大村幸則『Egberto Gismonti / Dança Das Cabeças』
『エグベルト・ジスモンチ/輝く水』
仕事でECMに関わるようになる前に出会っていたアルバムの中から選ぶことにしたい。ECM作品はすべてマンフレット・アイヒアーの音楽である、と言っても決して過言ではないと思うのだが、レーベル設立時からずっと、意表を突くミュージシャンを起用してアイヒアーがプロデュースする作品に詰め込まれた驚きの音たちに魅了され続けてきた。だから、1枚と言われても困惑するばかりなのだが、選定せねばと悩み始めたらふっと浮かんできたのが、エグベルト・ジスモンチのECM第1作『Dança Das Cabeças』(ECM1089) だった。もちろんそれまでにECMのアルバムを何十枚も聴き、それらすべてから大きな感動を得ていたのだが、この『Dança Das Cabeças』に初めて接したときの爽やかな衝撃は忘れることができない。というか、今なお、聴くたびに、ジスモンチのギターやピアノがナナ・ヴァスコンセロスの超個性的パーカッションと溶け合って生まれる色彩豊かな音世界の凄さにたじろいでしまうのだ。
ECM 1089
Egberto Gismonti (8-String Guitar, Piano, Wood Flutes, Voice)
Nana Vasconcelos (Percussion, Berimbau, Corpo, Voice)
1 Part I: Quarto Mundo #1 / Dança Das Cabeças / Aguas Luminosas / Celebração De Núpcias / Porta Encantada / Quarto Mundo #2
(Egberto Gismonti, Egberto Gismonti, Dulce Bressane, Egberto Gismonti, Egberto Gismonti, Egberto Gismonti) 25:15
2 Part II: Tango / Bambuzal / Fé Cega Faga Amolada / Dança Solitária
(Egberto Gismonti, Geraldo Eduardo Carneiro, Egberto Gismonti, Milton Nascimento, Ronaldo Bastos, Egberto Gismonti)
24:30
November 1976, Talent Studio, Oslo
Produced by Manfred Eicher
大村幸則 おおむら ゆきのり
1949年東京生まれ。O型。慶應義塾大学経済学部卒。中学2年のときにジャズと出会い、衝撃を受けてそれまで聴いていたクラシックやポップスのレコードを全部売り払ってしまう(後に後悔)。71年に大学を卒業してポリドール株式会社(現ユニバーサル)へ入社。洋楽宣伝などを経てECM、enjaなどを担当、マイナー・レーベルの輸入も手がける。91年に退社、家業を継ぎつつジャズ・ジャパン、レコード・コレクターズ、HIVIなどに執筆。ジャズ以外の趣味:クラシック音楽、雑多な読書、ゴルフ、美味しいものを食べること、等々。