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特集『ECM: 私の1枚』

金野Onnyk吉晃『Circle/Paris Concert』
『サークル/パリ・コンサート』

私は青春時代、いわゆる非イディオマティック即興にのめり込んだので、初期のECMにおける『music improvisation company』(1005)とかベイリーとホランドのデュオ(1013)などは重要なのですが、そこに至る前に最初にフリージャズの洗礼を受けたのはサークル『パリ・コンサート』(1018/19)です。アドリブを記憶するほど聴き、ぼろぼろになって買いなおしたのはこれくらいです(録音にゴーストが入ってるのも悔しかったけど)。サークルについて語ると長くなるので、ここではやめます。

それにしても初期のECMは実に多彩かつユニークな作品が多かったと思います。しかしいかなる組織、集団も最初の十年が充実し、その後よくも悪くも変容します。私もまた思春期の葛藤と青春の終わりを感じて80年代に入り、脱皮だか羽化だかメタモルフォーズしました(いまはメタボルですが)。
ラルフ・タウナー『トリオズ/ソロズ』(1025)は待望のリーダー作だったし、ジャケットが衝撃的なヴォルフガング・ダウナー『アウトプット』(1006) 等々。
後になりますが、ブレイ/パーカー/フィリップスのトリオ(1537)も巨匠そろい踏みの大傑作と呼ぶに相応しい。ブレイと言えば、ECMに多数あり、どれを選んでも構わないほどです。一番好きなのは60年代トリオの『バラッズ』(1010)ですが。
あるいはまた現代音楽シリーズの魁となるライヒの『18人の音楽家のための』(1129NS)の透徹した完成度は、ユダヤ回帰する前の彼の一つの頂点ではないかと。
とにかくもう初期のECMは私を育てた畑ですので、そこからでも一枚というのは無理ではないかと思っていた訳です。とりあえず一枚を掲げ、自らの原点回帰だか永劫回帰(return to forever)を考えてみた次第です。


ECM 1018/19

Circle:
Anthony Braxton (Reeds, Percussion)
Chick Corea (Piano)
Dave Holland (Bass, Cello)
Barry Altschul (Percussion)

CD 1 :
1 Nefertiti (Wayne Shorter) 19:13
2 Song For The Newborn (Dave Holland) 06:49
3 Duet (Anthony Braxton, Chick Corea) 10:31
4 Lookout Farm / 73°Kelvin (Variation 3) (Anthony Braxton, Barry Altschul) 16:06
CD 2 :
1 Toy Room – Q & A (Dave Holland, Dave Holland) 24:40
2 No Greater Love (Marty Symes, Isham Jones) 17:37

February 1971, Maison de l’O.R.T.F., Paris
Produced by Manfred Eicher

金野 "onnyk" 吉晃

Yoshiaki "onnyk" Kinno 1957年、盛岡生まれ、現在も同地に居住。即興演奏家、自主レーベルAllelopathy 主宰。盛岡でのライブ録音をCD化して発表。 1976年頃から、演奏を開始。「第五列」の名称で国内外に散在するアマチュア演奏家たちと郵便を通じてネットワークを形成する。 1982年、エヴァン・パーカーとの共演を皮切りに国内外の多数の演奏家と、盛岡でライブ企画を続ける。Allelopathyの他、Bishop records(東京)、Public Eyesore (USA) 等、英国、欧州の自主レーベルからもアルバム(vinyl, CD, CDR, cassetteで)をリリース。 共演者に、エヴァン・パーカー、バリー・ガイ、竹田賢一、ジョン・ゾーン、フレッド・フリス、豊住芳三郎他。

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