【アーカイヴ】撮っておきの音楽家たち #105
グスターボ・ドゥダメル(指揮者・作曲家)
photo & text by Kiyotane Hayasi 林 喜代種
2015年3月28日
会見/サントリーホール・ブルーローズ
公演/サントリーホール
弱冠28歳で2009年のシーズンよりロサンゼルス・フィルハーモニックの音楽監督となった指揮者グスターボ・ドゥダメルが、そのロス・フィルと共に来日した。ドゥダメルは1999年に就任したシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラの音楽監督としても国際的に有名である。現在6年目を迎えたロス・フィルとの音楽監督契約も2018~19年のオーケストラ創立100周年記念まで延長された。来日中の3月25日に、さらに2021~22年まで延長された。そして発足40周年を迎えるベネズエラの「エル・システマ」プロジェクトの音楽監督として16シーズン目を迎えた。「エル・システマ」が生んだ最大のスター指揮者ドゥダメルはロス・フィルの音楽監督を務めながらベルリン・フィル、昨年指揮者として来日したウィーン・フィルなど世界最高のオーケストラに客演している。
「エル・システマ」とは無料で楽器を習え、無料で楽器を借りることが出来、無料でオーケストラ活動ができる世界最大の合奏型音楽教室である。ベネズエラが発祥の地で、もともとは、貧困で教育が受けられない子供のために始まった。現在世界35ヶ国で実践されている。日本でも東日本大震災の被災地、東北の相馬市にエル・システマジャパンが出来た。今回ロサンゼルス・ユース・オーケストラの生徒と共にエル・システマジャパンの生徒たちをドゥダメルが公演の合間を縫って公開リハーサルで指揮した。彼は、子供たちはチャレンジが好きである。「美」に触れてもらいたいのでその機会を増やしていきたい、と語る。「万人に音楽を」がグスターボ・ドゥダメルの哲学の礎になっている。