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Jazz and Far Beyond

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CD/DVD DisksNo. 234

#1448 『Vijay Iyer Sextet Far From Over』 

text by Masanori Tada 多田雅範

ECMの新作を聴くシリーズ2017秋 #2 (contn’d)

ECM 1458

Vijay Iyer   Piano, Fender Rhodes
Stephan Crump   Double Bass
Tyshawn Sorey   Drums
Steve Lehman   Alto Saxophone
Mark Shim   Tenor Saxophone
Graham Haynes   Cornet, Flugelhorn, Electronics

1. Poles
2. Far From Over
3. Nope
4. End Of The Tunnel
5. Down To the Wire
6.For Amiri Baraka
7. Into Action
8. Wake
9. Good On The Ground
10. Threnody
all music by Vijay Iyer

 

「現代ジャズ最重要ピアニストが4番バッターばかりのセクステットで総攻撃なのだ」

ECMレーベルの新作を聴くシリーズ2017秋、第二打席、

 

圧倒的な造形の強靭さ、カッコいいぜ、新しいドラマーの潮流にあってタイションも冷徹なばかりに叩き分けて決めているではないか、明らかにモノがちがう、どんなリハーサルをやればこんなにタイトに見事で周密なアンサンブルを推進させられるのだろうか、個々人のジャズ身体能力としか言いようがないな、ヴィジェイのコンポジション/設計図に対する高いレベルでの相互理解が成立していなければならないだろう、これはまいったな、

最近はNHKばかり観ている(一日平均6時間超え)待機運転手じいさんであるわたしだが、民放というのはいまやNHKの二軍なのだね、それでいうとブルーノートなんかもECMレーベルの二軍なんだろうかー、そんなことはないのだが、

おれ、あまりヴィジェイのいいリスナーではなかったよ、アクト・レーベルでのソロやトリオの作品の2010年から12年、すげーピアニストが現れたと話題になってた輸入盤屋店頭、あんまりピンときてなかったです、どんかんー、

それがさ、ECMレーベルにピックアップされてよもやの弦楽四重奏との怪物盤『Mutations』(ECM2372)に、なぜか現代ロックの寵児スフィアン・スティーヴンスを幻視してしまうような体験をしてしまったわけなのだし、これをジャズ本流のリスナーやましてやクラシック本流のリスナーは聴けたためしはないだろうと、偉そうに、おれ、ECMレーベルはヴィジェイにDVDまで制作させているのだろう?まだ視聴していないんだよ、おれ、2015年ピアノ・トリオでの『Break Stuff』(Stephan Crump, Marcs Gilmore)を聴いてこのピアニストは相当なもんだとジャズ史の王道を伝統を手中にしてなお堂々とした不敵なまでの造形力、

セクステットの陣容は、ピアノトリオ(Stephan Crump, Tyshawn Sorey)に3管、

静と動、ダイナミックとフローティング、めっちゃカッコいい表題曲「Far From Over」、ジャズイズカミングバック!、Stephan Crump と Tyshawn Sorey のコンビネーションの良さは新発見だ、覇権を握れるぜ、

ECM現代ジャズ2017年はクレイグ・テイボーンの『Daylight Ghosts』で決まりかと思っていたが、ここにきてヴィジェイ・アイヤーが特大ホームランを大谷翔平のような涼しい佇まいで決めてきた、おれもこの盤でジャズ耳の足腰がしっかりしてきたぜ、ありがとう、ヴィジェイ、

多田雅範

Masanori Tada / 多田雅範 Niseko-Rossy Pi-Pikoe 1961年、北海道の炭鉱の町に生まれる。東京学芸大学数学科卒。元ECMファンクラブ会長。音楽誌『Out There』の編集に携わる。音楽サイトmusicircusを堀内宏公と主宰。音楽日記Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review。

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