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CD/DVD DisksNo. 332

#2413 『山口ちなみ / The Köln Concert』

text by Shinobu Yamada 山田詩乃武

寺島レコード (DiskUnion)  TYR1135 ¥3,150(税込)

山口ちなみ piano(Bösendorfer

「ザ・ケルン・コンサート」
1. Köln, January 24, 1975 Part I
2. Köln, January 24, 1975 Part IIa
3. Köln, January 24, 1975 Part IIb
4. Köln, January 24, 1975 Part IIc
作曲:キース・ジャレット(ショット・ミュージック版)

2025年9月27日@キング関口台スタジオ
A&R:Aya Yoshida (Disk Union)
Produced by Yasukuni Terashima


標題のレビューを書くにあたって前置きが必要である。12月3日にリリースされたスタジオ録音盤 CD についてであり、その奏者山口ちなみはクラシック専門のピアニスト。彼女は昨年(2024年)7月に生れて初めて「ケルン・コンサート」を耳にし、楽譜を基に練習を始め、今年1月に霞町音楽堂で初めて聴衆の前で演奏した。その後、同会場で3月、6月、8月、10月と演奏会を開催した。
2回目の演奏会に出向き、山口ちなみのケルン・コンサートを生で聴いた。18歳の時からキース・ジャレットの『ケルン・コンサート』を数えきれないほど聴き込んできたので耳の奥底にはキースの音が完全に刷り込まれている。
山口ちなみの「ケルン」を聴いた第一印象は、「優秀なピアニストが譜面に忠実に弾いているな」という感じだった。LP、CD、ハイレゾ音源で聴くよりは生演奏ならではの空気感、聴衆の反応、さらに「匂い」が肌感覚を通して伝わってきた。
その後も6月、8月と聴きに行った。回を重ねる度に確実に進化しているのがわかった。本人にも「山口ちなみのケルン・コンサートを確立すればいいと思う、むしろそれを望んでいます」と伝えた。9月27日にレコーディングを行ったことは後で知った。
前置きが長くなった。そのスタジオ録音のCDを佐渡のシステムで聴いた。JBL4530バックロードホーンから流れるピアノは霞町音楽堂での音とは明らかに違った。譜面の旋律が見えるほど優等生的な音の良さである。些か音が硬い、しなやかな音の流れが見えて来ず〝間″の取り方が熟れてない。ライブ録音の予定もあると聞く。今後は譜面をいっさいみないで身体の中に沁み込ませ暗譜による山口ちなみの「ケルン・コンサート」を期待したい。


 

 

 

 

 

 

 

 

山口ちなみ
和歌山県新宮市出身。大阪芸術大学演奏学科を首席で卒業。
卒業時に学長賞を受賞。武蔵野音楽大学大学院博士前期課程器楽専攻ヴィルトゥオーソコース修了。
在学中にソリストオーディションに合格し、武蔵野音楽大学管弦楽団と国内及びドイツにて共演。読売新人演奏会、関西新人演奏会、若い音楽家達の飛翔、むさしのフレッシュコンサート、和歌山県新人演奏会等に出演。
第9回かがりの里音楽コンクール第1位、第21回日本クラシック音楽コンクール第5位(1~3 位なし)、第14回北関東ピアノコンクール第1位受賞。
ピアノを丹羽節、中村勝樹、重松聡、伴奏法を三ッ石潤司、室内楽をC.ドルの各氏に師事。マスタークラスなどでK.ゲキチ、J.L.プラッツ、J.ダムガード、P.クーイデルの各氏から指導を受ける。
2017年には紀尾井ホール、2018年には東京文化会館小ホールにてリサイタルを行う他、室内楽では読売日本交響楽団のメンバーによるカルテット等と多数共演。2023年、ラフマニノフピアノ協奏曲第2番を大阪交響楽団と共演。(メイカー資料による)

山田詩乃武

山田詩乃武 やまだしのぶ 歌人・文筆家・佐渡郷土史研究家。 新潟県佐渡島真野新町生れ。新潟県立佐渡高校、青山学院大学経営学部第Ⅰ部 出身。農林水産省補助事業 6 次産業化中央サポートセンター プランナー他、公私の委員、理事、顧問を歴任。著書に『順徳天皇 ― 御製で辿る、その凛烈たる生涯 ―』(PHP 2021)。2025年、小説『憂き世をば ―順徳天皇物語―』上梓予定。趣味:ジャズ&オーディオ。

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