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このディスク2017(国内編)No. 237

#09 『後藤篤カルテット/フリー・サイズ』

text by Yumi Mochizuki 望月由美

『ATSUSHI GOTO QUARTET / Free Size』
DOSHIDA RECORDS #001 2,000円+税

後藤篤 (tb)
石田幹雄 (p)
岩見継吾 (b)
服部正嗣 (ds)

1.Grande Open(後藤篤)
2.Que Sera,Sera(Jay Livingston)
3.GOIM (石田幹雄)
4.Mobius Ⅰ (後藤篤)
5.Mobius Ⅱ (後藤篤)
6.三陸ファイトソング (後藤篤)
7.風花-Kazabana- (後藤篤)
8.Arbre du Tenere-テレネの木(後藤篤)
9.慈雨(後藤篤)
10.Close [Grande Open](後藤篤)

2016年5月9,27,31日アケタの店にて録音
エンジニア:島田正明
プロデューサー:後藤篤

後藤篤、1974年生まれの43歳そして石田幹雄、1981年生まれの36歳、今最も創造力が豊かで活力みなぎる年代の2人が音への向き合い方そして情熱を懸命に吐露したマイルストーン的な作品である。

後藤篤カルテットは結成して7年、パーマネント・グループとして今もっとも有機的な結束力を発揮しているが、その姿が大きすぎもせず、また小さくもなくそのままの等身大で収められている、リアルだ。

ここまで密に自分たちの求める音を表現できたことは、やはり後藤のリーダーシップがその原動力となっているように思う。

後藤の好奇心は旺盛でジャズにかぎってもメイン・ストリームからフリーに至るまで幅広くまた深く身に付けていて、その上で自らのスタイルを探求してその活動範囲も広範囲に及び板橋文夫の「板橋文夫オーケストラ」、「板橋文夫FIT!+MARDS」、林栄一の「ガトス・ミーティング」、石渡明廣(g)の「MAD-KAB-at-AshGate」、石田幹雄の「石田幹雄4」等々先鋭的なグループへの参加が多い。

ピアノの石田幹雄も自己の「石田幹雄トリオ」「石田幹雄4」のほか今村祐二G、松風鉱一4、林栄一G、柳原達夫4などに加わり、また蜂谷真紀や宅 Shoomy 朱美などヴォーカルとの共演も多い。また月1回定期的に「アケタの店」でソロを行っている。

この後藤、石田のコンビネーションは後藤のオリジナル曲を中心に<ケ・セラ・セラ>など思いもかけない流行り歌までを明るくロジカルに展開するが、2人のソロは熱くて深い。

今年は奇しくも板橋文夫(p)『謡文 うたぶみ』(MIX DINAMITE、2017)、本田珠也(ds)『TAMAXILLE』(PIT INN MUSIC、2017)そして「後藤篤(tb)『Free Size ATSUSHI GOTO QUARTET』(DOSHIDA RECORDS、20116)など胸に響く作品が多かったがこの1枚には後藤作品を選ばせて頂いた。

CD Review:
https://jazztokyo.org/reviews/cd-dvd-review/post-10398/

 

望月由美

望月由美 Yumi Mochizuki FM番組の企画・構成・DJと並行し1988年までスイングジャーナル誌、ジャズ・ワールド誌などにレギュラー執筆。 フォトグラファー、音楽プロデューサー。自己のレーベル「Yumi's Alley」主宰。『渋谷 毅/エッセンシャル・エリントン』でSJ誌のジャズ・ディスク大賞<日本ジャズ賞>受賞。

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