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Concerts/Live ShowsNo. 329

#1380 チャーリー・パーカー・ジャズ・フェスティバル

間歇温泉の如く時折りニューヨーク(NY)でのジャズの話題をEメールニュースレターにて送信してきましたが、今年末には40年以上住み慣れたNYを離れ、日本 (名古屋) へ帰国することになりました。それに伴いNY通信は「今回の送信が最後」となります。
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チャーリー・パーカー・ジャズ・フェスティバルが1993年以来毎年夏の週末にNY市イーストビレッジにあるトンプキンス・スクエア・パーク Thompkins Square Park (パーカー自身が公園脇のアパートに一時期居住していた) で無料で開かれ、懐に優しくトップクラスのジャズを楽しめるコンサートとして33回続いている。以前、同公園におけるアーチー・シェップの演奏をこの勝手なニュースレターで報告していたのを憶えておられる方も居られると思う。

その後はハーレムにあるマーカス・ガーベイ公園 Marcus Garvey Park でももう一日開催されるようになっている。そのガーベイ公園へは今まで訪れる機会を逸していて、8月23日(土)にやっと行くことが出来たので報告する次第。こちらも当然無料。

2025年8月23日(土)
チャーリー・パーカー・ジャズ・フェスティバル
マーカス・ガーベイ公園、NYC

ジョージア・ヒアーズ・グループ
バーサ・ホープ・クインテット
ニコラス・ペイトン・ユニット
ブランフォード・マーサリス・カルテット

ジョージア・ヒアーズ・グループ
<最初のセット>は、ピアノトリオをバックにした新進の黒人女性歌手ジョージア・ヒアーズ (正確な年齢は不明、20歳台中ごろと推定) の唄 を初めて聴いた。メンバーと推定の曲目は以下の通り。

Georgia Heers Group: Georgia Heers (vocals) Mathis Picard (piano/keys) ??? (bass) Anwar Marshall (drums)
1. You’d Be So Nice to Come Home To 2. Thou Swell 3. You’ll Never Know?? 4. Trumpet Swing?? 5. You’ve Been in a Good Old Wagon

曲目では、スタンダード曲やどこかで聞いてる曲が多く、黒人の女性歌手としては油濃くなく、彼女の肌色が濃くないこともあってか、白人の女性歌手かと思ったくらいである。若い黒人女性の歌手は流行りのツービートのリズムでアフリカ色を強く出してる印象が多い中、そうでなかったのが自分には良かった。このセットを聴く限りでは、ナンシー・ウィルソンの系統と感じたが、徐々にせよ円熟による成長が期待される。

バーサ・ホープ・クインテット
<次のセット>は、当方にとっては当日のお目当てであった黒人女性ピアニストであり故エルモ・ホープの妻でもあったバーサ・ホープ (1936年生まれ、88歳) が率いるクインテットの登場 (写真2)であった。メンバーと推定の曲目は以下の通り。

Bertha Hope Quintet: Bertha Hope (piano) Kim Clarke (bass) Lucianna F. Padmore (drums0)G ene Ghee (tenor saxophone) Eddie Allen (trumpet)
1. ??? 2. ??? a tune by Dizzy Gillespie  3. One Second, Please 4. Something for Kenny (Clarke) 5. We Dot-Confirmation  6. ???

今から60年近く前に入手した夫婦共演のRiverside盤LP『Hopeful』を思い浮かべたが、バーサのピアノ演奏は独特であった。エルモは親友バド・パウエルと共通する乗りがあるが、残念にも彼女にそれを感じることはなかった。オスカー・ピーターソン張りのピアノを縦横に弾きまくるスタイルでは全くなく、メロディアスなソロと云うよりも独特のコード和音で迫ってくるのである。孤高の演奏であり、万人受けの演奏ではないと思えた。

メンバーには何とつい先日8月3日にJazz Forumでライブを聴いた日本人女性ピアニスト信実美穂さんのカルテット (当方では8/5にShoji Hoshinoの名でその模様をFacebookに投稿済み) のメンバーとして、優しい音使いと聴き易いソロを披露してくれたトランペット奏者エディー・アレンが参加していて、長くはないが艶やかな音で好感が持てるソロを披露してくれた。テナーサックスのジーンもベテランであり、長くはないが力強いソロを取ってくれた。

ニコラス・ペイトン・カルテット
<次のセット>は、ニコラス・ペイトン (1973年生まれ、51歳) のカルテット演奏 (写真3)であった。ついこの間まで若手と思っていたニコラスも中年のベテランになってしまった。メンバーと推定の曲目は以下の通り。

Nicholas Payton Quartet:Nicholas Payton (trumpet) Kevin Hays (piano)  Vicente Archer (bass) Bill Stewart (drums)
1. Woddy ‘n’ You 2. Hanging in Jive ???, 3. Jazz Is A Four Letter Word, 4. Greek’s (or Leek’s??) Blues, 5. I Will Sell It ??, 6. Straight No Chaser

ニコラスのトランペット演奏には勢いと力強さがあり好感が持てた。同じニューオーリンズ出身のブランフォード・マーサリスが5曲目にテナーサックスで演奏に加わった。

前から感じていたのだが、トランペット一本 (或いはサックス一本) で連続と云うのは自分にとっては物足りないのである。何故かと考えてみたら、ハードバップ4ビートの演奏を聴いて育った自分にとっては、定番のトランペットとサックスの合奏、特に同じBフラットのキーであるテナーサックスとの合奏が心地良いのである。

ブランフォード・マーサリス・カルテット
<最終セット>は、ブランフォード・マーサリス (1960年生まれ、64歳) のカルテット演奏(写真4)であった。メンバーと推定の曲目は以下の通り。

Branford Marsalis Quartet: Branford Marsalis (tenor & soprano saxophone) Joey Calderazzo (piano) Eric Revis (bas0) Justin Faulkner (drums)
1. ???, 2. ???, 3. Long … Yours (Keith Jarrett), 4. There Won’t Be A Sweet Man With Songs of My Tears??, 5. Coversation … Ruins ????, 6. Twenty Six Two (John Coltrane), 6. ???, 7. Scrapple From The Apple

実はつい2か月ほど前の6月28日に、チャールス・ロイドのグループとのダブルビルでタウンホールでコンサートがにあり、前座の筈が後座としてブランフォードの同じグループを聴いている。チャールスの演奏は自分にはすごく良かったが、ブランフォードの演奏は自分には好みでなかったので、送信は見送った経緯がある。

技術的には問題ないのであるが、どうしても自分の心に響かない奏者がいるのである。テナーサックスで言えば、ブランフォードもその一人で、他にジョシュア・レッドマン、マーク・ターナー、更にはデイブ・リーブマン、ルー・タバキンを挙げることが出来る。何故であろうか、自分の感性が及んでいないのか、などと思ってしまう。これについて、皆さんからのご意見があれば是非教えて頂きたい。

出身地ニューオーリンズの結束かな、7曲目にはニコラスも演奏に参加した。ピアノのジョーイは自分にとっては弾き過ぎでうるさく聴こえた。力一杯弾いてるのと抑えたのとうまく混ぜて欲しいと思った。

星野正治

星野正治 Shoji Hoshino 早大ジャズ研OB。 米国ニューヨーク州公認会計士 New York State Public Accountant。 【ニューヨーク地域での履歴】 1978-1983:日系文化交流団体勤務、NY市立バルークカレッジ大学院で会計学専攻し卒業。 1983-1996:デロイト・トウシュ会計事務所勤務。 1996-2021:独立し、星野会計事務所所長 Representative, Shoji Hoshino CPA Office。 2022‐現在:ほぼ引退状態、時折りコンサルティング業務に従事。

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