで知られるトランペッター マイケル・モスマンがアルバムをプロデュース

小倉は兵庫県西宮市出身の32歳。高校の音楽教師であった母親の影響で音楽に目覚め、小学生の時に祖母からプレゼントされたトランペットを始めた。その後進学した兵庫県立国際高校のジャズバンド部「HOPPON’NOTE」でジャズに出会い、カウント・ベイシー、グレン・ミラー、バディ・リッチなどのビッグバンド・サウンドに親しむようになる。同志社大学に進学しながら、大阪大学のビッグバンド「The New Wave Jazz Orchestra」に参加。トランペット奏者だけでなく、指揮やジャズ・オーケストラの作編曲にも取り組んだ。
2020年1月には、ニューヨークにあるクイーンズ・カレッジのアーロン・コープランド音楽学校ジャズ学科の大学院に入学。ちょうど全世界にコロナウイルス禍が蔓延し始めたころである。同校ではトランペット奏者のマイケル・フィリップ・モスマン Michael Phillip Mossmanに師事し、作・編曲を学んだ。今回、レコーディングに参加した John Yao(tb)、Tim Armacost(ts,cl)、Joe Martin(b)も同校の講師陣であり、モスマンはアルバム・プロデュースも務めている。

マイケル・モスマンといえば、私にとっては80年代にジャズ界を席巻した新生ブルーノートからデビューしたOTB(Out of The Blue。レーベルは「somethin’ else」)のトランぺッターである。デビュー・アルバム『アウト・オブ・ザ・ブルー』は当時、スイングジャーナル誌の批評家投票でベスト・アルバムに選ばれている。アルバムの多くの曲もモスマンの作曲である。小倉はそのモスマンの薫陶を受け、トランペットの奏法も習い、モスマンが才能のある若いアーチストのデビュー作をプロデュースする。そうした流れを音でも聴きながら、何か宝物のように大切なものを感じるのである。

盟友のトランペッター 黒田卓也が背中を押してくれた

アルバムに収められたのは、小倉がコロナ禍中に書き溜めた膨大な作編曲の作品からオリジナル5曲とスタンダード4曲。切なくも思わず口ずさみたくなる優しいメロディ、浮遊感のある美しいハーモニー、気持ちを開放する躍動感に溢れた展開など、多くの聴きどころがある。それらを支える卓越したソロや重厚なアンサンブルが見事だ。アルバムの制作にあたっては、NYでの先輩にあたるトランペット奏者・黒田卓也の存在も大きかったという。黒田とは地元の神戸で初対面の18歳の頃から交友を重ね、共演を繰り返してきた。NYに渡ってからもその関係は変わらない。ツテもなく予算面でも躊躇していた小倉に、すぐに制作に取り掛かるよう背中を押したのが黒田である。小倉から相談を受けた黒田は、その場ですぐにスタジオを押さえてくれたという。「初めての作品って“絶対失敗したくない”とか“これが一生残ってしまう”という重圧もあって、なかなか踏み切れない人を自分も多く見てきた。でも28歳の時に思い切ってやってみて、その後はすごい楽になった。大変さもあるけど、それを乗り越えたら次はもっとよくしようと考えられると思う」(黒田卓也)。

アルバムのリリースに先立ち、小倉は8月にオーケストラのメンバーでもあるパートナーの及川陽菜(as)と帰国。東京や川越、神戸など全国6か所で凱旋ツアー「1st album release Japan tour~COLORS OF A JOURNEY」を敢行した。場所によりメンバーは異なるが、広瀬未来(tp)、池本茂貴、駒野逸美(tb)、吉本章紘、陸悠(sax) ほか、小倉と親交のあるアーチストが参加した。ライブハウスだけでなく、ホール・コンサートも前売りチケットが完売するほどの盛況だったという。まだそれほど知名度は高くない小倉だが、今後の目覚ましい活躍を期待させる、大切なスタート・ラインとなる作品である。

アルバムのいくつかはYoutubeにもアップされているのでぜひ聴いてみてもらいたい。下記の3曲はいずれも小倉のオリジナル曲である。

〈Moon〉
(ソロイストはAviv Blum(as)、Joe Martin(b))

〈Colors of a Journey(My Uncle)〉
(プロの電子オルガン奏者だった亡き叔父に捧げた曲。ソロイストはMatt McDonald(tb)、Ben Rosenblum(p))

〈That’s the Idea (Alternate Take) [Official Video]〉
(レコーディング風景も。ソロはTim Armacost(ts)、David Smith(tp))

常見登志夫 

常見登志夫 Toshio Tsunemi 東京生まれ。法政大学卒業後、時事通信社、スイングジャーナル編集部を経てフリー。音楽誌・CD等に寄稿、写真を提供している。当誌にフォト・エッセイ「私の撮った1枚」を寄稿。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください