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Jazz and Far Beyond

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CD/DVD DisksNo. 235

#1457『Juxtaposition / Juxtaposition』

text by Narushi Hosoda 細田成嗣

Nakama Records – NKM012CD/LP

Agnes Hvizdalek – voice
Magnus Skavhaug Nergaard – el. bass, electronics, field rec.
Utku Tavil – snare drum, no-input mixer, sampler
Natali Abrahamsen Garner – voice, electronics

  1. Correttivo
  2. Pakistansk mango
  3. Revolver
  4. Juxtaposition
  5. 1000 poeng
  6. Enkle løsninger og fugler
  7. Trost

Mastering: Lasse Marhaug
Mixing: Magnus Skavhaug Nergaard
Graphic Design: Ellmer Stefan


ノルウェー・オスロを拠点に活動する四人の若手即興演奏家による、2016年の春におこなわれたセッションの記録である。それぞれ別々にではあるが来日公演をおこなったこともあり、日本の新しい世代の即興演奏家とも交流がある注目の存在だ。電子音響と化したヴォイスやハウリングするベース、打撃音を出すエレクトロニクス・ノイズ、フィールド録音した素材などが、丁々発止の反応の応酬を繰り広げるのではなく、タイトルの「並置」を体現するように、それぞれが独自に取るソロを重ね合わせたような音像を聴かせる。だが全くバラバラなわけではなく、インダストリアル・ノイズ風であったりハードコア・パンク風であったり民族音楽風であったりと、トラックごとに特徴的なテーマを思わせるまとまりをなしている。ジャカルタのノイズ・ミュージックを彷彿させるところも面白い。活発化するノルウェーのインプロ・シーンの現在を伝える必聴のドキュメントだ。

細田成嗣

細田成嗣 Narushi Hosoda 1989年生まれ。ライター/音楽批評。2013年より執筆活動を開始。編著に『AA 五十年後のアルバート・アイラー』(カンパニー社、2021年)、主な論考に「即興音楽の新しい波──触れてみるための、あるいは考えはじめるためのディスク・ガイド」、「来たるべき「非在の音」に向けて──特殊音楽考、アジアン・ミーティング・フェスティバルでの体験から」など。2018年より「ポスト・インプロヴィゼーションの地平を探る」と題したイベント・シリーズを企画/開催。

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