追悼 沖 至 琵琶奏者 与之乃
text by Yoshino 与之乃
追悼コメントを書かせていただくにあたり、いろんな言葉が思い浮かんだのですが、沖さんのカッコ良さの前では、私の言葉などは波に洗われる砂のように消えてしまいます。
沖さんと、パリで、モンマルトルで、琵琶で共演する、なんて、夢のような機会をくださって、沖さんに心から感謝しています。一介の琵琶奏者としても、鶴田錦史先生が叙勲を受けた国での演奏は、感慨がありました。
打ち上げでみなで美味しい餃子を食べたことや、メトロで若いチンピラ共にぐるっと取り囲まれても沖さんはへっちゃらな態度をされていたことも思い返されます。あんなに若々しくお元気そうなご様子だっただけに、早過ぎます。あらがえることなら、もう一度、日本でもご一緒したかった。ご出身の須磨のお話などもお聞きしたかった。
御冥福をお祈りいたします。沖さん、ありがとうございました。
薩摩琵琶奏者。東京出身。大学在学中に、ライブハウスでギター弾き語りを始める。その後、ベースレスのパンクバンドを経て、現在、鶴田流薩摩琵琶で活動。2019年にジャズトランペット田村夏樹とのデュオでCD『邂逅』をリリースし、ヨーロッパ、関西などでツアーを行う。